最終更新日:2006年01月21日(土) 23時26分

デトロイトテクノ CDレビュー 【 DETROIT 2 DETROIT 】

(総登録数:221)
編集者:ka2

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【ようこそ。デトロイトテクノ CDレビュー 「DETROIT 2 DETROIT」へ】

▼当ウェブサイトは「デトロイトテクノとそのフォロワー」をテーマにしています。デトロイトテクノとはその名の通り、アメリカ合衆国のミシガン州デトロイト市で生まれたエレクトロニック・ミュージックのことです。一般的にテクノというと無機的・機械的な音のイメージがありますが、デトロイトテクノはメロディアスでソウルフルな温かみのある音が特徴です。
▼シカゴハウスの影響を受けながら、ジャズ、ファンク、ソウル、ロック、ニューウェイブといった様々なジャンルの音楽性を取りこんで独自の発展を遂げたデトロイトテクノは現在のテクノシーンの原点とされています。当ウェブサイトではデトロイト出身のデトロイトテクノ・アーティストは勿論のこと、デトロイトテクノに触発されて作品を作り始めたデトロイトテクノ・フォロワーと呼ばれるアーティストや周辺文化、セオ・パリッシュやムーディマンといった新世代アーティストの登場により近年大きく注目されているデトロイトハウスも取り上げていきたいと思います(“マッド・マイク病患者”歓迎!)
▼当サイトは、amazon.co.jpのアソシエイトに参加しています。リンクが張られているCD・本・DVD等は全てamazon.co.jpで購入できます(合計1500円以上なら送料無料です) また、当ウェブサイトはリンクフリーですので無断リンクも大歓迎です。

【マイ・エヴァー・グリーン】
BFC - Galaxy / Carl Craig - At Les / Inner City - Praise (Mayday Mix) / Jeff Mills - Now Is The Time / Mad Mike - Hi-Tech Jazz (The Elements) / Neuro Politique - Artemis (Mayday Mix) / Planetary - Out Of Sight And Mind / Quadrant - Dub I / Rhythim Is Rhythim - Icon (Montage Mix) / The Martian - Windwalker / Naomi Daniel - Stars (Formula) / Redplanet - Stardancer / Maurizio - Domina (C.Craig Mind Mix) / Carl Craig - No More Words / Psyche - Elements / Paperclip People - The Climax (Re-Worked) / Underground Resistance - Sometimes I Feel Like / Underground Resistance - The Theory (Melanic Mix) / Rhythim Is Rhythim - Beyond The Dance (Cult Mix) / Project 625 - Come Closer / Octave One - I Believe / The Martian - Firekeeper / The Martian - Ghostdancer / Dan Curtin - Sentient / Mr. Fingers - Can You Feel it / Underground Resistance - Nation 2 Nation / Underground Resistance / Journey of The Dragons

【デトロイトテクノ初心者にお勧めする7枚】
Derrick May - Innovator 至高の一枚。
Psyche/Bfc - Elements 1989-1990 若き才能が爆発。
Dan Curtin - The Web Of Life 激しくロマンチック。
V.A. - Remix Trax Vol.7 - Cosmic Soul ハイテック・ジャズの衝撃。
V.A. - LBH - 6251876 : A Red Planet Compilation 火星人の夢。
Galaxy 2 Galaxy - A Hi Tech Jazz Compilation 男のロマン炸裂。
Juan Atkins - Juan Atkins 20 Years Metroplex 真のテクノゴッド。
V.A. - Submerge Live In Japan URの名曲がライブで聴ける!奇跡の一枚。

【最新情報】
このサイトの最新情報はDetroit 2 Detroit - デトロイトテクノ ブログ -に書いています。合わせてご利用ください。

【デトロイトテクノ関連リンク集】
こちらから。随時更新中です。

【アップデート】
V.A. - Mahogani Music Compilation(2005/10/16)
Juan Atkins - Deep Space Underground Collection(2005/10/09)
As One - Elegant Systems(2005/07/31)
Aaron Carl - Uncloseted(2005/07/31)
Dark Comedy - Funkfaker: Music Saves My Soul(2005/07/31)

 
 数字 

3MB - 3MB Feat. Magic Juan Atkins (TRESOR:Tresor012)

★★★★☆

▼3MB(モーリッツ・フォン・オズワルドとトーマス・フェルマンのユニット)とデトロイト・テクノの始祖、ホアン・アトキンスの三大巨頭がコラボレイト! ジャケットデザインはデザイナーズ・リパブリック。レコーディングはベルリンのラブ・パーク・スタジオで行われた名盤。
▼超名曲「JAZZ IS THE TEACHER(MAGIC JUAN EDIT)」 これを聴くためだけに買っても損はしないと思います。キツめにかけられたフランジャー。適度に追加されたウワモノ。まるで星空に吸い込まれていくような感覚…。壮大な宇宙を感じます。
▼元曲の「JAZZ IS THE TEACHER」も素晴らしい。偉大なるジャズの先人達へのリスペクト。かき鳴らされるハットがジャジー。「DIE KOSMISCHEN KURIERE」もデトロイト・テクノ好きなら必ずツボにハマるはず。穏やかな音色ながら、じわじわ盛り上がる展開が熱い。
▼トレゾーの名盤は未だに買えるものが多くて非常にありがたい。いいものはいいですからね。

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4 Hero - Parallel Universe (SUBLIME RECORDS:MKCS-1004)

★★★★☆

▼4ヒーローの説明は省略。彼らのセカンドアルバムかつ最高傑作アルバム(だと個人的には思う) ディープなデトロイトものコンピ(「THE DEEPEST SHADE OF TECHNO」)」を監修したり、ニュー・エラ名義でデトロイト・テクノを作ったりする彼らなので、そのデトロイトっぷりは堂に入ったものです。このアルバムがリリースされた当時、英国ではラガ・ジャングル旋風が吹き荒れていたので「ドラムンベース=ラガ」という印象だったんですが、これを聴いて余りのデトロイト・テクノっぷりにびっくりしました。ちなみにこのCDは全曲ドラムンベースですのでご注意を(ビートがせわしないドラムンベースが苦手なひともおられますので…)
▼1曲目「UNIVERSAL LOVE(4HERO MIX)」は、女性ヴォーカルとサックスがフィーチャーされたドラムンベース史上に残る名曲。優しさと激しさが同居するのはドラムンベースならでは。しかしラガ・ジャングルのように下世話にはならず、エレピのフレーズが耳に入ったりしてあくまでもエレガント。BPMもひかえめです。マッド・マイクがドラムンベースに挑戦したらきっとこんな感じになるのでしょうね。この曲を聴くためだけにCD買っても惜しくないです。それくらい素晴らしい。
▼2曲目「NO IMITATION」は1曲目とは打って変わって、ダビーなベースと畳み掛けるようなパーカッションが印象的な清涼感のある曲。3曲目「PARALLEL UNIVERSE」もアッパーなビートにカール・クレイグばりのパッドがのる4ヒーローらしい曲。6曲目「WRINKLES IN TIME」は強烈なフランジャーがかけられた極太リズムがど迫力。後半になるとやはりUR調のストリングスが。9曲目「FOLLOW YOUR HEART (PART TWO)」は、美しいパッドがもろにデトロイト・テクノしてます。4つ打ちにしたらそのままプラネットEあたりからリリースされそう。11曲目「SUNSPOTS」は一点して4つ打ち風(?) ちょっとレッドプラネットっぽいです。12曲目「SOUND FROM THE BLACK HOLE」は、アンニュイな女声ボーカルとピアノがフィーチャーされた美しい曲かと思いきや、突然、激しく突っ走るビートが挿入される「静」と「動」が同居する曲。かなり好きです。そして15曲目は「UNIVERSAL LOVE」の原曲(国内盤のみ収録) 1曲目よりシンセサウンドが強調されていてスペーシーな印象。
▼ドラムンベースはその性質上どうしても特徴的なビートに縛られて曲ごとにバリエーションを持たせにくい印象があるのですが、残念ながら4ヒーローでさえもその呪縛から逃れることはできなかったようです(そのせいか次以降のアルバムでは敢えてドラムンベースから離れるように様々な実験を行っています) それでもこのアルバムは十分傑作だと思いますが。

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69 - The Sound Of Music (R&S:RS 95 078 CD)

★★★★☆

▼カール・クレイグが“69”(彼の生まれた年)名義でリリースした作品を集めたベスト盤的なアルバム。当時、デトロイト・テクノのリリースに熱心だったR&Sレーベルにライセンスされた傑作です。この名義では、ジャーマン・エクスペリメンタルに影響を受けたフロア向けのサウンドを展開しており、クラフトワークの影響を受けたような「My Machines」、金属的な重いキックがいかにもジャーマンな「Jam The Box」、「313 Detroit」にも収録された名曲「Desire」、サイケデリックな感覚が新鮮な「Rushed」など、当時、デトロイト・テクノ・ブームの牽引車となっていたカール・クレイグの素晴らしい才能を再確認できます。

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808 State - 90 (UNIVERSAL:UD 53191)

★★★☆☆

▼現在は完全にテクノ・シーンから遠ざかってしまった808ステイトですが、このアルバムはデトロイト・テクノ・ファン注目です。なんといっても「Hi-Tech Jazz」の元ネタといわれる「Pacific 202」が収録されていますからね(本当はアメリカ版の「Utd State 90」がお薦めですが、意外と見つからないのでこちらを…) イントロのアンビエントなサンプル音の後、ジャジーなリズムに優雅なサックスが乗ってくる展開はまさにUK版「Hi-Tech Jazz」(こっちの方が本家なんですけどね…。ちなみにベースラインを作ったのは、ア・ガイ・コールド・ジェラルドらしいですよ) その他の曲も、いかにも90年代のUK産らしい適度なポップ感とファンキー加減が良いですが、なんといっても「Pacific 202」に尽きます(個人的にはファーストアルバム「Newbuild 」のビキビキなアシッド・ハウスっぷりも好みですが)

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 A 

Aaron Carl - Uncloseted (Wallshaker Music:AC8653)

★★★★☆

▼今年5月にデトロイトで開催された「Fuse-In」(旧DEMF)の(個人的)ベストアクト。アーロン・カールのファーストアルバム。自らのレーベル「ウォールシェイカー」からのリリース。ジャケットの「Parental Advisory Explicit Content」のロゴがいい味を出している。日本国内での入手は難しいので海外通販で購入することをお勧めします。
▼「Fuse-In」のDJでは、友人や家族(子供たち)を周りで踊らせながらリラックスした表情で温かみのあるライブを披露した、アーロン・カール(ロス・エルマノス「Queztal」と生サックスの競演は最高でした)。このアルバムでは、マッチョでバイオレンスなゲットー・テックならぬゲットー・ハウスを展開。イントロの雷雨サンプルと曲間のインタールードがギャングスタ・ヒップホップ風。意外に音作りが丁寧なのはデトロイトっぽい。
▼ヒップホップ、R&B、シカゴ・ハウス、ゲットー・テックといったデトロイト・ローカルのダンス・ミュージックをすべて盛り込んだようなハイブリッド感覚。極太なキック&ベースと下品なボイスサンプル。まさに「現在の」ブラック・ミュージックがここにある。
▼ひたすらラフでタフな楽曲が続くが、ラストの「Sky」がしっとりしたヴォーカル・ハウスで良い。構成もよく考えられている。

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Adam Beyer - Ignition Key (TRUESOUL:TrueCD01)

★★★☆☆

▼スウェーデン・テクノ界の巨匠アダム・ベイヤー(犬好き&超長身) プラネットリズム、ドラムコード、コードレッドと一貫してフロア直通のハード・テクノを作り続けていますが、ここに来てガラリと方向転換。なんとジェフ・ミルズばりのトランシーなデトロイティッシュ・テクノで再スタート。「真のソウル」と名乗ったレーベル名。「IGNITION KEY」というタイトル。白基調のアーティスティックなジャケット。そこかしこから「新しいことを始めるぞー」という気合が感じられます。
▼1曲目「IGNITION KEY」から飛ばしてます。パーパス・メイカーばりのパーカッシブなビートにうねるようなパッド。とにかくドラマチックです。もろにジェフ・ミルズを連想させますが、ジェフよりもエモーショナルな印象。2曲目「STHLM」はコードレッドっぽいハードミニマル。4曲目「ACTIVE」はシカゴっぽいボイスサンプルに美しいストリングスが重なるアッパーな曲。 5曲目「TRIANGLE」は「AT FIRST SIGHT」に収録されていても分からないほどジェフに激似のエモーショナルトラック(ベイヤーはジェフ・ミルズ病?) いちど聴いてみてください。完コピーぶりが笑えます。6曲目「TRUNCATED TRUTH」はエレクトロ。それでも下世話にならず美しいのが北欧流? 7曲目もブレイクビーツを使ったトランシーな曲で懐かしい感じ。もちろん強烈な音圧とリバーブのかかったトランシーなキックは健在です。
▼ところが後半は一転してリスニング系に。9、12、14曲目はノンビート。13曲目はヒップホップっぽいスローな曲。アルバムとしての構成を考えたのでしょうか? 個人的には少し尻すぼみな印象。もちろんクオリティは太鼓判ですが。逆にハード・ミニマルが苦手なひとには後半の方がウケがいいかも。
▼そういえばベイヤーはコードレッドでもきれいなストリングス使ってましたね。元々トランス方面のひとなのでしょうか? 音がそれっぽいです。ジャーマン・トランス時代からテクノを聴いている自分は、なんとなく古のC.J.ボーランドやソースを連想してしまいました。懐かしや…。

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Alton Miller - Rhythm Exposed (DISTANCE:Di1332)

★★★☆☆

▼デトロイトの大ベテラン、アルトン・ミラーのファースト・アルバム。「Strings of Life」や「Big Fun」が初めてプレイされたという、デトロイトの伝説的なクラブ「Music Institute」をデリック・メイと運営していたことでも知られています。自らボンゴを担当し「パーカッションから曲を作る」という彼の作風は、近年のラリー・ハードにも通じるディープかつソウルフルなデトロイト・ハウス。他のビートダウン系アーティスト(セオ・パリッシュやマイク・クラークなど)に比べると優しくオーガニックな印象です。まもなくリリースされるピースフロッグからの新作「Stories From Bohemia」も期待しています。

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Andres - Andres (Mahogani Music:M-5 CD)

★★★★★

▼ムーディマンことケニー・ディクソン・ジュニア主催の「マホガニ・ミュージック」からリリースされた初のアルバム。アンドレスと名乗る謎の新人の正体は、数々のデトロイト出身アーティストの作品で客演しているDJディズ。セオ・パリッシュのローテーティング・アッセンブリーへの参加や、URのサブレーベル「ヒプノテック」からヘビーでストイックなブレイクビーツをリリースしたかと思えば、ジェイ・ディー率いるスラム・ヴィレッジのアルバムでの客演など、メジャーとアンダーグラウンドを自由に行き来する逸材です。本作には、エクゼクティブ・プロデューサとして、ケニー・ディクソン・ジュニア、ヴォーカル&サックスにノーマ・ジーン・ベル、キーボードにジョバントが参加と、ムーディマン人脈が総登場。内容は、サックス、キーボード、パーカッションがオーガニックに絡み合ったソウルフルなディープ・ハウス。どろどろしたファンクネスが持ち味のムーディマン自身の作品よりも、ずっとポジティブな印象で強めのハイハットと薄く被さる中域の音が非常に心地よいです。平均3分程度の短い曲とインターバルで構成されており、ジャケットには9曲目までがクレジットされていますが、実はインタールードを挟んで更に続く全16曲が収録されています(その内、3曲は無音なので「曲」とは言えませんが)。全曲、素晴らしいの一言ですが、個人的に気に入っているのはシングルカットされた「Salvador De Bahia 1」 ブラジル音楽のクラシックをサンプリングしたという、ラテン・テイスト溢れる作品。近年のジョン・ベルトランにも通じる感覚を感じます。

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Aril Brikha - Deeparture In Time (TRANSMAT:MS-25CD)

★★★★★

▼いまやデリック・メイ以上にデリック・メイらしい(?)トランスマットを代表するアーティストのファーストアルバム。
▼収録曲「GROOVE LA CHORD」はクラブでも大ヒット。ミニマルDJもトランスDJもジャズDJもハウスDJも使ってました(今でもよく耳にします) ヘビーなベースと徐々にビルドアップする展開が使いやすいんでしょうね。
▼もちろんこの他の曲もグルーヴィなビートにモノトーンなウワモノがからむ秀逸なものばかり。全曲オススメ。
▼イラン人とイラク人の両親を持つという彼はスウェーデン在住とのこと。グローバルですなー。
▼デビューのきっかけは、彼の曲を聴いた友人から「それはデトロイト・テクノだ」といわれて、デモテープをトランスマットに送ったことらしい。こんなに素晴らしい才能がスウェーデンに眠っていたとは…。世界はまだまだ広いね。
▼…だとしたらチュニジアやラオスやアルゼンチンあたりにも恐るべき才能が潜んでいるのだろうか?
▼誰にも知られることなくコツコツと電子音を作っている男…。それって近所では「変人」扱いされたりしてるんだろうな。悲しいけど。
▼デモを採用したデリック・メイの目もまだ腐ってはいないようだ。この調子でどんどん才能を発掘してほしいものです。

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As One - Elegant Systems (Versatile:VERCD014)

★★★★★

▼なんとなく名優ジーン・ハックマンに似ているカーク・ディジョージョ(でも意外と若い)のアズ・ワン名義最新作。デトロイト・テクノへの憧憬を素直に表現していた「Reflections」や「Celestial Soul」といった初期のテイストに原点回帰。90年代デトロイト・テクノ好きには堪らない内容になっている。
▼ずっと70年代ジャズ・フュージョンの再構築に突っ走っていて、個人的にはクソおもしろくもない作品ばかり連発していたカーク・ディジョージョだったが、前作「Out Of The Darkness」あたりから目が覚めたのか往年のデトロイト・テイストが復活。ついに本作で花開いた気がする。特に感動したのは4曲目「Cocoon」! 途中から挿入されるパッドの音色はまさにデトロイト・リヴァイヴァル。泣ける…。天文学にインスパイアされたという話もデトロイトっぽい。
▼国内盤には、CALMの「Elegant Systems - K.F.(a.k.a CALM)Re-Work」を収録。これが意外と良い。ビートレスな原曲にアッパーな4つ打ちビートとチャイナテイストな(?)ウワモノを追加。後半に行けば行くほど盛り上がるダンス・トラックに変貌している。

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As One - So Far (So Good)...Twelve Years Of Electronic Soul (UBIQUITY RECORDS:URCD 133)

★★★★☆

▼カーク・ディジョージョのアズ・ワン名義作品を集めた2枚組ベスト盤。1枚目は、デトロイト・テクノの影響を強く受けた初期作品を中心に収録(ニューエレクトロニカやARTからの作品も含む) 2枚目は、比較的最近の作品+未発表曲を収録。 はっきりいって圧倒的に1枚目の方がよく感じられます。個人的に最近の作品が好きじゃない(おもしろくない)のもありますが、やはり90年代初頭のデトロイトへの憧憬を素直に表した曲の方が耳に残ります。また昔みたいな曲を作ってくれないかな?(無理でしょうけどね)

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Ayro - Electronic Love Funk (Omoa music:OMOA 005 CD)

★★★★☆

▼キーボード、ヴォーカルとして数々のデトロイト・テクノ作品に参加しているアイロことジェレミー・エリス。テクノ、ハウスといった枠に捉われず自由な発想で現代的なファンク、ソウルを表現している。
▼本人のヴォーカルとエレピがスティービー・ワンダーを彷彿とさせる。テクノ、ハウスに興味が無いブラック・ミュージックファンにもお勧め。70年代のニュー・ソウルを連想させるグルーヴィなサウンドなのに白人というのが面白いところ。アイリッシュ+アフロでアイロなんだとか。
▼難を言えば余りにもポップでスムーズなので通して聴くと物足りない。もっと黒さと粘っこさがあれば言うことないのだが。

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Aztec Mystic - Jaguar (Pt.2) (430 WEST:430WUKTCD2)

★★★★☆

▼大ヒットしたDJロランドの「JAGUAR」をデリック・メイがリミックスした話題盤。オクターヴ・ワンのリミックスとCD-ROMビデオも収録。オリジナルとジャケットデザインが似ているので紛らわしい…(CDの盤面もそっくりなのです) たったの2曲しか収録されてませんがデリックのリミックスに免じてゆるしましょう(レコ屋の思うツボか…)
▼「JAGUAR (MAYDAY MIX)」はツアー中のデリックをホテルに缶詰にして3日間で仕上げたんだとか。オリジナルの高揚感はそのままにデリック流にメロディを変換。イントロでじらしまくって煽るだけ煽って大爆発。ウワモノもいかにもデリックらしいパーカッシヴな感じです。 元々ラテン・テイストな曲作りはお手のものなので「JAGUAR」にもジャストフィットですね。「JAGUAR (DANCE OF THE GLOBAL TRIBE)」もオクターヴ・ワンらしさ満点。ピッチ速めでオリジナルに比べるとミニマル度アップ。エフェクト控えめなタイトなリズムがいかにも彼らっぽいです。
▼CD-ROMビデオは内容を要約すると「チカーノ(ヒスパニック系アメリカ人)の日常」といった感じでしょうか。治安の悪そうな街並み。たむろするギャング(車に箱乗り) ストリートで踊る人々。グラフィティ。ローライダー(車&自転車) ロランド本人も多数出演(URポッセ?も出演。アブドゥール・ハックらしき人物が写ります) いかにも本人がデジカメで撮影してきたようなチープな映像です。あまり曲には合っていないような…。

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 B 

B12 - Electro-Soma (Warp:WARP CD 009)

★★★★☆

▼B12は、マイケル・ゴールディングとスティーブ・ルッターのユニットで、カール・クレイグに影響を受けたコズミックな作風がデトロイト・テクノ好きにも好評でした。この「Electro-Soma」は、WARPの“Artificial Intelligence(人工知能)”シリーズ中、ブラックドッグ「Bytes」と並ぶ最高傑作。ギーガーばりのジャケットがレトロ・フューチャーしていますね。
▼B12はレーベル名でもあり(URと同じですね)このアルバムは同レーベルのベスト盤といった内容になっています。初期のカーク・ディジョージョやステイシスとも親交が深かった彼ららしく、本家デトロイトに比べると甘く切ないストリングスや箱庭的な宇宙観は、現在の耳で聞いても遜色の無い独特な個性を発揮しています。ビートは繊細なのでフロアユースには全く向いていませんが、夜空を眺めながら淡く儚い彼らの音を聞いていると、なんともセンチメンタルな気分にさせられます。残念ながら1998年にリリースされた「3EP」を最後に音楽活動を停止したそうですが、盟友のステイシスも新作をリリースするそうですので、是非彼らも活動を再開してほしいと願っています。

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B12 - Time Tourist (Warp:WARP CD 037)

★★★☆☆

▼WARPからリリースされたB12のセカンド・アルバム。ザ・デザイナーズ・リパブリックがデザインした小松崎茂ばりのジャケットは、相変わらずのレトロ・フューチャー路線で彼らのイメージに合ってますね。ドラムンベースの影響なのかブレイクビーツを導入するなど前作に比べると音が凝っていますが、彼ら独特のアンビエントでセンチメンタルな感覚は健在です。8曲目「The Silicone Garden」というタイトルからも明らかなように、全編に渡って箱庭的な宇宙観で統一されておりイマジネーションを刺激されること必至。デトロイト・テクノ・ブームが再燃している今こそ再評価されるべき音ではないでしょうか?

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Bandulu - Guidance (Infonet:INF 003CD)

★★★★☆

▼イギリスで最も速くジェフ・ミルズからの影響を表明したバンドゥールのファースト・アルバム(ちなみに“バンドゥール”とは、パトワ(ジャマイカ語)で「バッド・ボーイ」という意味なんだそうです)。初期の彼らは、まさにデトロイト・フォロワーといったところで、このアルバムでもジェフ・ミルズ「At First Sight」に通じる、骨太なデトロイト・テイストのテクノを披露しています。ライナーノーツのメンバー写真がなんとも90年代ですね(PEあたりの影響が見え隠れ)。ヒップホップなジャケットのアートワークもクールです。ジェフ・ミルズの「Choice」に「Serial Operations」が収録されたことからも分かる通り、彼らの作品は安易なフォロワー作品とは一線を画するレベルの高さで、「Revelation」「Peacekeeper」「Gravity Pull」など、極太なビートにエモーショナルなウワモノがのるミニマル・トラックが満載。ダブへの造詣が深い点も素晴らしいです。カール・クレイグの「Better Nation(Carl Craig Innerzone Mix)」も収録。しばらくの間、活動していなかったようですが、2002年に突然、新作「Redemption」を発表してファンを喜ばせました。ちなみにメンバーのジェイミー・ビズマイアは、スペース・ディージェイズ名義でも活動しています。

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 C 

Carl Craig - Designer Music V1 (Planet E:PE 65255 CD)

★★★☆☆

▼これまでにカール・クレイグが手がけたリミックス・ワークを収録したコンピレーション。日本人DJのジャズユニットU.F.O.、アシッド・ジャズのインコグニート、テクノポップのテレックス、トランスのBT、デトロイトのインナーシティ、西海岸アンビエント・テクノのスペースタイム・コンティニウム、イタロ・ディスコのアレクサンダー・ロボトニク、シカゴ・ハウスのロン・トレントなど、カール・クレイグ自身の趣向を反映させたようなリミックス作品は、ブレイクビーツ、ジャズ、ヒップホップ、ハウス、テクノなど、特定のジャンルにとらわれない自由な発想から生み出されておりどれも素晴らしいです。中でもインナーシティのリミックスは、同郷の先輩へのリスペクトに満ち溢れた個性的な内容で、カール・クレイグ自身のつぶやくようなサンプルとパリス・グレイのヴォーカルが絡み合う傑作です。

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Carl Craig - Landcruising (BRANCO Y NEGRO:4509-99865-2)

★★★☆☆

▼カール・クレイグ本人名義でメジャーからリリースされたファーストアルバム。なぜか大不評でほとんど話題にならなかった…。
▼ペーパークリップ・ピープル名義のようなディスコちっくでファンキーな曲は皆無。どちらかといえばジャーマン・プログレっぽい広がりのある音。映画音楽を意識してますね。
▼ヴァンゲリスのサントラっぽくて個人的には好きなんですが…。「音が古臭い」という意見多し。
▼シングルカットされた「SCIENCE FICTION」なんかいま聴いてもかっこいい。シングルにのみ収録されているケニー・ラーキンMIXもよし(こっちの方が好きだという意見も多いです)
▼このアルバムの失敗が原因なのか、以降のカール・クレイグはジャズ、ハウス、ブレイクビーツに傾倒。

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Carl Craig - More Songs About Food and Revolutionary Art (PLANET E:PE65232CD)

★★★★★

▼カール・クレイグ初期の傑作を集めたベスト盤的アルバム。「AT LES」、「DREAMLAND」、「DOMINAS」等の名曲を多数収録。ビートを強調したダンス・ミュージックではなくどちらかというとリスニング寄りの内容。美しくエモーショナルな楽曲は時代を超えて永遠に聴けるものばかりです。曲間がつながっているので部屋でじっくりと聞くのに最適。ナオミ・ダニエル(名曲「STARS」のボーカリスト)のスキャットも収録。デリック・メイとの未発表共作「FRUSTRATION」も必聴です。「More Songs…」という小難しいタイトルがいかにも彼らしい。ジャケットもクラシックな雰囲気でセンスいいです。全体から伝わる甘く切ない感触…。やっぱり初期のカール・クレイグは最高だ!!

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CJ Bolland - The 4th Sign (R&S:RS92024)

★★★☆☆

▼最初に言っておきますが、このアルバムはデトロイト・テクノではありません。クリスチャン・ジェイ・ボーランドは、レイヴ&ジャーマン・トランスが主流だった90年代初頭に人気を誇ったアーティスト。BPM150の高速ビート(リバーブかけまくり)+叙情的な美しいメロディが彼の持ち味。エンジニア担当がアドヴェントのシスコ・フェレイラで、シスコ・フェレイラはフラジャイル(トランスマットのサブ・レーベル)からリリースしていて…なんて無理やりデトロイトとの関連性を見出してみたりしますが、そんなことを抜きにしてもテクノの歴史に残る傑作ダンス・アルバムです(ジャケットは謎ですが…)
▼デトロイト・テクノ・ファンにお薦めなのは、6曲目「Spring Yard」と7曲目「Camargue」です。「Spring Yard」は、トライバル風味のビートにタブラのようなエスニックっぽいベースがのっかる高速ミニマル・テクノ…かと思ったら、ブレイクで美しいストリングが挿入される二重構造を持った曲です。「Camargue」は、C.J.ボーランドの代表曲。 当時の彼女と、南仏プロヴァンスのカマルグに行った時の想い出を曲にしたんだそうです(ヌーディストビーチですごしたんだとか…) イントロのストリングスが聞こえてきただけでグッとくるエモーショナルなダンス・トラック。ハイハットの打ちこみがかっこいい。自分は、もう何十回聞いたか分からないくらいハマりました。
▼これ以外の曲も、現在の耳で聴いても遜色ないです。2曲目「Nightbreed」はレイヴ調ですが、たたみかけるようなハットがクール。3曲目「Thrust」は、高速ハードアシッドテクノ。後半のスクラッチ音(?)で大爆発です。5曲目「Pendulum」は、昔のローテーションを連想させるストリングスがきれいなダンス・トラック。10曲目「Jungle Man」は、そのまんまなトライバル・テクノ。現在の耳で聞いても意外といけてます。
▼このアルバムを聞くたびに、92〜95年ごろのテクノ・シーンを想い出します。当時は、トランスもテクノもガバもアシッドもジャングルもあまりジャンルの垣根がなく平行で聞いていたなぁ…。現在では考えられませんが、なかなか良い時代でした。そういえばWIRE01でC.J.がライヴを披露していましたが、まんま90年代のレイヴ・スタイルで良くも悪くも「変わってないなー」と思ったのを覚えています。

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Co-Fusion - Struttin' Remixes EP (SUBLIME:MKCS-1017)

★★★☆☆

▼コフュージョンは、ベテランDJワダとヘイゴ・タニのユニット。ファンキーなブレイクビーツを主体とした作風で、デトロイトでライブを披露した際にはマッド・マイクから絶賛された…らしいです。タイトルの「STRUTIN'」はサックスがフィーチャーされたジャズをも感じさせるストレンジなブレイクビーツ・サウンド。でもちゃんとフロア仕様です(4つ打ちだしね)
▼デトロイト・テクノ好きはリミキサーに注目すべし。「DIABLA」の大ヒットで有名になったファンク・ド・ヴォイドとテクノ界のDMCチャンピオン(鼻&ひじスクラッチ付き)クロード・ヤングです。ファンク・ド・ヴォイドの「STRUTIN' (FUNK D’VOID’S NEW TOKYO MIX)」(新東京MIXって???)は、スペーシーなシンセサウンドが美しい正統派デトロイト・サウンド。ファンク・ド・ヴォイドが手がけた中でも1、2を争う名作リミックスだと思います。クロヤンの「STRUTIN' (CLAUDE YOUNG MIX)」は、パーパス・メイカーばりのトライバルっぽいミニマルサウンド。これもなかなか良いです。
▼サブライム・レコーズは国内のテクノ・レコード・レーベルの中でも異例にデトロイト・テクノに理解がありますよね。ダン・カーティンやハナのアルバムをリリースしたり、ピースフロッグのコンピレーションやデトロイト・オリジネイターのブレイクビーツ集をリリースしたりとツボをついたセンスが泣かせます。がんばってほしいなぁ(最近はデトロイトから離れているみたいですが…)

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Cybotron - Clear (FANTASY:FCD-4537-2)

★★★☆☆

▼80年代初頭にホアン・アトキンスが所属していたエレクトロニック・ダンス・ユニット。それがサイボトロン(ホアンお得意のSF的な造語?)
▼メンバーは、ホアン・アトキンス、リチャード・デイビス、ジョン・ファイヴ。「CLEAR」「COSMIC CARS」「THE LINE」など彼らの代表曲を収録。全9曲。
▼内容はクラフトワークの影響を受けまくったエレクトロ。ホアン自身のささやくようなヴォーカルも聴けます。ホアン流「プラネット・ロック」といった方がわかりやすい?
▼当時、日本ではYMOが大ブレイクしていたはず。まだTR-909もTB-303もサンプラーも無い時代です。
▼20年以上前の音なのですが、普通に聞けるのは昨今エレクトロが復興しているから? それにしてもホアンのやっていることは昔から一貫してますね。
▼ジョン・ファイヴのギターが入ると途端にロックになってしまうのが微笑ましい。

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 D 

Dan Curtin - Art & Science (Peacefrog:PF051CD)

★★★☆☆

▼ピースフロッグからリリースされたダン・カーティンのアルバム3作目。相変わらずのオリジナル・デトロイト路線ですが、そろそろ飽きてきた?のかエモーショナルでロマンティックな展開は控えめになり淡々とした印象。ノンヴォーカルのヒップホップにも挑戦しています。悪くは無いんだけどいまいち食い足りないというか…。当時のインタビューでも「そろそろデトロイトから脱却したい」というようなコメントを残していました。

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Dan Curtin - Deception (Sublime Records:SBLCD5010)

★★★★☆

▼日本のサブライム・レコーズからリリースされたダン・カーティンのアルバム2作目。相変わらず独自のデトロイト路線を展開していて素晴らしい。なかでも圧巻はシングルカットされた「Voices From Another Age」 壮大なスケールを感じさせる正統派デトロイト・テクノ。ファンにはお馴染みのNSCでマスタリングされた力作。この他の曲もデトロイト、シカゴ、ヒップホップを通過したオリジナルな作品ばかり。(余り印象に残りませんが)ケン・イシイとケリー・ハンドのリミックスも収録。ちなみにUK盤は内容に合わない派手なアメコミ風のジャケットです。

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Dan Curtin - New World EP (SUBLIME:SBLCD5026UK)

★★★☆☆

▼ダン・カーティンが日本のサブライム・レコーズからリリースしたEP(…と名乗っていますが、8曲も収録されているので実質的にはミニアルバムといえるでしょう) タイトル曲の「New World」は男女のボイス・サンプルが印象的なファンキー・ハウス。ジャジーかつスペーシーな展開が「新しい世界」へのほのかな希望を感じさせる名曲です。2曲目「With Me Tonight」は、イントロのアース・ウィンド・アンド・ファイヤーねたに度肝を抜かれます(曲自体はいつもダン・カーティン節ですが) 6曲目「I'll Take You There (Latin Odyssey Mix)」は、アルバム「Deception」に収録した曲をサンバ風にアレンジ。のちにパーヴヤーズ・オブ・ファイン・ファンク名義などで見せるラテン風味の先駆けともいえます。リミキサーとして、“FIX”ことオーランド・ヴォールン(祝UR加入)とデイヴ・エンジェルが参加。オーランド・ヴォールンのは余り印象に残りませんが、デイヴ・エンジェルの「Sword of Orion (Dave Angel Mix)」は、地味な原曲をアッパーなダンス・トラックにリメイク! 彼の持ち味が存分に発揮された素晴らしいリミックスに仕上がっています。

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Dan Curtin - Pregenesis (Elypsia:ELY022CD)

★★★☆☆

▼前作「Art & Science」から4年を経てリリースされたアルバム4作目。往年のバズを連想させる活動で注目を集めたベルギーのエリプシア・レコードからのリリース(残念ながら同レーベルは現在活動休止) 以前のデトロイト路線は完全になりを潜めジャズっぽいハウスにシフト。それでもビートの力強さとハネ具合はいかにも彼らしい雰囲気ですが。全体のまとまりは素晴らしくアーティストとして成長したのかもしれませんが、荒削りで衝動的なところが魅力でもあっただけに残念な気もします。

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Dan Curtin - The Silicon Dawn (Peacefrog:PF018CD)

★★★★★

▼「Plutonion Summer」と名付けられたスペーシーなジャケットが印象的なダン・カーティンのファースト・アルバム。当時のピースフロッグはとにかく入手困難で、発売直後にレコード・ショップに駆けつけたにも関わらずどこに行っても品切れで呆然としたことを覚えています。「The Web Of Life」に収録された初期作品に比べるとディープで派手さはありませんが、じわじわと効いてくるスペーシーな楽曲の数々。当時大人気だったTB-303の使い方も独特。デトロイト・テクノから大きな影響を受けながらも、自分なりの個性を発揮している素晴らしい作品です。

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Dan Curtin - The Web Of Life (PEACEFROG:PF038CD)

★★★★★

▼ダン・カーティンの初期作品をベスト的に収録したDJMIX盤。メタモルフィック、バズ、ピースフロッグ等のレーベルからリリースされた楽曲は、初期ダン・カーティン特有の荒々しくパンキッシュな打ち込みながらもエモーショナルかつセンチメンタルな素晴らしい作品ばかり…。「Re-Awareness」、「Out Of Sight And Mind」、「3rd From The Sun」、「Interstellar Perception」、「Sentient」等々全曲必聴です。オールタイム・フェイバリットにミスター・フィンガーズやクラフトワークと並んでシャラップ・アンド・ダンスのコンピやフューチャー「Acid trax」を挙げる彼らしく、ブレイクビーツ的な変則的な打ち込み(元々ヒップホップ好きだったとか)と巧みなTB303の使い方が印象的。さり気ないようで実は相当巧みなシスタ・スピンスタ(…って誰?)のMIXテクニックもダン・カーティンの曲を盛り上げています。

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Daniel Bell - Blip, Blurp, Bleep: The Music Of Daniel Bell (Logistic Records:LOG033CD)

★★★★☆

▼徹底したミニマル・グルーヴでリッチー・ホウティンやモーリッツ・フォン・オズワルドにも大きな影響を与えた孤高のミニマリスト、ダニエル・ベル待望のベスト盤。自身のMIXCD「The Button-Down Mind Strikes Back!」をリリースしたフランスのロジスティック・レコーズから。このレーベルは元URのロバート・フッドの作品もリリースしていてとにかく渋い。オーナーのジョン・トーマスの趣向が強く反映されています。
▼彼の存在なくして後のプラスティックマンやベーシック・チャンネルに代表される「音の隙間」を生かしたミニマル・テクノは生まれなかったといわれるほど(リッチー・ホウティンとはサイバーソニック名義で共演)早い時期からストイックなミニマル・トラックを生み出していたデトロイトの異才。「Losing Control」、「Phreak」、「Flying Saucer」といった名曲の数々は、カシオのリズムマシン「RZ-1」(YMOの高橋幸宏が叩いたサンプル音で有名)で制作されたそうで、延々と繰り返すミニマル・ビートにフィルターで微妙な変化をつける手法はハマると抜け出せなくなる魅力を備えています。またタイトルにもあるようにブリープ音の使い方もトランシーですごい。最近の作風はMIX-CDの選曲からも分かるようにクリック寄りでビートもそれっぽいです。ラストの「Goodbye」は意外にもウワモノが乗っていて仄かに正統派デトロイト・テクノの匂いを感じました。

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Daniel Bell - Globus Mix Vol 4-The Button.Down Mind Of Daniel Bell (TRESOR:Tresor142CD)

★★★★☆

▼DBXことダニエル・ベル初のDJミックスCD。吸い込まれるような印象のジャケット(トンネルの写真)がミニマルしてますね。代表作「LOSING CONTROL」などカシオのリズムマシンを使ったクールな作品で知られるダニエル・ベルは、極限まで音数を削ったビートと独特なフィルター処理でミニマルやクリック系のアーティストに大きな影響を与えています(あのモーリッツやリッチー・ホウティンもDBXからの影響を公言しています) このミックスCDも彼の持ち味を存分に感じさせる素晴らしい内容です。
▼前半はロゾウルやハーバートなど、いかにも彼らしい音数の少ないクリック・ハウス系の音でスタート。すき間だらけの音にも関わらず、クールな雰囲気の中に見え隠れするファンク。素晴らしい…!!
▼中盤は自身の曲やディープハウスなどを交えて徐々にビルドアップしていく展開。派手なテクニックなど一切使わないにも関わらず飽きさせません。このままラストまで突っ走るのかと思ったら…。
▼後半は、カリ・レケブシュの変名ミスター・ジェイムス・バースやニック・フォルダーのファンキーなハウスを使ってぐいぐいと上げて行きます。この辺りに来ると頭の中は狂喜乱舞。知らないうちに首を振っていること間違いなし!
▼ラストは、デトロイト・テクノの影の立役者、アンソニー"シェイク"シェイカーの名曲「DETROIT STATE OF MIND」 ベルリンに拠点を移しても忘れないデトロイト魂。泣けます。
▼余談ですが、トレゾーのスタッフはこのCDのタイトル(BUTTON DOWN = ボタンダウンシャツ)が理解できずに「BUTTON」と「DOWN」の間にピリオドを入れてしまったのだとか。気づいていたにも関わらずそのままにしているのもダン・ベルらしいかも…?

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Dark Comedy - Funkfaker: Music Saves My Soul (Poussez!:POCD3)

★★★★☆

▼DJイエローことアラン・ホーのレーベル「Poussez!」からリリースされたケニー・ラーキンのアルバム。約7年ぶりにリリースされたダーク・コメディ名義待望の新作。
▼セルフ・ヌードのナイスなジャケット。デトロイトテクノらしからぬオシャレなデザイン。裏面は銃撃事件の手術跡? 内容は意外にもベーシックな4つ打ちだが、ただじゃ済まないのがこのひとの良いところ。独特な捻れたユーモア感覚とジャズ、ファンク、ソウル、R&Bを咀嚼した素晴らしく個性的な音。
▼「Tellin' Lies(dark mix)」や「In My Home」「Chicken Blues」あたりは、“テクノ・ブルース”とでも呼びたくなる新境地を開拓。まさにアメリカの黒人ならではのハウス。

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Dave Angel - Classics (R&S:RS96089CD)

★★★★☆

▼ジャズ・プレイヤーを父に持ち、元ドラッグ・ディーラー(!) 妹はヒップホップ・アーティストのモニー・ラブという異色の経歴を持つアーティスト。レイヴ・サウンドとデトロイト・テクノを融合した独自のサウンドが特徴。このCDは彼がR&Sからリリースした作品をコンパイルしたベスト盤。「Free Flow」「Fallen Destiny」などメロディアスでアッパーなダンスサウンドはリスニングにもダンスにも最適。テクネイジアやディエゴといったアーティストが好きなひとなら絶対気に入るはずです。また「Brother From Jazz」は、タイトル通りジャズへのリスペクトを表明したデイヴ・エンジェル版「Jazz Is The Teacher」 本家よりもエモーショナルで泣ける名曲です。

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Dave Angel - In Flight Entertainment (BLUNTED:BLNCD10)

★★★★☆

▼デイヴ・エンジェルがアイランド・レコード傘下のブランテッドからリリースしたメジャー移籍第一弾。4曲入りのミニ・アルバム。飛行機での旅をテーマとしたコンセプチュアルな内容で、ジャケットは英国航空のパロディ。自身のローテーション・レーベルで才能を発揮していた時期の作品なだけに、4曲とも見事にエンジェル節が炸裂! ハードでテンションの高い高速ビートにデトロイト・テクノの影響を受けたメロディアスなコード進行がとにかく素晴らしいです。

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Davina - Best Of Both Worlds (Loud:74321522992)

★★☆☆☆

▼URからリリースされた傑作ハウス「Don't You Want It」でヴォーカルを務めたことで知られるダヴィーナのファースト・アルバム。エリカ・バドゥやジル・スコット系のR&Bです(デトロイト・テクノやハウスは一切なし) 全て自ら作曲・ヴォーカルを手がけるなど才能を発揮しており、アルバム発表当時はマイケル・ジャクソンにカバーされるなど話題の新人として取り上げられたようですが、以降がさっぱり続かない…。再びデトロイト・テクノが盛り上がっているご時世ですので、またソウルフルなヴォーカルを披露してほしいものです。

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Derrick May - Innovator (SME:SRCS 7980-1)

★★★★★

▼初めてデトロイト・テクノを聞くひとに問答無用でオススメしたいのがこのアルバム。某TV番組のBGMに使われて中途半端に有名になった(?)「ストリングス・オブ・ライフ」を筆頭に、デリック・メイの代表作をほぼ網羅した2枚組全26曲の大作。スパークする情熱とエロチシズム!
▼87年から93年の間に、たった7枚しかシングルをリリースしていないデリック・メイですが、(最後のリリースから10年が経過したにも関わらず)未だに新作が待望され、クラブでは「ストリングス・オブ・ライフ」がかかり続けるほど彼の作品への評価は高く、ホワン・アトキンス、ケヴィン・サンダーソンと並んでデトロイト・テクノの"イノベイター(創造者)"と賞賛されています。
▼このアルバムを聞けば賞賛の理由はすぐに分かるはず。シャリシャリした独特のエフェクト、奇妙ながらも美しく鳴り響くアナログシンセのストリングス。TR909(ローランド社のリズムマシン)を駆使した、単なる4つ打ちではなくタメの効いたブレイクビーツ的なビート…。(特に初期の作品は)録音状態も悪く雑なところが多い(ベンダーで転調したり…)にも関わらず、それを欠点とは思わせない情熱的でソウルフルな曲調は、デリック・メイの独壇場でしょう。
▼今となってはDJ兼プロデューサー業に専念し、ともすると日本に拠点を移しそうな勢いで来日する(実際そういう噂は絶えない…)デリック・メイ。そんな彼の最近の姿勢に対し「セルアウト」と陰口をたたくひとも見受けられますが、彼の一連の作品にクレームをつけるひとはほとんどいないことからも分かるとおり、ここに収められている楽曲は、デトロイトの黒人青年と中古のアナログシンセサイザー、インナーシティと郊外という二重構造を持ったデトロイトの環境が生んだ一瞬の奇跡だったのかもしれません。
▼蛇足ですが、このCDのライナーノーツに掲載されているデリック・メイ自身の手による風景写真は、音に負けず劣らずアーティスティックです。またデトロイト・テクノの権威(?)野田努氏による入魂のテキストもたいへん興味深い内容ですので、テクノ・ファンのみならず全ダンス・ミュージック・ファンにお薦めできる逸品です。

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Derrick May - Mix-Up Vol. 5 (SONY:487565 2)

★★★★☆

▼石野卓球プロデュースのMix-Upシリーズ第5弾は、御大デリック・メイが登場。今から6年以上前にリリースされた古い作品ですが、テープ編集によるトリッキーな構成とハウス〜テクノを自由に行き交う選曲は未だに新鮮です(小松崎茂のジャケットはご愛嬌。ご丁寧にトランスマット柄のバッグまで持ってます)
▼リリカルなソロ作品とは印象が全く印象が異なる「ファンキー」で「エロティック」で「パーカッシブ」なミックスはとにかくエネルギッシュ。エロティックなサンプル音と緩急ある展開が印象的な5曲目リル・ルイス「French Kiss」は、デリック・メイの裏テーマソング(?) 大音量で聞く場合は注意が必要です。
▼耳につくのはラテン系ハウスで、フルーツ・ループス「The Message Is Love」、ベースメント・ジャックス「Get Down Get Horny」、「Eu Nao」などデリックが人気の火付け役となった名曲が目白押し。また、シカゴ・ハウスも、DJスニーク「Soundz In My Head」、ポール・ジョンソン「A Little Suntin Suntin」、グリーン・ベルベット「The Preacher Man」などデリックのDJには欠かせない曲ばかり。
▼ただ単に上げるだけではなく、要所でジェフ・ミルズ「Alarm」、「The Dancer」やサイレント・フェイズ「Meditive Fusion (Kenny Larkin Mix)」のようなクールな曲で緩急をつけるところがベテランならでは。何回聞いても聞き飽きさせません。

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Diego - Instant Reality (KANZLERAMT:KA85CD)

★★★☆☆

▼独カンツェラムト・レーベルを代表するアーティストに成長したディエゴのアルバム3作目。MMP3.COMからのリリース経験もある新世代のアーティストですが、デトロイト・テクノをドイツ流に解釈した新鮮な作風でテクノDJのみならずフランソワ・ケヴォーキアンのような大物ハウスDJにも支持されているようです。「Mind Detergent」、「Me Fragments」、「Sacrament」といった曲に代表されるように、ヨーロッパ的な暗鬱な音色と立体的なエフェクトの使い方が独特で前に前に出てくるような感触。飛ばされます。レーベル仲間のアレクサンダー・コワルスキに通じるテイストですが、よりアッパーでフロア・フレンドリーな雰囲気。

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DJ Godfather - The Godfather Chronicles (Technorient:MB205CD/DVD)

★★★★☆

▼テクネイジアのアミル・カーンがプロデュースした、ゲットー・テックの帝王「DJゴッドファーザー」のミックスCDとドキュメンタリーDVDの豪華盤。知的で詩的なデトロイト・テクノ、デトロイト・ハウスとは全く異なる「裏のデトロイト」(彼の地では、ゲットー・テックの方がメジャーのようですが)を余すことなく見せてくれる素晴らしい内容です。ゲットー・テックとは、乱暴に言ってしまえばエレクトロにテクノ、マイアミ・ベース、シカゴ・ハウスのテイストを盛り込んでBPMを150〜160以上にしたようなデトロイト特有の音楽で、なんともいえない安っぽさとゲットー感(ヤンキーっぽさ?)がポイント。必要以上に前に出る重低音ベース、硬いTR系のビート、プリセットを使いまくった音色、シカゴ譲りの下品なサンプリングで構成されたスカスカな音は、深いテーマ性とか音楽性とは無縁の「老若男女が踊れりゃOK」な直球ダンス・ミュージックですが、不思議とファンキーでメチャクチャかっこいい。好き嫌いはハッキリ分かれると思いますが、自分はこういった音楽が大好きです。なんとなくガバ(ハード・コア)にも通じるものがありますが、ガバと大きく違うのはとにかく「セックス」を全面に押し出していること。エロサンプルも使いまくりです(お約束の「Parental Advisory」ロゴもついてます)
▼DJゴッドファーザー(名前から勝手に大男の黒人を連想していましたが、実際にはヤンキーっぽい白人でした)は、その名の通り、ゲットー・テック・シーンの中心人物で、DMCチャンピオンばりの凄まじいDJテクニックの持ち主。テクノ、ハウス、ヒップホップ、エレクトロを全部45回転にしてBPM160以上で豪快にミックス。ジャグリング、スクラッチ、バックスピンといったバトルDJの技を「これでもか!」と使い倒してくれます。ミックスCDは、なんと全48曲(!)で、半分以上は自分の曲なのがアメリカっぽいですね。笑わせてくれるのは、テクネイジア「Final Quadrant」やロス・ヘルマノス「Quetzal」といった正統派テクノ(?)も使っているところ。当然、そのままかける訳ではなくて45回転で擦りまくりですが。ギャングスタ・ヒップホップにも通じるバイオレンスなギャグ(?)も含まれていて、11曲目「Claus Enters Interlude」では、ヨーロッパから来たクラウスというハード・トランスDJが登場して「オレ自慢」をしますが、キレた現地のブラザーにボコボコにされてしまいます(最終的には射殺されるというのが何とも…)。どうせなら、でかいピックアップトラックに乗って爆音で聞いてみたくなりました。
▼ドキュメンタリーDVDの内容も凄い。DJゴッドファーザーを始めとしてDJディーオン、DJナスティーといった有名無名のゲットー・テックDJ、UR「Hard Life」のリミックスも担当したアーロン・カール、デトロイトで一番有名なレコードショップ「Record Time」のオーナーなど、デトロイトのゲットー・シーンを取り巻く人々が、それぞれの視点からゲットー・テックについて語っています。URがらみではDJ3000や御大マッド・マイク(声のみ)も出演。DJがホアン・アトキンスのサイボトロンやアリル・ブリカの「Groove La Chord」をかけるシーンなんかは、デトロイト・テクノへのリスペクトを表明していて感動的です。なんといっても印象的なのは、パーティに遊びに来ている女性客のダンス! もろにセックスを連想させる腰ふりまくりの過激なダンスを披露していて驚かされます。黒人女性が無心で踊っているのをニヤニヤしながら見守る白人客が印象的(シャールもニヤけてます) 黙々とブレイクダンスを披露する若い黒人男性とは対照的。エミネムが無名時代にフリースタイルを披露したクラブ「Shelter」も登場します。残念ながら日本語字幕には難有りで、誤字脱字、適当な改行(非常に読みにくい…)、掟破りの3行字幕(!)、ダンスミュージックに関する基本的な知識不足(レコードの回転数を説明しなかったりドラムンベースを「ドラムとベース」なんて略したりする)など、とにかくひどい。ここはもっとまともな人にやってほしかったなぁ…。それにしても、テクネイジアは本当にアメリカのダンス・ミュージックが好きなんですね。そういえば、相方のシャール・シグリングも「Fuse Presents Technasia」でシカゴ・ハウスを使いまくっていましたね。

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DJ Rolando - DJ Rolando : The Aztec Mystic Mix (Underground Resistance:UR 049 CD)

★★★★☆

▼「Jaguar」の大ヒットで新生デトロイトを決定づけた重要アーティストDJロランドのファーストミックスCD。自らのルーツを示すような古代遺跡のジャケットが渋い。全てUR関連で占められた選曲を素晴らしいテクニックでつないでいく傑作。
▼宇宙を感じさせる素晴らしいイントロからいきなり大ヒット曲「Jaguar」登場! パーカッシブなラテン・ビートと徐々にビルドアップしていくエモーショナルな展開は、まさに正統派デトロイト・テクノ。テクノ・ハウスといったジャンルを超えてヒットしたことも頷ける名曲です。そこからレッドプラネットの隠れた名作「Dreamdancing」、URメンバーのみが持っている幻の「Z Track」、自身の「Aztec Mystic」、オクターブ・ワン「Daystar Rising」、マーティアン「Firekeeper」など、デトロイト屈指のエモーショナル・トラックを連発してどんどん盛り上がっていきます。
▼後半は「Stardancer」からドレクシア「Dr. Blowfins Experiment」につなぎ一転してエレクトロに。UR「Soulpower」、アフロジャーマニック「Z Track」、M.I.A.「Schoolcraft Bump」、UR「Soul Circuits」とたたみ掛けるように渋いトラックを連発。ラストはサバーバン・ナイト「Midnite Sunshine」で仄かな希望を感じさせながら壮大な世界感をしっかりと締めてくれます。

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DJ Rolando - Nite:Life 016 Rolando (NRK:NRKMX 16)

★★★★☆

▼ロス・エルマノスからの連続リリースや2枚のMIXCD(「Vibrations」「Sweat Volume One」)など、活発に活動を続けるDJロランドの最新MIXCDがUKのディープ・ハウスレーベルNRKから登場。これまでのMIXCDは選曲に「UR」「サブマージ」という縛りがありましたが、今回はデトロイトに捉われない自由な選曲でこれまでで一番の完成度だと思います。
▼NRKの代表的アーティスト、ニック・ホルダーの「Sunrise」からスタートし、ジーン・ファリス、セブン・グランド・ハウジング・オーソリティ(テレンス・パーカー)の地元ミシガン勢でじわじわと盛り上げ、決めの部分で自身のロス・エルマノス「Quetzal」を使うのがにくい! その後は、アダム・ベイヤー「Ignition Key (Aril Brikha Mix)」、ジョーイ・ベルトラム「Extension」、フレデリック・ガリアーノ「Woualai (Soul Designer Mix)」、ジョン・トーマス「Working Night (Rolando Mix)」、クリティカル・フェイズ(ダン・ケーリングとカーク・ディジョージョのユニット)、テクネイジア「Crosswalk」と一気にテクノ系でたたみ込みます。終盤は、ラファエル・メリウェザーズ・ジュニア(“S.I.D.”シリーズ同様、デトロイトのサブマージでしか買えない“ローカル3000”シリーズに参加)、モデル500「No UFO's (D-Mix)」、ジェラルド・ミッチェル(ロス・エルマノス名義の相方)とデトロイトをフィーチャー。ラストはジェフ・ミルズの「See This Way」で締めます。
▼今回のMIXからはこれまで以上にヒスパニックとしての“独自性”“同一性”を再確認する意志が伝わってきます。ジャケットのデザインからもその意志は顕著で、チェ・ゲバラの壁画に書かれた「We are NOT A minority!!(俺たちは少数派ではない)」というメッセージや、民族衣装を身に着けてURのCDを笑顔で手にする少年の姿は、ルーツを追求するロランド自身の方向性を表しているのでしょう。選曲も世界各国のアーティストを取り上げておりここでも「民族」がキーワードになっていると思われます。

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DJ Rolando - Sweat Volume One (Sweat Records:SWEATCD-01)

★★★★☆

▼スウィート・レコーズはサブマージ傘下のディープ・ハウス・レーベル。このミックスCDは、レーベル・オーナーのビート・アディクツがデトロイト・ハウスを中心に選曲。DJロランドがDJミックスを手がけています。URの名曲「Hardlife」からスタートし、メンバーズ・オブ・ザ・ハウス、アルトン・ミラー、ケニー・ディクソン・ジュニアといったデトロイト・ハウスの才人たちの艶と腰のある楽曲が丁寧かつソウルフルに展開。圧巻は、アーロン・コール「Wall Shaker」〜ダヴィーナ「Don't You Want It」(名曲!)〜ロス・エルマノスの未発表曲(!)へのつなぎでしょう。とにかくダイナミックで素晴らしいです。デトロイト産のディープハウス、ガラージハウスに興味がある方にお薦めの一枚。

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Domu - Discotech EP (Psychic Phenomena:PSYCH-002CD)

★★★★☆

▼ディーゴの2000ブラックからリリースしている西ロンドン系(?)のドム。この名前からは、どうしてもモビルスーツを連想してしまいますが全く関係ないそうです(本名のドミニク・スタントンを縮めただけ) ドム名義以外にヨトコ、リマ、ソナー・サークルなど、多彩な音楽性を見せている彼ですが、今回は、もろにデトロイト・テクノ、ハウスっぽいブロークン・ビーツ・サウンドを展開。初期のダン・カーティンっぽいスペーシーな雰囲気も良いです。ディーゴの相方、マーク・マックもリミックスで参加。

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Double Helix - Illuminations (Catalog.:CATCD#005)

★★★★☆

▼デリック・メイがプロデュースする新世代デトロイト・アーティストのアルバムが続々登場。渋谷のシスコ・テクノ店がオーガナイズするカタログ・レーベルからのリリース。本作「Illuminations」をリリースしたダブル・へリックス(二重螺旋)は、デトロイト近郊に住む夫婦ユニット。いわゆる典型的な「デトロイト・テクノ」ではなく、ラウンジ、ブレイクビーツ、ドラムンベース、テクノといった様々な手法を用いたバリエーション豊かな作品になっています。ヴォーカルとチェロ(!)を担当するレベッカと、控えめながらも多彩なビートを繰り出すハンスの才能が融合して、おしゃれなカフェでかかっていても違和感のないハイセンスな魅力を醸し出していますが、さりげにTB-303のアシッド・ベースを使っていたりデトロイト伝統のストリングスが鳴っていたりする点は、さすがにトランスマット所属のアーティストだと再認識させられます。

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Drexciya - Grava 4 (Clone:C#25)

★★★★☆

▼イントロの深海で何かが蠢いているような「Cascading Celestial Giants」から、一気に彼らの世界観に引き込まれてしまう傑作。このアルバムは、デトロイト・テクノ・シーンの最重要アーティストであるドレクシアがオランダのクローンから発表した作品で、レーベルが変わっても「深海」をテーマにしたダークでヘビーなエレクトロは一貫して変わっていません。アナログ・シンセを多様したストレンジな音色とデトロイト特有のTR-808、TR-909を使ったシンプルで硬質なビートは、アーティストとしての強固な信念を感じさせてくれて相変わらずどの曲も素晴らしいですが、4つ打ちの曲も含まれるなど以前の作品から比べると随分と分かりやすくなった気がします。「Drexciyan Star Chamber」「Gravity Waves」「Hitech Nomads」あたりではデトロイト特有のセンチメンタルでロマンチックな部分も感じさせてくれて以前よりもずっとダンサンブル。シングルカットされた「Drexcyen R.E.S.T Principle」はミニマルな4つ打ちで、これまでドレクシアを難解に感じていた人でも気に入ってもらえるのではないかと思います。個人的な意見なのですが、ドレクシアのイメージは、アメリカのSFホラー作家ラヴクラフトのクトゥルフ神話にぴったりな気がします。「クトゥルフの呼び声(The Call of Cthulhu)」あたりが映画化された際には、ぜひ採用していただきたいなと。

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Drivetrain / The Deepest Harmony Of Drivetrain (Soiree Records:SRCD 141)

★★★★★

デトロイトの老舗ハウス・レーベル「ソワレー(夜会)」の主催者、デリック・トンプソンがドライブ・トレイン名義でリリースしたレーベル・サンプラー的なミックスCD。いかにも老舗らしく、セオ・パリッシュやムーディマンのような実験的な部分のあるハウスというよりは、ジャズ、ファンク、ソウルといった伝統のブラック・ミュージックを受け継いだオールドスクールな内容。ヴォーカルものは少なく抑え目のトーンでストイックな印象ですが、どれもデトロイト・ハウス特有の極太で硬いキックとグルーヴィなベースで構成され、スムーズなロング・ミックスでじわじわと上げてくれます。収録曲は、1998〜2004年にソワレーからリリースされたデリック・トンプソン自身の作品が中心。最新作「Symphonium 4」収録の「One Wish」から、「Symphonium III」収録の「I Believe」、マイク・グランドのムーズ・アンド・グルーヴスにライセンスされた「Bonne Soiree」収録の「Moondance」など大人っぽくセクシーな印象です。なかでもエレガントなピアノやスキャットをフィーチャーした「Acid Ensemble」やウッドベースがジャジーな「Tell Me」はハイクオリティで特に印象に残ります。ラストの「Paradise Love」もレーベル名の通り「夜」を感じさせるしっとりとした名曲。何度聞いても聞き飽きない名作ミックスCDに仕上がっています。ちなみに、オンライン・レコード・ショップの「compufunk.com」でデリック・トンプソンが2004年に来日した際のDJミックスを聞けますよ。

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 E 

E-Dancer - Heavenly (Planet E:PE 65241)

★★★★☆

▼ケビン・サンダーソンのEダンサー名義(今のところ)唯一のアルバム。インナーシティやリース名義に比べると、ぐっとテクノ寄りの内容。独特な硬い音質はミニマル系のアーティストに強い影響を与えました。「Velocity Funk」、「World Of Deep」など未だにダンスフロアで聞ける名曲を収録。リミキサーとしてカール・クレイグ、ケニー・ラーキン、ダリル・ウィン(デリック・メイと共作したR-Tyme名義で有名)、ホアン・アトキンスが参加。それぞれの個性を発揮しています。中でも「Pump The Move」のケニー・ラーキンMIXは、いかにも彼らしい個性を発揮していて素晴らしいです。

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Envoy - Shoulder 2 Shoulder (Soma:Soma CD36)

★★★★☆

▼ファンク・ドヴォイドと並ぶソーマの代表的アーティスト、ホープ・グラント待望の新作(約6年ぶり!) ヴォーカルもサックスもプレイできる多彩な才能の持ち主ですが、本作でも遺憾なくその才能を発揮。中でも「Shoulder 2 Shoulder」は、ファンキーなビートとスラッピング・ベースにボコーダー・ボイスが載ったUR直系のコズミック・ダンス・トラック。ブレイクから入ってくるサックス・ソロは、まさに「Hi Tech Jazz」を連想させられます。「Move On」では、ポップなヴォーカル・トラックにも挑戦し新境地を見せています。

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Envoy - Where There's Life... (SOMA RECORDS:SOMACD11)

★★★☆☆

▼セイント・ヴィータス・ダンス、アーバン・グルーヴといった名義でも知られるホープ・グラントのエンヴォイ名義のアルバム。スラムやファンク・ド・ヴォイドで有名なグラスゴーのソーマ・レコーズからリリース。初期生産分は2CD(限定サンプラー付き)で非常にお買い得です。
▼つんのめるようなビートで突っ走る「WINDS OF CHANGE」 昔のローテーションを連想させる「BEAUTIFUL WORLD」「ICARUS' WINGS」(あそこまで速くないですが…)) ファンキーなサックスをフィーチャーした「SAXMAN」など、デトロイトからの強い影響を感じさせるテックハウスを展開しています。
▼サンプラー(6曲)もオマケと呼ぶにはもったいない内容です。「SEAWALL」は、タイトルどおり海岸から荒れる海を眺めているようなエモーショナルな曲。「LOVE SUITE 2000」(すごいタイトル…。HITOMIみたいですね)は手弾きのサックスフレーズが味わいのある哀愁テックハウス。
▼デトロイト・フォロワーの宿命なのか本家デトロイトのような「タメ」や「艶」は無く、軽めの乾いたビートや時々チープにも感じられるメロディなど物足りなくも感じられますが、これはこれでグラスゴーからデトロイトへの回答なのでしょう。自分は気に入っています。
▼ホープ・グラントといえばセイント・ヴィータス・ダンス(舞踏病!)名義の「COME OF AGE」も素晴らしいです。エモーショナルなデトロイト・テクノ(UR直系)を完全に自分のものにしています。「V.A. / DELETION 3(PEACEFROG)」に12"まるごと収録されていますので中古屋でお見かけの際にはぜひ手にとってみてください。
▼ちなみに彼はデイヴ・エンジェルの初期作品でサックスを担当していたとか。ローテーションの初期作品で聞けるエモーショナルなサックスはホープ・グラントの仕事だったんですね。

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 F 

Fabrice Lig - My 4 Stars (Kanzleramt:KA105CD)

★★★★☆

▼ファブリス・リグが、トランシーなダンス・トラックを連発するカンツェラムトから待望のアルバムをリリース。元々、傾向が似ている両者だけに、デトロイト・テイストな素晴らしい内容になっています。とくに表題曲「My 4 Stars」は、エモーショナルなヴォーカル・トラックで、後半に行くにつれて盛り上がる展開が感動的。パーカッシブなヒット曲「Los Picaros」も収録。ヨリス・ヴォーンやテクネイジア系のサウンドが好きなひとにお勧めします。

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Fabrice Lig - Roots Of The Future (Raygun Records:RG017 CD)

★★★☆☆

▼デトロイトに強く影響を受けた作風で、一躍人気アーティストとなったファブリス・リグの本人名義ファーストアルバム。まもなくカンツェラムトからセカンドもリリースされるようで、とにかく勢いがありますね。内容も相変わらず初志貫徹なデトロイティッシュ・テクノで素晴らしいです。
▼全編アッパーなフロア・ユース・トラックで、2002年にFコミからソウルデザイナー名義でリリースされた「Walking On A Little Cloud」に比べるとビートも重めに仕上がっています(もちろん“あの”ラテンパーカッションとローランドSH101は健在) 3曲目「Thru Your Soul」ではヴォーカル・トラックに挑戦しており、これがなんとも素晴らしい。ジャンルが細分化される前の90年代テクノの匂いがします。明るく爽やかでポジティブな印象です。
▼1972年生まれ、ベルギー人という経歴からもテクノとトランス(…といってもサイケデリックやユーロ・トランスではなく90年代初頭のジャーマン・トランス)が共存していた時代を体験しているんでしょうね。むりやりハジけてみたような姿勢が痛々しかったケン・イシイの「Future In Light」あたりに比べると、ストレートにデトロイトから受けた影響を表現しており好感が持てます。デトロイト・テクノ特有の粘っこいファンク臭やメランコリックな部分が好きな方には、白人フォロワー特有の“軽さ”が気になるのかもしれませんが、そんなことは関係なく素直に「質のいいテクノ」が聞きたい人、特に最近のカンツェラムト勢やテクネイジア、ファンク・ドヴォイドあたりが好きな場合は無条件でお勧めします。

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Focus - Sweet And Sour (Versatile:VERCD008)

★★★☆☆

▼フィル・アッシャーは、グローバル・ロジック、フラッシュ3000、エレクトリック・ソウル、レストレス・ソウルなど数々の名義でのリミックス・ワークやネイサン・ヘインズのプロデュースで有名なウェスト・ロンドンのDJ・プロデューサー。以前から、マッド・マイクの「Hi-Tech Jazz」から影響を受けたことを公言していることで一部のデトロイト・テクノ・ファンにも知られています。この作品は、フォーカス名義でフランスのヴァーサタイルからリリースしたファースト・アルバムで、ディープ・ハウス、ブロークン・ビーツといった得意なジャンルのサウンドを自分流に解釈したバラエティ豊かな内容になっています。冒頭の「Having Your Fun」はクラブで大ヒットしたそうですが、R&Bっぽいポップな曲でごく普通な感じ。キーボードでネイサン・ヘインズが参加した「Find Myself」は、正統派のディープ・ハウス。「China Bumps」は力強いブレイクビーツが印象的。デトロイト派には、12曲目「Hal」がお勧め。吸い込まれるようなコズミック・シンセ・サウンドが結構いい感じです。ウェスト・ロンドン系全般に感じることなのですが、もう少し粘っこさが欲しいような気がします(これが英国流なのだと思いますが…) どうせならマッド・マイクの「Hi-Tech Jazz」路線の影響を受けまくっている(らしい)ベーシック・ソウル名義の「Hi-Line」「Over The Moon」といった曲をCDで聞いてみたいものです(CDでは聞けないようです)

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Funk D'Void - Volume Freak (Soma:SOMA CD 35)

★★★☆☆

▼「Diabla」を大ヒットさせて一躍有名になったソーマの代表的アーティスト、ファンク・ド・ヴォイドのサード・アルバム。前作「DOS」もデトロイト調のスケール感のある音響処理とジャジーな楽曲で評判でしたが、今作も更にその路線を進化させて“グラスゴー流デトロイト・テクノ”とでも呼びたくなるような独自の個性を発揮しています。
▼1曲目「Emotional Content (Funk D'Void Remix)」がとにかくドラマチックで素晴らしい。ファンク・ド・ヴォイドお得意のヘビーなベースと次々に折り重なる美しいシンセ・サウンドが洪水のように押し寄せて、目一杯エモーショナルに聞いている人の感情を揺さぶってくれます。3曲目「Can't Get Enough Of A Bad Thing」は、マーク・ベルという男性ヴォーカルが歌うダンス・トラック。てっきり元LFOのマーク・ベルなのかと勘違いしてしまったのですが、どうやら同姓同名の別人(マーク“ブラックキャット”ベル)のようです。5曲目「Way Up High」と並んでいかにもイギリスらしいポップでドラマチックなテック・ハウスです。6曲目「All That Matters」も、浮遊感のあるシンセと腰の入ったベースがしっかりと躍らせてくれるダンスチューン。「Diabla (Heavenly Remix)」と「Jack Me Off (Old School Remix)」の過去ヒット曲で水増しして売り上げアップを狙っている(?)のはご愛嬌。勿論、どちらも良い曲ですので聴いておいて損は無いですよ(関係ないのですが「Diabla」のミュージックビデオが面白いですよ。チープな映像ですがオチが効いていて楽しめます)。
▼…それにしてもジャケットがひどいのはソーマの伝統なのでしょうか? これだけ素晴らしい内容なのにちゃらけた先入観を持たれてしまいそうな気がしますが…。もっとセンスの良いジャケットにしてアーティストの魅力が素直に伝わるようレーベル側は努力していただきたいものです(アーティスト自身の趣味なのかもしれませんけどね)

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 G 

Galaxy 2 Galaxy - A Hi Tech Jazz Compilation (Submerge:SUBJPCD004)

★★★★★+★

▼アンダーグラウンド・レジスタンスを率いるデトロイト・テクノの代表的アーティスト/プロデューサ、マッド・マイクの集大成「A Hi Tech Jazz Compilation」がついに登場しました(CD化は考えられないと)全てのテクノ・ファン、ハウス・ファンは元よりジャズ、ファンク、ソウルなどブラック・ミュージック好きにも無条件でお勧めできるスペーシーでソウルフルな名曲ぞろい。全曲ハズレなしです。「Nation 2 Nation」「World 2 World」「Galaxy 2 Galaxy」の三部作にプラスして「Millennium to Millennium」収録の「Timeline」とTimeLine名義の「Return Of The Drgons」、さらに新曲「Moma's Basement」「Afro's Arp's And Minimoogs」(シンセマニアはニヤリなタイトルですね)の2曲を収録したマッド・マイクのベスト盤といった内容。どの曲もコメントする必要がないくらい素晴らしいのですが、渋谷WOMBでライブ演奏を披露した「Return Of The Drgons」、女性のボイスサンプルが印象に残る「Somtimes I Feel Like」、生サックスがエモーショナルなハイテック・ジャズの原型「Nation to Nation」、ダイナミックなイントロで宇宙を駆ける「Jupiter Jazz」、男のロマンを感じさせる「Amazon」、瑞々しいイントロとマッド・マイクの手弾きサックスがジャジーなURの代表曲「Hi-Tech Jazz」、ホアン・アトキンスとの共作で故ブルース・リーに捧げた「Journey Of The Dragons」、URの楽曲中、最もロマンティックな「Star Sailing」、感動的なイントロとボコーダーボイスがファンキーな「Timeline」、ファンキーなギターとゴズペル調のヴォーカルがブラック・ミュージックを感じさせる「First Galactic Baptist Church」など、どれか一曲を選ぶのは不可能なくらい名作が揃っています。これと「LBH - 6251876 : A Red Planet Compilation」を持っていればマッド・マイクの素晴らしい仕事をほぼ網羅できますね。まさに2003年ごろから始まったデトロイト・テクノ・ブームの頂点と言えるのではないでしょうか。
▼で、さんざん聞き倒した感想なのですが、1枚目よりは新曲も含んだ2枚目の方が個人的には気に入ってます。1枚目の中では、「Return Of The Dragons」(エレピソロが印象的)、「Body And Soul」(URにしては珍しくインテリジェント系?というか初期のカール・クレイグっぽいロマンチックな曲)、「Nation 2 Nation」(ハイテクジャズに隠れてますが、これもスペーシーなサックスでとにかく気分を高揚させる名曲です)、今は亡きニュー・エレクトロニカのコンピ「Global Technological Innovations Unreleased-1」に収録されていた幻の名曲「A Moment In Time」、「Amazon」(3分弱に入るノイズも忠実再現…。これって原盤に入ってるんでしょうね)あたりが耳に止まりました。2枚目は、「Hi-Tech Jazz」「Journey Of The Dragons」「First Galactic Baptist Church」あたりは別格として、「Windchime」(涼しげなウワモノが印象的)、藤原大輔が参加して注目の「Moma's Basement」は、ちょっと手数が多いかな?と個人的に感じました。マッド・マイクがジミヘンばりにギターをかき鳴らしているのが面白いんですが、余りにもジャズ、ファンク路線により過ぎていてお腹いっぱいな印象。それよりも「Afro's Arp's And Minimoogs」の方がチープなイタロ・ディスコ調で面白いですね。
▼総じて言えることですが、やはりマッド・マイクの曲はイントロがずば抜けてかっこいい! 特に「Jupiter Jazz」「Amazon」「Hi−Tech Jazz」「Timeline」「Inspiration」あたりは、一度聞いたら忘れられないはずです。イントロもアウトロもブツ切りが当たり前のテクノ、ハウスの楽曲としては極めて異色というか、ファンカデリックでベースを担当していたことがあるほどの音楽的素養に満ちたマッド・マイクだけに、単なるベッドルーム・テクノとは一線を画していると言えますね(相変わらずキックだけはTR-909一辺倒ですが。これもまた頑固なマッド・マイクらしいかも)

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Gary Martin - Viva La Difference (Exceptional:EXLPCD0301)

★★★☆☆

▼テクノティカ、ジジ・ギャラクシー名義で強烈な個性を発揮しているゲイリー・マーティンのファーストアルバムが、ススム・ヨコタ、ケン・イシイ、石野卓球など、やたら日本人アーティストの作品をリリースするエクセプショナルから登場。ダンスする女性を“炎”に見立てたジャケットは、ゲイリーの変わらぬダンスミュージックへの情熱を表現しているのでしょうか?
▼全編あいかわらずのミニマル+エキゾチカ&トライバル風味。クラブヒットした「Casa Caugat(Prime Time Mix)」はブレイクで音が止まるところがかっこいい。あからさまなラテンやオリエンタルではなくどこか品のいいところがゲイリー印? …かと思えば「Geisha Supreme」や「Mambo Elektro」など何か勘違いしているようなタイトルの曲も…(これまたいい感じ) 60年代エキゾチカそのまんまな曲も収録。デトロイト・テクノ的なエモーショナルな部分は皆無ですが面白い音を探しているにおすすめします。

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Gary Martin / Mix CD Recorded May 17,2003 (Teknotika Records:?)

★★★★☆

▼何やら出所が怪しげなDJミックスCD。セオ・パリッシュのミックスCD同様にCD-Rで型番は不明。曲名リストもなし! シスコのレビューによるとゲイリー・マーティンが来日した際に自分で持ち込んだものなんだそうで、シスコでしか手に入らなかったらしいです。ペラペラのジャケットとメールアドレスがウェブメール(hotmail)なのが、いかにも手作りっぽい感じでアンダーグラウンド感ありまくり。装丁はチープですが中身は素晴らしい。いかにも彼らしい音圧のあるパーカッシブな曲を緩めのテンポでじわじわ上げて行きます。ポイントで「Casa Caugat」のような自身のヒット曲を持ってくることも忘れていません。後半のエキゾチカでディスコな雰囲気も妖しくて良いです。それにしても、ゲイリー・マーティンというアーティストは、個人的に物凄く気になる存在なのです。あの独特なアートワークや本人も含むテクノティカ所属アーティストの強烈な個性(ピーターみたいなシモーン・スターやジゴロからのリリース経験もあるDJバリウム)、ダークでシリアスなデトロイト勢から一歩引いたような悪ふざけ寸前の曲(Geisha Supremeとか)など、どれも他のデトロイト・テクノ・アーティストに負けない強烈な個性を発揮していると思います。新曲もどんどんリリースしているようなので今後にも大期待(テクノティカのレーベル・サイトがずっと消えたままなのが気になりますが…)

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Glenn Underground - The Jerusalem EP's (Peacefrog:PF066CD)

★★★★☆

▼出す作品すべてハズレなし! シカゴ・ハウスの実力派アーティスト、グレン・アンダーグラウンド(名前までカッコいい!)がピースフロッグからリリースした傑作EP。初期は、ドナ・サマーネタの「I Feel Dub」など、いかにもシカゴっぽいアンダーグラウンドなディスコ・ハウスをリリースしていましたが、キャリアを重ねるうちに生楽器を多用した70年代のファンク・ソウルを彷彿とさせる作風に変化して現在に至っています。この「The Jerusalem EP's」では、横ノリの素晴らしくジャジーでスムーズなディープ・ハウスを披露。幼い頃からキーボードを演奏しているだけあって見事なメロディを奏でており、シカゴ・ハウスにありがちなチープな感じは全くありません(ゲットー・ハウス路線も個人的には好きですが) URの「〜2〜」シリーズや「Return Of The Dragons」が好きなひとに特にお勧めします。

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 H 

Hanna - Contemplating Jazz (Track Mode:TMCD 1002)

★★★★★

▼一時期はドラムンベースに走るなどイマイチ自分の作風を確立できていなかったハナことウォーレン・ハリスが、ニューヨークのディープ・ハウス・レーベル「トラックモード」からリリースした傑作アルバム。レーベルメイトのラリー・ハードの作風にも通じるジャジーなディープ・ハウスは、ビートダウン系のデトロイト・ハウスが好きなひとも大満足のはず(トラックモード自体がデトロイト・ハウスと深い関係にあるレーベルです) 微妙に外したキックの打ちこみとファンキーなチョッパーベース(?)は、元ジャズミュージシャンらしい実力を感じさせる素晴らしさ。1曲目には日本人女性のナカハマイトコさん(友人? 彼女? 奥さん?)も参加しています。そういえば、ダン・カーティンとのユニット「キー・オブ・ソウル」の作品にもヴォーカルとして登場していましたよね。

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Hanna - Exquisite Style (Deep Departures:DEDECD001)

★★★★☆

▼とにかく多作で毎回レーベルを変えるハナの最新アルバム。今回はダン・カーティンやティトントン・デュバンテもリリースしているカナダ・トロントのディープ・ディパーチャから。硬質なベースと広がりのあるフュージョン・テイストのシンセが相変わらず美しいです。イントロは、やはり「Hanna…」のボイスサンプル。何かこだわりでもあるのでしょうか。「Only Love」「Sprinkle Grace」「Intercession, On Behalf」あたりは、もはや「ハナ節」とでも形容できそうな素晴らしいディープ・ハウスです。個人的には「You」が気に入りました。全体にきれいにまとまりすぎていて少し新味も打ち出してほしい気がしますが、デトロイト・テクノから範囲を広げてディープ・ハウス、フューチャー・ジャズ系に手を広げようとしているひとには最適だと思います。特にラリー・ハード好きには堪らないでしょう。

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Hanna - Glamorous (Separe:SEPARECD1)

★★★★☆

▼前作「Contemplating Jazz」がとにかく素晴らしかったハナの新作がドイツのディープ・ハウス・レーベル「セパレ」から登場(毎回違うレーベルからリリースしてますね) ジャジーで大人の色気を感じさせる作風は健在で、とにかくいいアーティストになったなぁと感無量です。ジャケットやタイトルに負けず、内容もセクシーなディープ・ハウス。冒頭が前回と同じく「Hanna〜」というサンプリングなのが笑えますが、2曲目「Copasetic」は相変わらずビートの抜き差しが個性的で面白い。ビートダウンやディープ・ハウス好きは必聴の傑作です。

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Hanna - Severance (Sublime Records:SBLCD5030)

★★☆☆☆

▼勤務先の楽器店にダン・カーティンが来店したことがデビューのきっかけとなったハナことウォーレン・ハリス。当時ダン・カーティンを始めとしてデトロイト・テクノの紹介に熱心だったサブライム・レコードからのデビューアルバムです。いかにもローランド系のDTM音源で作りました…という感じの乾いた音で少々色気が足りませんが、1曲目の「Ghost」あたりは、はつらつとしてデトロイト・フォロワーには珍しい「明るさ」を感じます。元々ジャズミュージシャンとしてキーボードを弾いていた経歴の持ち主なので、まずは「打ちこみの腕試し」といったところでしょうか。

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Heiko Laux - Ornaments (Kanzleramt:KA69CD)

★★★★☆

▼アレクサンダー・コワルスキやディエゴといった才能を輩出するドイツのテクノ・レーベル「カンツェラムト」 「ダークなミニマルをリリースするレーベル」といった印象が強いですが、最近はデトロイト・テクノの影響を受けたと思われるトランシーなダンス・トラックを中心にリリースしています。
▼この作品はレーベルオーナーのハイコ・ラウによる、まるで初期のカール・クレイグが乗り移ったかのような素晴らしいディープ・テクノ・アルバム。ほのかなジャズの感触とエモーショナルなシンセの使い方は、単なるフォロワーでは片付けられない才能を感じさせます。ドイツ人らしい丁寧な作りこみも美点のひとつ。
▼表題曲「Ornaments」は、生サックスのフレーズが印象に残る名曲。映画のワンシーンを連想させるようなドラマチックな展開が胸を打ちます。ハイコ版「At Les」とでも表現したくなる素晴らしい音楽性。これを聞くためにアルバムを買っても損した気分にはならないと思います。
▼タイトルを見てにやりとする4曲目「Making It Detroit」 どうやらこの人もデトロイト病患者のようですね。ファンキー&アシッドなベースラインが耳に残るダンストラックで、後半に挿入される荘厳なパッドがデトロイトしてます。6曲目「Tangoamt」は「カール・クレイグの未発表曲」と言われたら素直に信じてしまいそうなくらい音の使い方が似ています。騙されたと思って聞いてみてください。
▼10曲目「Kick And Kiss」 これもまた初期カール・クレイグ直系の「感情に訴えかける」素晴らしいトラック。ジャジーなベースラインとクールなシンセフレーズは、まさに「永久に残るような」深い音楽性を感じさせます。曲終了後に、8分ほどのインターバル(ハイコが来日した際に東京の街中で録音した雑踏のサンプル)を挟んで、シークレット・トラック「The Silent Bass」収録。これもまた素晴らしいとしか言いようのないデトロイト・トラック。お聞き逃しなく!

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Heiko Laux presents - Offshore Funk (Kanzleramt:KA099CD)

★★★☆☆

▼前作「Ornaments」で素晴らしい音楽性を披露してくれたカンツェラムトのオーナー、ハイコ・ラウとベルリン在住のジャズ・ミュージシャン、テオ・シュルテのユニット「オフショア・ファンク」 いかにもドイツらしい音圧と硬質なシンセ・サウンド、もはやカンツェラムトのお家芸となったデトロイト・テイストのウワモノ、空間を感じさせる素晴らしい音響処理をベースに、ジャズ、ロック、ラテン、ハウスを彼ら独自のフィルターに通して消化した素晴らしい内容。実験的な部分を見せながらもフロア・ユースも忘れないバランス感覚も特筆ものです。
▼印象に残った曲を挙げてみると「Still Lively (Album Mix)」はトランシーなシンセサウンドが印象的。「Offshore Jazz」は、パーカッシブなビートとジャジーなアレンジが楽しい曲。美しくファンキーな「Santa Maria (Album Mix)」は、後半のキックが徐々に聞こえてくるところが素晴らしい。「Best Of All Worlds」はエモーショナルなパッドが90年代初期のデトロイト・テクノを連想させるみずみずしい名曲。壮大な宇宙を感じます。「Palm Cove」はリズムは極太ですがウワモノは穏やかなハウスっぽい曲。これもスペーシー。「Dude Loco」はファンキーでジャジーな曲。生っぽい打ちこみがかっこいい。「Diminuendo」は、アルノ・ズックニックのギターが鳴り響くクールかつディープなダンス・トラック。どこを切り取ってもオリジナルな世界。素晴らしい!

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Hipnotech - Tech-Hop Concepts (Hipnotech:HRCD 2020)

★★★☆☆

▼ヒプノテック・レコーズはアブストラクト・ヒップホップをリリースするURのサブレーベル。レーベルオーナーのダーンナック(ヒプノテック名義でリリース)を中心にデトロイト在住の無名に近いアーティストの作品をマイペースでリリース。レコード裏面のURロゴの下にある「DESCENDANTS OF THE RESISTANCE(レジスタンスの子孫)」というテキストが泣かせます。このCDはヒプノテック「Hip Hop Beats」のvol.1〜5収録の曲に未発表曲を追加したベスト盤です。
▼…悲しいことに、デトロイト・テクノ好きからは「ヒップホップはちょっと…」、ヒップホップ好きからは「テクノ野郎が作ったヒップホップなんて…」と敬遠されて全く注目されていない…ように思えます(あくまで推測ですが) しかもこのアルバムのジャケット、私が持っているCDの中でも1、2を争うひどいデザインです。VESTAXのDJミキサー、AKAI MPC2000、ROLAND MC-505、SL1200MK3(スリップマットはUR)、EMU-SP1200(ヒップホップの定番サンプラー)といった機材の写真を適当に並べてパワーポイントで5分で作ったようなデザイン…。これじゃ売れんわな。
▼しかし内容は素晴らしい! ノンボーカルで徹底的にストイックなブレイクビーツは、DJクラッシュやDJシャドウ、アンクルといったモ・ワックス系のアブストラクト・ヒップホップが好きなひとにはたまらない内容だと思います。荒れてざらついた音質はまさにURそのもの。とにかくかっこいいです。ビートに縛られない聞き方のできるひとに特におすすめします。

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 I 

Ian O'Brien - Desert Scores (Keep Diggin:KEEPCD003)

★★★★☆

▼イアン・オブライエンのファーストアルバムが待望の再発。当初は、ラス・ガブリエルのフェロックス・レーベルからリリースされていましたが、残念ながら同レーベルが活動を休止したため廃盤になっていました(かなり良いレーベルだっただけに残念です) このアルバムは、ジャズテイストが強まった近年の作品に比べると、彼の作品中、最もエレクトロニック色が強くハウス・テクノ寄りの音になっています。フェロックス盤から一部内容が変更になっていて、ジャケット・デザインが「ベドウィン(アラブの遊牧民)」から「サハラの砂虫(?)」に変更(昔に比べると安っぽい…) 「The Man Fron Del Monte (A Fantasy Theme)」→「Monkey Jazz」と収録曲も一部変更されています。
▼マッド・マイクへの愛情をストレートに表現した「Mad Mike Disease」、これまたストレートにURへのリスペクトを表明した「Monkey Jazz」など、デトロイト・フォロワー的な部分が注目されがちな同アルバムですが、これ以外は、ウェザーリポート、ハ−ビ−・ハンコック、チック・コリアといった70年代フュージョンの影響を強く感じさせるダウンテンポな楽曲が多く収録されています(3拍子の曲もアリ) 取り合えず「Monkey Jazz」新録は、デトロイト・テクノ・ファンにとって朗報と言えるでしょう。浮遊感のあるパッドサウンドと手弾きのシンセフレーズが後半に行けば行くほど盛り上がる展開は、余りにも良すぎて感動の涙が出るはず。 ついでに4thウェイブからリリースされた「Tattoo Jazz」(傑作!)も収録してくれれば完璧だったのに…。

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Infiniti - The Infiniti Collection (Tresor:Tresor 048 CD)

★★★★☆

▼ホアン・アトキンスがインフィニティ名義で、トレゾー、ニューエレクトロニカ、ピースフロッグといったレーベルからリリースした作品を集めたベスト盤的なアルバム。この名義ではモデル500に比べるとミニマルっぽい正統派4つ打ちテクノを展開。いかにもデトロイトらしいストレンジなウワモノとヨーロッパ的な硬いビートがクール。どの曲もしっかり踊らせてくれます。
▼後の「I Wanna Be There」に通じる浮遊感が心地よい「Flash Flood」、チープなウワモノがモデル500を彷彿とさせる「Sunlight」、雨音のようなシンセが印象的な「Raindrops」、オーランド・ヴォールンとの共作「Game One」など、後半に行けば行くほど盛り上がるダンス・トラックが満載です。

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Inner City - Big Fun (Virgin Records:2-91242)

★★★☆☆

▼インナー・シティ(ケヴィン・サンダーソン&パリス・グレイ)のデビューアルバム。E-ダンサー、リーズ・プロジェクトなど、様々な名義で活動するケヴィン・サンダーソンですが、このプロジェクトでは最もメジャー寄りな展開を見せています。本作に収録された「Big Fun」「Good Life」「Paradise」は、一時期、UKのヒット・チャートにも登場し、おそらくデトロイト・テクノ(ハウス)史上、最も売れたアルバムだと思われます(実際、中古CD店でも頻繁に見かけますね) ジャケットといいサウンドといい、かなり時代を感じさせますが、ホアン・アトキンスがプロデュースを担当した楽曲は、かなりポップでディープなデトロイト・テクノとは違った魅力を感じます。なぜか、日本ではエイベックス経由で知られるようになったため、「avex dance net'96 in VELFARRE」みたいなCDに、カペラやジョン・ロビンソン(100円中古CDコーナーの常連)と並んで収録されているのが笑えます。

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Inner City - Good Life 99 (Buena Vida) (SONY)

★★★★☆

▼インナーシティは、ケヴィン・サンダーソン&パリス・グレイのデトロイト・ハウス・ユニット。彼らの代表曲「GOOD LIFE」(88年)を長年の盟友トミー・オニックスがリプロダクション。歌詞が全てスペイン語になりラテン度も夏度(?)も大幅アップしました。
▼このCDは2曲入りのマキシシングル。同タイトルの「REMIXES」と称する日本独自企画盤もありますが、最初はこちらをお薦めします(カール・クレイグのリミックスは好きですけどね) なんといっても「GOOD LIFE 99 - BUENA VIDA - (TOMMY ONYX'S SUMMER FIESTA RADIO EDIT)」が最強。哀愁を誘うイントロのギター・フレーズ。BPM速目(130前後)のドラマチックな展開。うねるようなアシッド・ベース。真夏の屋外でこれを聴いたら間違いなく涙…でしょう。ラジオ・エディットなので収録時間が短いのが残念です(フル・バージョンはイントロが地味だし…)
▼カップリングとしてブレイクビーツを使った「WAY OUT WEST RADIO EDIT」(英国人のハウス・ユニットらしいです)というのも収録されていますが、やっぱりトミー・オニックス作の方が熱いなー(悪くは無いんですけどね)

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Inner City - Good Life: The Best of Inner City (KMS:KMS CD4)

★★★☆☆

▼ケヴィン・サンダーソンの代表的プロジェクト「インナーシティ」待望のベスト盤。ポップでソウルフルで泣けて(ややベタでチープな)デトロイト・ハウスを堪能できます。ちなみに“Inner City”を英和辞典で調べてみると「都心部の過密地区、スラム街」との解説が。つまりは彼らが拠点とするデトロイト市の中心部を表したユニット名なのです。
▼デトロイト・テクノ関連のアーティストでは最も有名かつ世界的なヒットを飛ばしただけに、ベスト盤も「Big Fun」、「Good Life」、「Hallelujah」、「Praise」、「One Nation」といったヒット・シングルをほとんど収録。ケヴィン・サンダーソンの才能とパリス・グレイの素晴らしい歌声を堪能できます。特に「Praise」が透明感にある落ち着いたハウスで素晴らしい。必聴です。それにしても契約問題で未だに完成しない新作アルバムはいつ登場するのでしょうか?

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Inner City - Praise (Ten Records:DIXCD 107)

★★★★☆

▼ケヴィン・サンダーソンとパリス・グレイのインナー・シティの(現時点では)最新アルバム。…とはいえ1992年のリリースなので、12年間も新作アルバムをリリースしていないことになります。数年前までは「新作を制作中」との話題(ケヴィン本人がインタビューで語っていた)がありましたが以後全く音沙汰なし…。デトロイト勢にありがちな契約トラブルに巻き込まれてしまったのでしょうか? それはさておき、この「Praise」は、インナー・シティのアルバムの中ではいちばん良いです。特に表題曲「Praise」は、抑えたトーンで静かな力強さを感じさせるハウス。この曲のリミックス「Praise (Mayday Mix)」がさらに素晴らしく、ほとんどステイシー・パレンの手による作品らしいのですが、原曲のボイスサンプルをうまく使ったエモーショナルな傑作でした(残念ながら本作には未収録) 同じ路線の「Hallelujah」もなかなか良いです。ジャケットも渋くてお気に入り。そういえば、発売当時、国内盤もリリースされていましたね。

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 J 

Jamie Anderson - Blue Music (NRK SOUND DIVISION:NRKCD 009)

★★★☆☆

▼自らのレーベル、アートフォームを中心にデイヴ・エンジェルのローテーションやNRKでも活発に活動するジェイミー・アンダーソンのファーストアルバム。彼の作風は往年のデイヴ・エンジェルを彷彿とさせるデトロイティッシュなテック・ハウス。フォロワー特有の「音の軽さ」も感じますがこれはこれで悪くないです。ちなみにCDJでピッチを+10にすると完全にデイヴ・エンジェル化。お試しください。

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Jeff Mills - At First Sight (SMEJ:SRCP-362)

★★★☆☆

▼これまでのハード・ミニマル路線から徐々に音楽的なアプローチを強めてきたジェフ・ミルズの原点回帰作。「The March」に見られるように、ストリングスを多用した初期のデトロイト・テクノを連想させるエモーショナルなトラックを収録。URを脱退後、ニューヨーク、ベルリン、シカゴと拠点を移しながら強固なポリシーに基づいた独自の世界を貫いているジェフ・ミルズですが、ここに来て原点のデトロイト・テクノに戻ってきたという事実は何とも感慨深いものがあります。UR時代の名曲「The Punisher」の続編「Punisher: Last Confession」も聞きどころのひとつです。

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Jeff Mills - Every Dog Has Its Day (SMEJ :7243 8 1055021)

★★★★★

▼ハード・ミニマルな作風で知られるジェフ・ミルズのアナザーサイド。優しく優雅なハウス・トラック集(アンビエント少々?) BPMは110〜130くらい?
▼タイトルを直訳すると「全ての犬にその日が来る」 ここでいう「犬」とは「人間」のメタファーらしい。「全ての人間に(願いがかなう)その日が来る」 ジェフ・ミルズ流元気ソングなのですよ。これは。
▼女性ヴォーカルハウス「NOW IS THE TIME」 この曲が心の琴線に触れた! 流麗なウワモノに素晴らしいヴォーカル。何度聴いても飽きない。聴くたびに希望がわいてくる。ハイテク・ジャズなみの名曲だと個人的には思っているのですが?
▼タイトルどおり渋谷の街頭で収録したサンプル音を使った「SHIBUYA-KU」はちょっと笑ってしまう。聴けば分かると思いますが、これでよかったのか???
▼「PACIFIC STATE OF MIND」は、デリック・メイの「NUDE PHOTO」と同じネタを使ったハウス。これものびやかで心地よい。
▼ハードでダークでミニマルなジェフ・ミルズを期待すると肩すかしを食らうかも。そういった音を求めるひとには本人名義やパーパス・メイカー名義をお薦めします。

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Jeff Mills - Live at The Liquid Room (REACT:REACTCD077)

★★★★★

▼ジェフ・ミルズが新宿リキッドルームで披露したDJプレイをライブ録音した歴史的名盤(歓声つき) デトロイト・テクノファンはもとより全テクノファン必携のMIX-CDです。自らの曲を中心にハード・ミニマルを次々と怒涛のごとくミックスしていく様はド迫力。「ウィザード」の名に相応しい内容です。特に後半の「Strings Of Life」の使い方は何回聞いてもハッとさせられるものがあります。石野卓球監修のDJMIXシリーズ「Mix Up Vol.2」として国内盤が出ていましたが残念ながら現在は廃盤…。こちらのリアクト盤(UK)をおすすめします(ジャケもこっちの方がかっこいいですしね。実は国内盤も裏返すと同じデザインです)

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Jeff Mills - Purposemaker Compliation (REACT:REACT CD 126)

★★★★★

▼ジェフ・ミルズのダンストラックを聞きたいならこのCDがおすすめ。パーパス・メイカー(意思の造物主?)は、DJ向けに特化したダンストラックをリリースするレーベルで、「PURPOSE MAKER COMPILATION」はレーベル初期の名作を網羅したベスト盤的な内容。「THE DANCER」「THE BELLS」「ALARMS」など未だにクラブで使われ続ける名作・ヒット作が満載。デトロイト・テクノ好きなら必ず持っていてほしい必聴盤です。パーパス・メイカーに共通する“手”“腕”のジャケット・アートが意味深で印象的。
▼ハード・テクノ、ミニマル・テクノがかかるクラブに行くと必ず1度は聞けるヒット作ばかりなので、わざわざ解説するのもおこがましいのですが取りあえずご紹介。ざらついた独特の音質、パーカッシブで力強いビート、麻薬的なリフが、パーパス・メイカーからリリースされる作品の共通点。1曲目「THE DANCER」は、大ヒットしたパーパスメイカーの1番から収録。印象的なベースラインと太いリズム。フィルタでいじりまくったトランシーなボイスサンプル。めちゃくちゃカッコいいです。2曲目「CASA」は、レーベルスタートの発端となったアクシス11番「THE PURPOSE MAKER」から収録。あの「MIX-UP VOL.2」でも使われた名作です。これもトライバルっぽいリズムに独創的なタイミングでウワモノが重なる素晴らしい作品。
▼3曲目も「MIX-UP VOL.2」でも使われた大ヒット作「THE BELLS」 力強い4つ打ちキックに“ベル”のようなシロフォンが、不安感と高揚感を同時に誘う麻薬的なミニマル作品です。5曲目「ALARMS」も超名曲(こればかり…) アラームのようなリフが延々と繰り返されるハード・ミニマル・テクノ。シカゴっぽいサンプルと適切な音の抜き差しがあいまって素晴らしくダンサンブル。一瞬、音が止まるところが最高にクールです。6曲目「OUTSIDERS」は「CASA」に似たトライバルなミニマル・テクノ。9曲目「PARADISE」はディスコちっくな音づかい。あの“パラダイス・ガレージ”に捧げた…というのは深読みしすぎでしょうか? 10曲目「MASTERPLAN」は、珍しくブレイクビーツ的なつんのめるリズム。13曲目「TANGO」はタイトル通り、タンゴのサンプルをパーカッションに使ったジェフ・ミルズ版「SALSA LIFE」 ラテン風味にも関わらずちゃんとミニマルしているところはさすが。
▼実質、ジェフ・ミルズのアルバム3枚目といっても良い内容なのに、なぜか国内盤はリリースされませんでした。もったいない…(リアクトは「MIX-UP VOL.2」の海外盤もリリースしているレーベルなんですけどね…) まだ持っていないひとは、ぜひとも輸入盤を見つけて聞いてみてください。

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Jeff Mills - The Art Of Connecting (NEXTERA:ERA 2001CD)

★★★☆☆

▼ニュージーランドのレーベルからリリースされたジェフ・ミルズのベスト盤(相変わらずの放浪癖ですね) 「Gamma Player」、「4 Art」、「Pacific State Of Mind」、「The Bells」、「UFO」など、優雅なハウスからお得意のハード・ミニマルまで新旧問わずバラエティ豊富な内容。とりあえず持っておいて損は無い内容です。ジャケット・デザインがこれまでのグレー系から一新されたのはなぜ?(少し手抜きっぽい感じも…)

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Jeff Mills - The Other Day (SME:SRCS 8291)

★★★★★

▼アクシスの初期作品を集めたベスト盤的アルバム。「Gamma Player」、「I9」、「Growth」、「Man From Tomorrow」、「Spider Formation」、「Humana」といったテクノファンならで1回はクラブ耳にしたことのある名曲が満載。特に「Spider Formation」は彼の作品中ベストといえる名曲。ジェフ・ミルズファンなら必ず持っていたい1枚です。モノトーンのクールなジャケットデザインも素晴らしい。

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Jeff Mills - Waveform Transmission Vol. 1 (TRESOR:Tresor011CD)

★★★★☆

▼ハードコアなミニマル・テクノで世界に衝撃を与えたジェフ・ミルズのファースト・アルバム。1曲目「Phase 4」を初めて聞いたときは「こいつ狂ってる…」と思いました(いまではフツーに聞けますが…) ジェフ・ミルズが最もとんがっていた時代の作品で、ルーク・スレイター、サージョン、オリバー・ホー等々ありとあらゆるミニマル系アーティストに多大なる影響を与えた傑作です。一度聞いたら忘れられない名曲「Changes Of Life」収録。印象的なピアノフレーズは、ヒプノティスト「 The House Is Mine」からのサンプリングです。

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Jeff Mills - Waveform Transmission Vol. 3 (TRESOR:Tresor025CD)

★★★☆☆

▼ウェイブフォーム・トランスミッションシリーズの3枚目。基本的には「Waveform Transmission Vol.1」をさらに進化させた内容。世界中にフォロワーを生み出したハード・ミニマルの最高峰です。「The Extremist」、「Life Cycle」、「Basic Human Design」等の意味深なタイトルからもジェフ・ミルズの世界観がうかがえます。クールなジャケットデザインもかっこいい。このあたりからトレゾーはハード・ミニマル路線を突き進んでいきます。

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Jeff Mills / Exhibitionist(CD) (Axis:AXCD001)

★★★☆☆

▼世界最高のハード・ミニマルDJ、ジェフ・ミルズ待望のミックスCD第2弾。新宿リキッドルームでのDJを収録した「Mix-Up Vol.2」は、何回聞いても震えが来るほど(特に「Strings Of Life」がかかるところ!)素晴らしい内容でしたが、リリースされたのは1996年…。いつの間にか8年も経っていたのですね。今回のミックスはライブではないそうなので、歓声が気に入らなかったひとも安心です(自分は歓声入りの方が好きですが) 内容は同時リリースのDVDに収録される「Exhibitionist Mix」のロング・ヴァージョンだそうです。ジェフ本人の曲はもちろん、オリバー・ホー、サミュエル・L・セッションズ、オクターヴ・ワン、モニカ・クルス、ジョン・アーノルド、ポール・マック、ゲイリー・マーティン、DJラッシュ、DJザンク(!)といった豪華なメンツの楽曲を収録。とどめはアズテック・ミスティック(DJロランド)「Aguila」ですよ! 全45曲。72分。買うしかない!!

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Jeff Mills / Exhibitionist(DVD) (Axis:AXDVD001)

★★★★☆

▼ジェフ・ミルズ初のDVDがついに登場! アクシス、パーパスメイカー、トゥモローの各レーベルをミックスした4種類のDJセットを収録。「露出狂」というタイトルどおり、“ウィザード”の異名を持つ世界最強のミニマルDJのテクニックを余すことなく映像化。さまざな視点から好きなだけ見放題だそうです(手元のアップも可能とか!) しかもジェフ本人へのインタビューやメイキング映像、ランダム・ノイズ・ジェネレーション(430ウエストのレニー・バーデンとローレンス・バーデンの兄弟ユニット)との共演など貴重な映像を240分も収録。もちろん日本語字幕付きです。これは買うしかない!!

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John Beltran - 10 Days Of Blue (PEACEFROG:PF049CD)

★★★★☆

▼デトロイトの“せつなさ”名人ジョン・ベルトランの2作目。前作よりもずっとアンビエント感を増しての登場です(タイトルもジャケットもアンビエントしてますね) 1996年のリリース後、入手困難な状況でしたが、2003年にめでたく再発されました(昔は、ピースフロッグが再発するなんて考えられませんでしたが…)
▼1曲目「Flex」は、いきなりインダストリアルなブレイクビーツで意外な印象。昔のエイフェっクス・ツインっぽいです。2曲目「Collage Of Dreams」は、お得意のラテン・ギターに重厚なパッドがのるダウンテンポ&ノンビートな曲。3曲目「Gutaris Breeze (6000 KM To Amsterdam)」もラテン風味。「ギタリストのそよ風(アムステルダムまで6000キロ)」って…?(ツアー中に作ったのかな?) 4曲目のアルバム表題曲「Tendays Of Blue」は、穏やかなリフが延々と続くアンビエントの傑作。5曲目「Venim And Wonder」は、「Earth And Nightfall」のリメイク風。変則的なビートが印象に残ります。6曲目「Deluge」は、ビートが強めなギターをフィーチャーした曲(「強め」といっても相当控え目ですが…) 8曲目「Soft Summer」は、浮遊感のあるミニマルなアンビエント(?)です。
▼前作に比べると曲ごとのバリエーションが少なくなり、ビートレスな曲の割合も多くなっています。それ故、1曲ごとの印象は弱まりましたが、全体を通して漂う「浮遊感」「哀愁」は相変わらず素晴らしいです。チルアウトしたいときのBGMにおすすめ。

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John Beltran - Americano (EXCEPTIONAL:EXLPCD0201)

★★★☆☆

▼活動拠点をデトロイトからマイアミに移してぐっとラテン濃度を増した内容。「Earth & Nightfall」に比べるとご本人も垢抜けましたね。シングルカットされた「Caboclo」は、ラテンギターとサックスがからむセクシーなディープハウス。その他の曲もラテン&ジャズ風味で統一されています。デトロイト色は薄いですが哀愁のメロディは健在です。

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John Beltran - Earth And Nightfall (R&S:RS 95 072 CD)

★★★★★

▼休日、バス釣りに来たおっさん(45歳、カナダ人)といった風なジャケ写が買う気を萎えさせますが、実はジョン・ベルトランのファーストアルバムかつデトロイト・テクノ史上に残る傑作。なんとなく買うのを敬遠していたひとは今すぐCD屋にダッシュ! 彼のアルバム中もっともビートが強調されていて、ストレートなデトロイト・テクノを展開しています。
▼デトロイト・テクノの“せつなさ”“哀愁”といったセンチメンタルな部分を表現させると、ジョン・ベルトランの右に出る者はいないでしょう。プエルトリカンらしくラテン・ミュージックの影響も感じさせるメロディ(生ギターも多用) ストリングスやパッドの使い方も、デリック・メイやカール・クレイグ以上にエモーショナルです。レトロアクティヴ(カール・クレイグがプラネットEより以前に運営していたレーベル)からのデビューは、だてじゃないですね。
▼1曲目「Blue World」のせつないイントロから、ジョン・ベルトランの世界に引き込まれます。心に染みわたるストリングス…。素晴らしいです。4曲目「Sub-surface」は、波音、海鳥の鳴き声に生ギターの調べが重なる、映画のワンシーンを連想させるような曲です。ビートレスで、すでにテクノの範疇からはみ出しているような気もしますが、とにかく美しい世界観を構築しています。5曲目「Earth And Nightfall」は、かの「The Deepest Shade Of Techno」にも収録された名曲。宇宙を感じさせる壮大な曲です。6曲目「Mutualism」は、「共棲」という意味深なタイトルが気になります。8曲目「Anticipation」は、アンビエントな虫の声(?)と、美しいシンセ・フレーズが重なるエモーショナルな曲。10曲目「Fragile Interlude」は、ビートが強調されていてフロアでも使用可能な正統派デトロイト・テクノです。11曲目「Aquatic」も同様にビートが強調されていますが、一転してサバーバン・ナイト的なダークな世界観。それでもベルトランらしく上品ですが。12曲目「Vienna」は、ウィーンを訪れたときのスケッチ? ホテルの窓から雷鳴鳴り響く雨空を眺めているとクラシックの旋律が…。
▼このアルバムを一文で表現すると「淡く儚い夏の夢」といった感じでしょうか。激しいダンスには向きませんが、チルアウトには最適です。蒸し暑い休日の午後、聞いてみてください。きっと心地よくすごせるはずですよ。

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Joris Voorn - Future History (Sino:SINO101CD)

★★★★☆

▼「Lost Memories Pt.2」収録の「Incident」が大ヒット。オランダの新星、ヨリス・ヴォーンがテクネイジアのサブ・レーベル「Sino」よりリリースした待望のファースト・アルバム。最近には珍しくストレートな「これぞテクノ」といったサウンドで、テクノ初心者からマニアまで万人にお勧めできる素晴らしい内容。デトロイトの影響を強く受けながらもビートはミニマルで力強くまさにテクネイジア直系の音。全20曲がノンストップで収録された統一感のある構成で先行シングル「Missing」「Shining」「Incident」も収録されておりお買い得感も高いです。注目すべきは、やはり4曲目「Incident」で、リーズ・プロジェクト「The Colour Of love(Underground Resistance Radio Mix)」をサンプリングしたピアノ・サウンドが素晴らしくエモーショナル。デトロイト・テクノへのリスペクトをストレートに表明した名曲です。これ以外の曲もエレクトロ・ビートや変則的なブレイク・ビーツ系のリズムを使用したり、巧妙にフィルターを効かせた構成でバラエティ豊か。テクネイジアは勿論、往年のデイヴ・エンジェルや最近のカンツェラムトが好きなひとには特に気に入ってもらえることでしょう。

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Juan Atkins - Deep Space Underground Collection (?:?)

★★★★★

▼2005年のFuse-In会場で販売されていた(らしい)DJミックスCD-R。ディスクユニオンで入手。
▼なぜか同じ内容の「Greatest Hits」、「N Deep Space With ADT」というタイトルのミックスCDも会場で売らられていたのだとか。理由はわからないが、いい加減なところがデトロイトっぽい。ジャケットはカラーコピー。CD-Rにクレジット等は一切なし。手作り感あり過ぎ。
▼フォトショップで適当に合成したようなジャケットのクレジットによると「Featuring Juan Atkins and the new KraftTron」とのこと。収録時間57分。トラックリストはなし。
▼こんな体裁にも関わらず内容は文句なしなのが凄いところ。モデル500の名曲とクラフトワークの名曲が違和感なく見事にミックスされた素晴らしい内容。
▼時おり、日本のラジオ(?)からサンプリングされたと思われる謎のトークが被さってくるのが面白い。さすが親日家。

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Juan Atkins - Juan Atkins 20 Years Metroplex (Tresor:Tresor.216)

★★★★★

▼デトロイト・テクノの真のオリジネイター、ホアン・アトキンスの活動20年を記念したベスト盤。雑誌「GROOVE SPRING 2005」付録のデトロイト音楽100年史ポスターでも、ア・ナンバー・オブ・ネームズと並んで、デトロイト・テクノの創始者とされるホアン・アトキンスですが、デビュー以来、全く途絶えることなくリリースを続けており、最新作「The Berlin Sessions」ではトレゾーのトップDJパコウと共演するなど、相変わらず精力的な活動を行っています。このベスト盤では、自らのレーベル「メトロプレックス」からリリースされた作品から永遠のクラシックとも言える名作ばかりをホアン自身がチョイスして収録。ちなみにこのCDの名称は、表紙では「20 YEARS 1985 - 2005」、背では「JUAN ATKINS 20 YEARS METROPLEX」となっており、どちらが正式名称か分らないのですが取りあえず背表紙に準じたいと思います。
▼クラフトワークの影響をデトロイト流に解釈したエレクトロ・バンド「サイボトロン」の名曲「Clear」「Cosmic Cars」、数多い名義の中でも最も重要なモデル500の初期の名作「No UFO's」「Nightdrive」「Ocean To Ocean」「Chase」、デトロイト・テクノ・ブームに呼応した「Passage」「Flow」「Starlight」、インフィニティ名義でオーランド・ヴォーンと共演した「Game One」、同じく3MBとの共演「Jazz Is The Teacher」など、ホアン・アトキンスの偉大な活動を余すことなく収録。デトロイト・テクノ初心者にも文句無くお勧めできる素晴らしい内容です。

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Juan Atkins - Legends: Volume 1 (OM RECORDS:OM 080)

★★★☆☆

▼ホアン・アトキンスのDJミックス。以前にリリースした「Wax Trax! Mastermix Volume 1」とは趣向を変えて、比較的最近の曲を中心に選曲。イントロは自らの「I Wanna Be There」でスタートしますが、 インディビデュアル・オーケストラ(田中フミヤ)やイゾレ、DJスニークといったアーティストの作品や西海岸系ハウス(?)をファンキーにミックスしています。

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Juan Atkins - The Berlin Sessions (Tresor:Tresor.215)

★★★★☆

▼ホアン・アトキンスがトレゾーのトップ・アーティストであるパコウとベルリンのスタジオで制作した意欲作。御大独特のスペーシーな感覚は健在。ベーチャン+ジェフ・ミルズな作風のパコウと見事に融合。
▼久しぶりに聴いた「ストレートなテクノ」。ジャンルの細分化が極限まで進む中、創始者自らが改めて、テクノとはこういうものだと原点に立ち返ったような新鮮さがある。「Session Four」の疾走感が清々しい。
▼欠点とは言えないかもしれないが、御大の手癖なのか収録曲の尺が10〜15分と長い。ちなみに名曲「I Wanna Be There」は18分50秒もあった。

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Juan Atkins - Wax Trax! Mastermix Volume 1 (TVT RECORDS:TVT 7254-2)

★★★☆☆

▼デトロイト・テクノのオリジネイター、ホアン・アトキンスによるDJミックス。「No UFO's」、「Nude Photo」といったデトロイト・テクノ・クラシックから、シカゴ・ハウス〜ミニマル〜ベーシックチャンネルと一環した流れを感じさせる素晴らしい内容。つなぎは荒っぽいですが選曲が良いので気になりません。

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 K 

K-Led - Tomorrow In The Morning (Force Inc:FIM-1-065 CD)

★★☆☆☆

▼またもや登場した新たなデトロイト病患者! Kレッドは、ベンダッダ・ラリッド(中東系?)のソロユニット。今は無きフォース・インクから初期デトロイト・テクノの影響を受けた「Tomorrow In The Morning」をリリース。曲名に2度も「Detroit」という単語が登場するあたり、かなりの重症患者だと思われます。クリックハウス一色のイメージがあったフォース・インクから、ここまでベタなデトロイト・テクノのアルバムが登場するのは、ちょっと意外な気がしました。
▼1曲目「Detroit City」は、デリック・メイを彷彿とさせるエモーショナルなシンセとビートが本家デトロイト以上にデトロイトらしい作品。「Detroit City」と繰り返すボイスサンプルがストレートすぎて恥ずかしい気もしますが、素直にデトロイトへの愛情を表現している点には好感が持てます。2曲目「Change」3曲目「Time Change The World」は、懐かしさを感じさせるアシッドハウス(後半になるとデトロイトっぽいフレーズも登場しますが) 4曲目「Big Time」も、初期トランスマットテイストのエモーショナルな曲。シンセフレーズがどれも一緒に聞こえるのは気のせい? 音色が「Nude Photo」っぽい、5「The Detroit Style」は、これまたタイトル連呼のオールド・スクール・デトロイト。確かファブリス・リグも「Detroit Style」というサンプルを使っていたような…。7曲目「You Are My One」8曲目「Destination」も完全に80〜90初頭のシカゴ〜デトロイト。まるで当時のデリック・メイのデモテープを聴いているような印象です。
▼全曲に言えることですが、Kレッドの曲はデトロイト・テクノが持つ「陰」の部分がなく表面をストレートに模倣しているだけのような気がしました。また音色にバリエーションが無く変化に欠けるのが難点。それでもデトロイトの模倣から素晴らしいアーティストに成長したイアン・オブライエンのような例もありますので、今後の活動に期待したいところです。

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K.Hand - Detroit History Part 1 (TRESOR:Tresor 168)

★★★☆☆

▼デトロイト・テクノ・シーンの女帝、ケリー・ハンド女史。近年は素晴らしいDJプレイも話題となっている彼女の作品は、シンプルながらグルーヴ感溢れるディスコ・サンプルが特徴のデトロイト・ハウス。このアルバムでは「デトロイトの歴史」を表題としたコンセプチュアルな内容を展開しています(ちなみに彼女の公式ウェブサイトも同名です) 荘厳なインタールードの後に展開されるのは、シカゴ・ハウスに影響を受けたと思われるアッパーなハード・ミニマル・テクノ。これまでのハウシーな作風に比べるとよりDJツールに近づいた内容です。

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Ken Ishii - Future in Light (70DRUMS:IDCK-1001)

★★☆☆☆

▼ケン・イシイが自ら主催する70DRUMSレーベルからのアルバム。彼の原点であるデトロイト・テクノに回帰したダンストラックを収録。冒頭の「Awakening」を始めとして「おっ?」と思わせる曲もありますが、全体としてはなんだか空回りな印象。いまいち“魂”がこもっていないような…。デトロイト・テクノ・フォロワーとしてのケン・イシイは「Jelly Tones」を出した時点で終わっていたのかな…?

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Ken Ishii - Innerelements (R&S:RS 94 038 CD)

★★★★★

▼R&Sからリリースされた曲を収録したケン・イシイのベスト盤。「Garden On The Palm」「Pneuma」などデトロイト・テクノの手法を取り入れながら、独自の感性で作り上げられた日本独自のオリジナル・テクノ・トラック。ビートが弱いのでダンスには向いていませんが、とにかく個性的な音使いは現在の耳で聞いても新鮮です。この当時のケン・イシイはとにかく素晴らしい作品を連発していました。ちょうど日本のテクノ・シーンがブレイクした時期だったこともあり、いろいろと想い出のあるアルバムです。

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Ken Ishii - Mix-Up Vol. 3 (SME:SRCS 8053)

★★☆☆☆

▼石野卓球監修のMix-Upシリーズ第3弾はケン・イシイ。まだライブでのDJに慣れていなかったのか、スタジオでハードディスクレコーディングされたものなので臨場感は一切ナシ(小松崎ジャケも滑り気味) 選曲もケン・イシイ自身のルーツを感じさせるものですが、ニューヨリカン・ソウル、UFO、メビウス・プランク・ノイマイヤー、モビー、アフリカ・バンバータ、坂本龍一、ミート・ビート・マニフェスト、プラグと支離滅裂…。ハウス、ジャズ、プログレ、レイブ、エレクトロ、テクノ・ポップ、ブレイクビーツ、ドラムンベースが同居するMIX-CDは良くも悪くも他に思い当たりません。
▼これだけジャンルがバラバラなのであれば、いっそ普通にコンピレーションとしてリリースすれば良かったのに…と思いますが、改めて聞きなおしてみると、トロニックハウス(ケヴィン・サンダーソンの変名)「Multifunction」やオクターヴ・ワンの名曲「I Believe」、BFC(カール・クレイグ)「Static Friendly」、MK(マーク・キンシン)「Decay」、ラストは「Strings Of The Strings Of Life」からミスター・フィンガーズ「Can You Feel It」への感動的なつなぎで、なかなかデトロイト・テクノ色が濃厚です。
▼決して出来のいいMIX-CDだとは思いませんが、だらーっとクルマの中で聞くには意外に悪くないと思います。某古本チェーン店なんかに中古でよく転がっているので、見かけたら買ってみてもいいかもしれませんよ。

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Kenny Larkin - Azimuth (WARP:WARP 020 CD)

★★★☆☆

▼デリック・メイの実験的な部分を受けついだ男、ケニー・ラーキン。現在では、すっかりエレクトロニカ系のレーベルとなったワープからのファーストアルバム。シャリシャリした音質と微妙にずれた個性的なビートには、ファンキーながらもどことなくユーモアが含まれているような気がします。さすが元コメディアン? デトロイト・テクノ・ファンの間ではいまいち評価が低いのが悲しい。しばらく新作をリリースしていませんが、そろそろアルバムを出してほしいところですね。

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Kenny Larkin - Metaphor (R&S:RS 95 054 CD)

★★★★☆

▼今年(2004年)になって実に6年ぶり(!)のアルバム「The Narcissist」をリリースしたケニー・ラーキンのセカンド・アルバム。ニュー・ジャック・スウィング(懐かしい…)っぽいジャケットが余りテクノらしくないですが、高域を強調したイコライジングと、デリック・メイ以来の伝統となっている複雑でパーカッシブなビートは、正当派のフロア・ユースなデトロイト・テクノと言えるでしょう。他のデトロイト勢に比べるとモノトーンでアブストラクトな印象があるのは、「Dark Comedy」とも名乗る彼の内面が表現されているからなのかもしれません。ちなみに3曲目「Nocturnal」は、裏「Galaxy」と言えるほどあの名曲にソックリなので一度聞いてみてください。

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Kenny Larkin - The Narcissist (Peacefrog:PFG054CD)

★★★★☆

▼デトロイト第3世代を代表するアーティスト、ケニー・ラーキン待望のアルバム(6年ぶり!) 鋭い視線が印象的なグリーン・ベルベットばりのジャケットとセルフ・ポートレイトで構成されたライナーノーツがいかにもなナルシストっぷり。コメディアン志望だった彼自身の経歴を自ら皮肉っているようにも見えます。以前のアルバムに比べると、エレクトロニカ、ブレイクビーツ色が強く、モノトーンかつ内省的でメランコリックな印象。しかしケニー・ラーキンの持ち味であるストレンジなビートは、しっかりと表現されていて往年のファンは感涙です。ダーク・コメディ名義のアルバムも間もなく登場するそうなので、今後の活動に期待が持てますね。

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Kevin Saunderson - Faces & Phases (PLANET E:PE 65235 CD)

★★★★☆

▼オリジネイター3人衆でいちばん地味な(失礼)ケビン・サンダーソンの2枚組ベスト盤。リース、Eダンサー、トロニックハウス、インナーシティなど各名義によるテクノ・トラックを収録。かなり古い作品が多いため若干チープな印象を受けますが、硬い独特な音質は多くのミニマル・テクノ作品に影響を与えています。来日するデトロイトのアーティストがDJプレイで必ず使う名曲「Pump The Move」収録。

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Kevin Saunderson - KMS Definitive Mix (Submerge:SUBCD-3005-2)

★★★★☆

▼マイペースな活動を続けるデトロイト・ハウスの老舗KMS。デトロイト・テクノ・オリジネイター「Kevin "Master Reese" Saunderson」の頭文字をとって名付けられたこのレーベルは、デトロイト・ハウスを代表するレーベルといっても過言では無いでしょう。サブマージからリリースされたこのCDは、80年代から2003年までにリリースされた名曲の数々をケビン自身の選曲&ミックスで収録。デトロイトのアーティストが来日した際にDJで必ずかける曲が目白押し。ハウス〜テクノの間を自由に行き来するファンキーなグルーヴはこのレーベルならでは。
▼冒頭のインナーシティ「Groovin' Without Doubt」は1987年の作品(16年前!)ですが、現在でも全く遜色なく聞くことができます。徐々にリリース年代が新しくなっていく構成で、まさにKMSの歴史そのもの。シェ・ダミエの名曲「Can You Feel It (M.K. Dub)」、ダリル・ウィンのリミックスが素晴らしい「Big Fun (D-Wynn Remix)」、中〜後半はゲイリー・マーティン「Casa Cougat」、Eダンサー「World Of Deep」「The Human Bond」「Pump The Move」と誰もが一度は耳にしている名作・傑作の連発! 何回聞いても「Pump The Move」のリフレインにはやられてしまいます。デリック・メイ、ホアン・アトキンスに比べて「いまいち地味だから…」となんとなくケヴィン・サンダーソンを敬遠している方に特にオススメ。

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Kraftwerk - Expo 2000 Remix (ASTRALWERKS:ASW 38768-2)

★★★☆☆

▼偉大なるクラフトワーク…については説明の必要は無いでしょう。「EXPO 2000」は、2000年にドイツのハノーヴァーで開催された万国博覧会のテーマソング。ボコーダーとレトロちっくなメロディは何も変わってません。クラフトワーク健在です。
▼このCDは原曲と「EXPO 2000 REMIX」としてリリースされたリミックス集をセットにしたお買い得品。リミキサーは驚きのメンツです。オービタル、フランソワ・ケヴォーキアン、DJロランド…そしてアンダーグラウンドレジスタンス(マッド・マイク)
▼オービタルは作風も似ているからか原曲のイメージに近いリミックス。常連リミキサーのフランソワ・ケヴォーキアンは、ボコーダーボイスを使いまくったテクノっぽいハウス(テックハウス?)
▼DJロランドはいかにも彼らしい徐々にビルドアップする正統派デトロイト・テクノ・トラック。収録曲中、いちばんBPMが速くDJにも使いやすそう。ブレイクの「DETROIT,GERMANY…」と連呼するボイスサンプルがかっこいい。
▼注目のURミックスは3種類収録。さすがに気合入ってます。「UNDERGROUND RESISTANCE MIX」は原曲をUR流に再構築。力強い909のキックがURしてます。「UR INFITRATED MIX」はドラムンベース調? 「UR THOUGHT 3 MIX」はノンビートの美しいパッドサウンド。これが最もデトロイトらしいかも。

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 L 

Larry Heard - Can You Feel It - Trax Classics (Nippon Crown:CRCL-2004)

★★★★☆

▼一度聞いたら忘れられないジャジーなベースライン、憂いを含んだ美しいパッド・サウンド…。チープなシカゴ・ハウスを乱発するトラックスから突然変異的にリリースされたクラブ・ミュージック史に残る超名作「Can You Feel It」 ディープ・ハウス界の大物、ミスター・フィンガーズことラリー・ハードによる名曲は、あのデリック・メイですら「Can You Feel It」を意識して「Strings Of Life」完成させたという逸話があるほど、世界中のアーティストに影響を与えています。このCDはミックスが異なる4曲の「Can You Feel It」にトラックスからリリースされたミスター・フィンガーズ、フィンガーズ・インク、ロバート・オーエンスの7曲を収録した日本独自編集盤。はっきりいってお買い得です。
▼聞き所はやはり「Can You Feel It」 冒頭のシンプルなインストルメンタル・バージョンはやはり味わい深いです。ジャズっぽい横ノリのスイング感がたまりません。チャック・ロバーツがヴォーカルをとったバージョンは、サンプルの使い方からレイヴを連想させれます(実際にこの曲はイギリスのレイヴ・アンセムだったとか) オリジナルのロバート・オーエンスが歌ったバージョンはガラージ色が濃厚。ソウルフルですが現在の耳で聞くとちょっとくどいかな。キング牧師の有名な演説をまんま使った「Can You Feel It (Spoken Word: Dr Martin Luther King Jr)」は、イギリスのジャックトラックス盤にしか収録されていない貴重盤(ジャケットもキング牧師!) 歴史的な演説にも全く見劣りしないトラックの素晴らしさに驚かされます。とにかくエモーショナル。感動。
▼その他の曲も80年代にリリースされた現在では入手困難なものばかり。「Bring Down The Walls」、「Washing Machine」は1986年の作品。リズム・マシーンの使い方は同時代のデリックの作品に通じるものがありますね(デリックがシカゴを参考にしたという方が正しいと思いますが) 「Never No More Lonely」はエレピが軽快なディープ・ハウス。「Beyond The Clouds」はストリングスの使い方がデトロイトっぽいセンチメンタルなトラックです。

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Laurent Garnier - Early Works (ARCADE:ARC336)

★★★☆☆

▼ロラン・ガルニエの初期作品をコンパイルしたベスト盤。チョイス名義「Acid Eiffel」アラスカ名義「Lost In Alaska」など懐かしいダンストラックを収録。デトロイト・テクノ、アシッド・ハウスといった彼のルーツを感じさせながらも、いかにもヨーロッパ的な美しくせつないメロディが耳に残ります。個人的には「Water Planet」が壮大な雰囲気でお気に入り。


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Laurent Garnier - Excess Luggage (F-Communications:F 187 3CDBOX)

★★★★☆

▼デトロイトテクノをMIXさせたら天下一品のロラン・ガルニエ。その名人芸は「X-Mix 2 Destination Planet Dream」(「Journey Of The Dragons」から「Icon」へのつなぎ!)や「Laboratoire Mix」(1枚目ラストの「Amazon」が泣かせます)等の傑作MIX-CDで堪能できる訳ですが、1996年(「Laboratoire Mix」)以降、新たなDJMIX作品は発表していませんでした。しかしここに来て遂に決定版がFコミュニケーションズから登場。ガルニエ自身がセレクトしたライブMIXを収録。圧巻の3枚組!! 本人が欠伸しているジャケもリラックスして良い感じですね。
▼CD1は、2000年6月の“Sonar”で収録されたもので、シカゴ・アシッドからデトロイト・マシン・ソウル(「Good Life」から「Don't You Want It」へのつなぎが素晴らしいです) 、CD2は、2002年11月にデトロイトで収録されたセットで、冒頭の「High Tech Jazz」から一気にエレクトロへ(マッド・マイクのエレクトリック・ソウル名義の曲も使用) CD3は、ネット・ラジオ局“PBB”で披露したセットで、とにかく実験的(ASA-CHANG&巡礼「花」使いに衝撃を受けました…) いずれも鮮やかなロング・ミックスと多彩な選曲で飽きさせません。限定盤らしいので早めに購入しておいた方が良いかもしれませんよ(ちなみに5枚組の超限定版がFコミの公式サイトで購入できるようです)

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Laurent Garnier - Unreasonable Behaviour (F-Communications:F 115 CD)

★★★★☆

▼DJとしてのガルニエは、今さら語る必要も無いほど確固たる評価を得ている訳ですが、アーティストとしてはテーマが定まらず散漫な印象で、「Shot In The Dark」「30」などのアルバムも個人的にはイマイチなイメージを持っていました(シングル単位では良い曲もありますが…) しかし本作「Unreasonable Behaviour」では、ようやく自分の表現したいものが見つかったのか、デトロイト、シカゴからの影響をガルニエ流に再構築したジャズテイストな素晴らしい楽曲を披露しています。「不合理な振舞い」という意味深なタイトルとエイフェックス・ツインばりの手書きイラスト(自画像?) ユーモアも忘れないところがいかにもガルニエらしいです(インナーのフランス語は「CDに触る前に手を洗え!」と書いてあるんだそうです)
▼不穏な雰囲気の「The Warning」で幕を開け、2曲目「City Sphere」はブレイクビーツにウッドベースが載るエレクトロニック・ジャズ。フィルタが効いたヘビーでダークなベースがうねりまくる「The Sound Of The Big Babou」 激しく力強いビートが高揚感を煽ります。「Cycles D'Oppositions」は、初期デトロイトを連想させる美しいストリングスが印象的。「The Man With The Red Face」は、ガルニエ流「Hi Tech Jazz」と呼びたくなる素晴らしい曲。サックスが暴れまわりジャジーなシンセがとにかくエモーショナルです。「Greed (Part 1+2)」は、ボイスサンプルがURっぽいエレクトロ。「Dangerous Drive」は、オールドスクールなミニマル・トラック。ラストの「Last Tribute From The 20th Century」は、デトロイト、シカゴ、ニューヨークの先人達へのリスペクトを率直に表現した名作。「Can You Feel It」にも通じる穏やかながら力強いハウスです。

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Laurent Garnier - X-Mix 2 Destination Planet Dream (STUDIO!K7:!K7027CD)

★★★★☆

▼デトロイト・テクノ、アシッド・ハウスにこだわり続ける世界最高のDJの一人、ロラン・ガルニエ。このMIXCDは1994年にリリースされた古い作品ですが、未だに聞ける素晴らしい内容です。デトロイト・テクノを中心にロバート・アルマーニ「Circus Bells (Hardfloor Remix)」など懐かしい曲を収録。聞き所は、「Journey Of The Dragons」から「Icon」へのつなぎでしょう。デトロイト・テクノ・ファンなら誰もが感動するはずです。必聴。

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Los Hermanos - On Another Level (Submerge:HC3591)

★★★★★

▼ついに出ました。ロス・ヘルマノスのデビュー・アルバム! ロス・ヘルマノスは、ジェラルド・ミッチェルとDJロランドを中心に、マッド・マイク、DJデックス、ラファエル、サンティアゴといったURポッセが参加しているラテン・ハウス・プロジェクトで、「Birth Of 3000」(あのイントロがたまらない)、「Queztal」(せつなくエモーショナル)、「My Mothers Guitarra2」(ラテンギターがファンキー)、「Return Of The Dragons(Los hermanos Remix)」(あのURの超名曲をリミックス)といったデトロイト・テクノ・ファンなら一度は聞いたことがあるラテンテイストでエモーショナルなヒット曲が満載。もちろん、待望の新曲も多数収録。国内盤には、ボーナストラックとインタビュー映像も収録されており、まさに至れり尽くせり。ついでに「Knight Of Jaguar」も収録してほしかったのですが、それは高望みしすぎでしょうか。来年早々にはマッド・マイク率いるギャラクシー・トゥ・ギャラクシーのファーストアルバム(!)も登場するようなので、今後もサブマージ関連から目が離せませんね。

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Luke Slater's 7th Plain - The 4 Cornered Room (GPR:gpr cd3)

★★★★☆

▼ハードなミニマル・トラックで定評のあるルーク・スレイターが、94年にGPRレーベルから「Luke Slater's 7th Plain」名義でリリースしたアンビエント・テクノの傑作。幻の作品として長らく入手困難だったがようやく再発された。
▼「Strings Of Life」に感動したイギリス人が素直に気持ちを表現したピュアな作品。ドリーミーでセンチメンタル。これぞデトロイト・リヴァイヴァル! B12「Electro-Soma」、ブラック・ドッグ「Bytes」「Parallel」、アズ・ワン「Reflection」と合わせて聴けば気分はもう90年代。
▼いかにも再発っぽいチープなジャケット。当然、付属のポスターは無し。まあ、仕方ないか。今年発売された「Fear And Loating 2」を聴いていると、こっち方面への興味を全く失ったわけでもなさそうなので今後に僅かな期待を持ちたい。

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Luomo - The Present Lover (BMG:82876 52544 2)

★★★☆☆

▼ヴラディスラヴ・ディレイは、モーリッツのチェイン・リアクションにデモ・テープを送ってデビューしたというフィンランド出身のアーティスト。チェイン・リアクションやミル・プラトーでは、ディープで実験的な音響系ミニマルダブをリリースして余り踊れない印象がありましたが、このルオモ名義ではフロア向けのクリック・ハウス(?)に挑戦しています(しかもメジャーからのリリース!) 凝った音なのに適度なポップ感があってとくにテクノ・ハウスを意識しなくても聞ける内容になっています。印象的なのは全曲にヴォーカルを導入している点。デトロイト・ハウスのような濃厚なファンクネスは感じられませんが、クリック系独特の音数の多さとダブの質感、ひねくれたビート(4つ打ちの抜き方が面白いです)に女性ヴォーカルがのってとにかくセクシー。なかでも「Tessio」は哀愁が漂うヴォーカル・ハウスの傑作。せつない旋律が印象的です。よりクリック系な前作「Vocalcity」もお薦め(ベーチャンがハウスに挑戦したようなイメージです)

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 M 

Manuel Gottsching - E2-E4 (SPALAX:CD 14241)

★★★★★

▼70年代に「NEW AGE OF EARTH」など数々の傑作アルバムを世に送りだしたジャーマン・サイケデリック・バンド「アシュ・ラ・テンプル」 そのギタリストだったマニュエル・ゴッチングが81年にリリースした歴史的名盤。
▼全1曲60分の超大作。楽天的でミニマルな電子音が微妙に変化し続ける(本質的な意味での)トランス・サウンド。テクノ・ハウスの原型とよばれるのもうなずける。ちなみにたった1時間ほどで制作されダビングすら行わなかったとか。
▼この曲がやたらとデトロイト・テクノの連中に気に入られているのも有名。88年にイタロ・ハウスのスエニョ・ラティーノがサンプリングした曲を、92年にデリック・メイとカール・クレイグがリミックスした「SUENO LATINO」(ややこしい)や、カール・クレイグがペーパークリップ・ピープル名義で94年にリリースした「REMAKE」などといった作品がリリースされている。ガラージ・ハウスの始祖ラリー・レヴァンもパラダイス・ガレージ(伝説のハウス箱)で頻繁にプレイしたそうです。
▼「SWITCH」(1995年10月号)で野田努氏がマニュエル・ゴッチング本人にインタビューしている。それによるとスエニョ・ラティーノは「契約書も著作権も完璧」だったそうで作品についてもマニュエル自身も満足している様子。しかしデトロイト勢についてはメタメタ。カール・クレイグは「E2-E4」のライセンスがほしい」と言ってきたっきり音沙汰なし。デリック・メイに至ってはリリース後になって偶然知ったとか。おいおい、デトロイト大丈夫か?
▼「E2-E4」というタイトルにはいろいろな意味があるらしい。ひとつはチェスから。最初に置く駒をそう呼ぶんだとか(マニュエル自身の最初のアルバムという意味もある) 二つ目は古いアップルのPCで制作したのでメモリの制約がありタイトルを長くできなかったから。三つ目は、スターウォーズの「R2-D2」(!)からなのだそうです。

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Maurizio - Maurizio (EFA:22222-2)

★★★★★

▼モーリッツ・フォン・オズワルドのソロワーク「Mシリーズ」をコンパイルしたベスト盤。9曲中7曲がCD向けにリエディット。しかも未発表曲も収録。買うしかないです!
▼巧妙かつ繊細なフィルター処理と万華鏡のように変化する音色…。ミニマルなようでミニマルじゃない。ダブのようでダブじゃない。モーリッツだけが為しえる独自の世界観。UR同様、世界中に無数のフォロワーを産み出していますが、凡庸なクリック・ハウスでは太刀打ちできない本家ならではの仕事ぶり。素晴らしいです。リスペクト!
▼収録曲中、最も有名なのは「DOMINA(EDIT)」でしょうか。原曲はマニュエル・ゴッチング。カール・クレイグとの競作リミックスですがモーリッツの方がよりディープかつダビー。微妙な変化を見せながら徐々に音が重なる展開にやられます。一度、クラブの爆音で聴いてみたい…。
▼すぐ錆びる缶ジャケットは要注意。CDを頻繁に出し入れすると割れる危険性も…。買ったらすぐ別のケースに入れ替えましょう。

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Metro Area - Metro Area (ENVIRON:ENVCD002)

★★★☆☆

▼ダン・カーティンのメタモルフィックからデビューしたモーガン・ゲイスト。初期は、ダン・カーティンのコピーといっていいほど影響を受けたデトロイト・テクノをリリースしていましたが、自身のレーベル「Environ」を設立後は急速にハウス、ディスコ方面に傾倒。ダニエル・ワンなどの才能も輩出して、ニューヨークのディープ・ハウス・シーンではかなりの人気を誇っているようです。このメトロ・エリアは、モーガン・ゲイストとダーシャン・ジェスラーニのユニット。70年代ディスコ・ファンクのテイストと、モーガン・ゲイスト独特のスカスカな打ち込みが融合したミニマル・ディスコ・ハウスです。作っているのが白人にも関わらずブラック・ミュージックの匂いが濃厚。独自の世界を築いています。

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Microworld - Microworld (Catalog.:CATCD#004)

★★★★☆

▼99年のヒット作「Signals」で活動休止状態だったトランスマット・レーベルの復活を告げたマイクロ・ワールド(フィリップ・マックガーヴァのソロ・ユニット)待望のファースト・アルバム。オーストラリアのキャンベラ在住ということで、ジュース(DJ HMCが運営していたアシッド・テクノ・レーベル)やアンデファインド(アデレードのテック・ハウス・レーベル)との交流があるのでは?と期待しましたが余り関係は無いようですね。それはさておき、マイクロ・ワールドの作風は、アリル・ブリカと同様に広がりのある音色と力強いビートで、正統派デトロイト・テクノ好きなファンにはたまらない内容です。「BC Style」は、名前通り(?)ベーシック・チャンネル系のディープなダンス・トラック。徐々に電子音を折り重ねていくスタイルは、一度クラブで聞いてみたいと思わせる名作です。70年代ジャズ・フュージョンのサヴァンナ・バンド「Sunshower」をサンプリングした「DB」は、「Time:space02」の中でも特に印象的な名曲。エスニックなボイス・サンプルが妙になごみます。壮麗でスケールを感じさせる作風は、今後にも多いに期待させるものがありますが、どうせなら「Signals」も収録してほしかったというのが唯一の不満点かもしれません。

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Model 500 - Classics (R&S:RS 931 CD)

★★★★☆

▼アブドゥール・ハックのレトロフューチャーなジャケットが印象的なモデル500(ホアン・アトキンス)の初期ベスト盤。クラフトワークとPファンクが死ぬほど好きなデトロイトの黒人が生み出した素晴らしいマシン・ソウルの数々。85〜90年までのヒット曲を収録。冒頭の「No UFO's (Remix)」は1985年にリリースされたデトロイト・エレクトロ・クラシック。「FlyFlyFly...」と繰り返すヴォーカルが印象的。「Night Drive (Time, Space, Transmat)」はご覧の通り、後にデリック・メイのレーベル名となる造語(ホアン・アトキンスはSFの愛読者で様々な造語を作っていたそうです)をタイトルに含んだ名曲。無機的なボコーダー・ボイスがかっこいい。「Ocean to Ocean (Instrumental)」は、後のUR「〜2〜」シリーズにも影響を与えたと言われるメロディアスな一曲。全て15年以上前の楽曲ですが余り古さを感じさせないのが凄いところ。新作(モデル600?)にも期待してます。

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Model 500 - Deep Space (R&S:RS 95 066 CD)

★★★★☆

▼美しい星雲のジャケットが一際目を引くモデル500(ホアン・アトキンス)の傑作アルバム。エンジニアはモーリッツ・フォン・オズワルド。この他にケヴィン・サンダーソンとフランソワ・ケヴォーキアンも参加しておりベテランの持ち味が遺憾なく発揮されています。星屑の中に吸い込まれるような「Milky Way」、アンニュイなヴォーカル・エレクトロ「The Flow」、ベーシック・チャンネルばりのディープ・トラック「Starlight」、ホアン自身の囁くような声が印象的な「I Wanna Be There」など時代を超越して聞ける素晴らしい内容です。ちなみにホアン・アトキンスは1962年生まれらしいので…今年(2004年)で42歳! オリジネイター世代は相変わらず元気ですね。

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Model 500 - Mind And Body (R&S:RS 99 145 CD)

★★★☆☆

▼現時点(2004年)ではモデル500の最新アルバムなんですが、まるで忘れ去られたように話題にならないこのアルバム。R&Sが死にかけている時期(99年)にリリースされたため、プロモーションも満足にやってもらえなかったのでは…。オリジネイターの中でもいちばん実験精神が横溢なだけに、エレクトロ、ドラムンベース(「Incredible」)、ダブ、ファンク、ヒップホップといった様々なエッセンスを含む野心的な作品でボーカルがのった曲が多いのも特徴的。個人的には「In & Out」が、初期のモデル500っぽいスペーシーな曲で気に入ってます(No UFOsっぽいかも)、「Be Brave」なんかは、それこそUKあたりのヒットチャートに登場してもおかしくないほどの聞きやすさなのですが、前作「Deep Space」は、ディープでスペーシーな内容でモーリッツも参加するなどクロウト好みだっただけに、余計にこのアルバムのポップな部分が気に入られなかったのでしょうか。もう少しダンス寄りに作ってあれば評価が変わってきたかもしれません。ちなみにここで野田努氏のライナーノーツを読むことができますよ。

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Model 500 - Sonic Sunset (R&S:RS 94 043 CD)

★★★★★

▼これぞ「コズミック・ソウル」なホアン・アトキンスの大傑作。スペーシーなジャケットやタイトルもかっこいいです。ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ(タンジェリン・ドリームやノイなど)に影響を受けたと思われる壮大なハード・ミニマル・アンビエント(?)で、1曲あたりの収録時間が非常に長いのが特徴的(名曲「I Wanna Be There」は、なんと18分50秒!) 個人的にいちばん気に入っているのは「Sonic Sunset (Cave Mix)」 BPM150以上の怒涛の展開で宇宙の彼方に飛ばされます。

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Moodymann - Mahogany Brown (Peacefrog:PF074CD)

★★★★☆

▼ピースフロッグからリリースされたムーディマンのセカンド・アルバム。前作に比べるとよりスムーズに音楽性を深化させた大傑作。ジャケットがおしゃれ風になって「あれれ?」と思わせますが、中身は期待通りのドロドロに濃く黒いムーディマン・サウンド。サンプリングによるコラージュ色は一層強まり、冒頭の「Radio」からデトロイトの喧騒を挟んでシームレスに展開する構成は、まるで架空のブラック・ムービーのサウンドトラックのように聞こえます。個人的には子供たちのコーラスが印象的な「Sunshine」と、スケールの大きさに圧倒される「Black Sunday」がお気に入りです。
▼ムーディマンといえば、以前に某所から入手したDJ-MIX(Live@Radio Nova)が余りにも心地よく既に30回以上は聞いてしまいました。決して派手なテクニックがある訳ではないのですが、ソウルフルでドラマチックな選曲がとにかく素晴らしく耳に残ります。ぜひともMIX-CDをリリースしてほしいものですね(セオ・パリッシュみたいにCD-Rでもいいかも) ちなみにムーディマンが初来日した際に披露したライヴでは、ステージにベッドが置いてあってストリッパーがビートに合わせて踊りまくっていたそうです。彼自身もピアノを弾いたりヴォーカルを披露したりと、かなり面白かったそうで見に行けばよかったと後悔することしきりです。

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Moodymann - Silentintroduction (Planet E:PE 65234 CD)

★★★★★

▼アフロヘアに丸目サングラスのジャケットだけでも強烈な個性を発揮している「ムーディマン(不機嫌な男)」ことケニー・ディクソン・ジュニアのファーストアルバム。デトロイトで生きるアフリカン・アメリカンの日常をベースに、ディープでソウルフルなハウストラックを生み出す独特の作風は、どちらかといえば快楽志向だったこれまでのハウス・シーンを一変させるほどの衝撃があります。
▼ムーディマンを形容する際に多様される言葉として“黒い”というフレーズが挙げられますが、黒さを感じさせる理由にコラージュ的なサンプリングによる独特な作曲方法があると思います。ディスコ、ジャズ、ファンク、ソウル、ゴスペルといったブラックミュージックは元よりラジオやテレビから録音したネタまで使っていますが、その使い方が異様に生っぽく、音と音の隙間からグルーブを生み出す手法は、従来までのテクノ・ハウスをは一線を画しています。
▼特にお気に入りなのが8曲目「Sunday Morning」で、例のようにサンプリングを多用し、デトロイトの穏やかな朝の光景が描かれていますが、どことなくサバーバン・ナイトにも通じる暗鬱で不穏な空気(?)が漂っているのが一筋縄では行かないところ。しばしば比較されるセオ・パリッシュと比べると楽曲性が高く、アルバム全体に一貫した統一感があるため、何度聞いても聞き飽きない構成の良さが光ります。

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Morgan Geist - Environ: Into A Separate Space (PHONO:PHONO CD03)

★★★☆☆

▼ダン・カーティンが発掘したニュージャージーの異才。このCDでは、才能溢れる彼の初期作品を一挙に聞くことができます。どの曲も相当クオリティが高いのですが、デトロイト・フォロワーならぬダン・カーティン・フォロワーと命名したい位、影響を受けまくっていて微笑ましい。デトロイト通の間では非常に評価の高いティトントン・デュバンテが参加しているのも見逃せない点のひとつです。

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Mr.De' - Renaissance (Submerge:SUBJPCD-001)

★★★★☆

▼デトロイト・テクノに熱心なディスクユニオンに対抗して(?)シスコもサブマージ関連のタイトルをリリースするようになりました。それにしても、いきなりミスター・ディーとはマニアックですね。サブマージの大番頭として運営に関わる傍ら、自らが主催するエレクトロファンク・レコードからのリリースも続ける多彩な人物です。ミックスCD「Electronic Funkyshit」なんかを聞いているとゲットー・テックDJのイメージがありますが、DJゴッド・ファーザーあたりとはかなり趣向が異なり、ファンク、ソウル、ハウス、ヒップホップ、R&Bといった正統派ブラック・ミュージックの影響を感じさせます。アルバムは、いきなりゴッドファーザーの「愛のテーマ」をサンプリングした曲で度肝を抜かれますが、2曲目の「Whonleeone」は、ロマンティックでメロディアスなトラックで一安心。「Sweetest Pain(Album Mix)」も正統派ディープ・ハウスで、サブマージ直系デトロイト・ハウスの醍醐味を存分に味合わせてくれます。5曲目「Home」は、郷愁を感じさせるR&B調。8曲目「The Vine」は、ジョージ・クリントンばりの超ファンキートラック。9曲目「Space Odyssey」は、DJロランド「Nite:Life 016 Rolando」にも収録されたスィートなハウス・トラック。いかついミスター・ディー自身のルックスからは想像できない優しさを感じさせます。14曲目「Song 4 Sydney」は、ゴスペル調のダイナミックでスケールを感じさせる素晴らしい曲。マッド・マイクにも通じる過去のブラック・ミュージックへのリスペクト精神が感じられます。いわゆるゲットー・テック的な作品を聞きたい人にはお勧めできませんが、マッド・マイクの温かみのあるハウス路線が好きなら、文句無くお勧めできる素晴らしい作品です。

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 N 

Neuropolitique - Beyond The Pinch (New Electronica:elec 33cd)

★★★☆☆

▼ニューエレクトロニカからリリースされたニューロポリティークの(現時点では)最新アルバム(ラストアルバム?) ご覧いただければわかるように「歴史に残るバカジャケ」で一部では有名です(ノーパンの尻を触ろうとする手。ジャケットの裏を見ると分かりますが“手”はなんとマット・コガー本人なのです! 裏と表で手の向きが逆さまになっているのはご愛嬌) これまでのアナログシンセを駆使した正統派デトロイト的な音(作り方は異端ですが…)から脱却してほぼ全てをサンプリングで作曲しています。流麗なストリングスこそ影を潜めていますが、あくまで「16ビート」にこだわる変態っぷりは健在。ブレイクビーツを基本にしながら、他の追随をゆるさないオリジナル・ファンキー・テクノを展開しています。昨今のデトロイト・テクノ・ブームを機に同郷のステイシスが数年ぶりに復活していますので、ここはひとつニューロポリティークの新作も聞きたいところですね。

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Neuropolitique - Menage・Trois (Irdial:52 ird mat 4)

★★★★☆

▼ニューロポリティークことマット・コガーは、1987〜88年当時、デリック・メイのトランスマット・レーベルで働いていたという筋金入りのデトロイト・フォロワー(友人のカーク・ディジョージョとデリックの機材を勝手に使って曲を作ったという逸話も…) 傑作コンピ「Virtual Sex」に「Bananagate」で参加した実力派で、このファーストアルバムはイギリスでも有数の(?)変態系テクノ・レーベル「アーディアル」からリリースされました。
▼アーバナイズド・レコーズの真利夫氏のコラムが非常に面白いので取り上げますが、デトロイト・テクノ独特の「16ビートのリズム」を更に進化させて、ハットやキックも全て16ビートに収めてしまうという暴挙(?)に出たのがニューロポリティークの特徴です。音に隙間がほとんど無いのでとにかく忙しない印象を受けますが、かといって踊れないわけではなくダンス・ミュージックとしてもしっかりと機能しています。“薄っぺらい4つ打ち+重さの無いストリングス”という構成のフォロワーが多い中で、ニューロポリティークは“神経質なデリック・メイ”とでも呼びたくなるほど特異な才能を発揮しています。個人的に印象に残ったのは表題曲「Menage・Trois」で、途中で突然挿入されるストリングスのドラマチックな展開にハッとさせられました。

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 O 

Oasis - Collaborating (Fxhe Music:?)

★★★☆☆

▼またも登場したデトロイト・ハウスのニュー・カマー。アレックス“オマー”スミスとシャドウ・レイのユニット。自らの音を「Motown Minimal Sound」と表現するビートダウン+クリック・ハウスのような個性的な作品。
▼乾ききったハンドクラップや隙間だらけのビートは往年のダニエル・ベルを彷彿とさせる。本人が語るほど新しい音だとは思わないが妙に印象に残るのは確か。マイナーなトーンとパーカッションが印象的な「Oasis Nine」が良い。
▼どうしてもマンチェスターのロック・バンドに間違えてしまうユニット名とセンスのないジャケット・デザインは…。このあたりもデトロイトっぽい…といえなくもないが。

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Octave One - Blackwater (Tinted Records:TINT CD5 071)

★★★★☆

▼キャリアは長いがいまいちヒット曲に恵まれなかったバーデン兄弟のオクターヴ・ワン。そんな彼らが放った会心の大ヒット曲。
▼ケヴィン・サンダーソンの奥さん、アン・サンダーソンをヴォーカルに起用した正統派デトロイト・ハウスです。オクターヴ・ワン版「GOOD LIFE」といった方が分かりやすいかも。
▼ソウルフルなヴォーカルに哀愁を帯びたメロディーとストリングス。印象的なベースライン。良い意味でポップな感じです。オルター・イーゴやケヴィン・サンダーソン等の手による数多くのリミックス・バージョンも生まれ、2002年にはテクノ・ハウスのDJがかけまくってましたね(WIRE02でもかかりまくってたなー)
▼余談ですがこの曲を知人に聴かせたら「宇多田ヒカル?」と言われてしまった…。うーむ…。

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Octave One - The Collective (430 West:4WCD-300)

★★★★☆

▼デトロイト・テクノ・シーン最重要レーベルのひとつである「430ウェスト」を代表するアーティスト“オクターヴ・ワン” レーベルオーナーでもあるレニー、ローレンス、ライネルのバーデン三兄弟で結成されたこのユニットは1989年から活動している超ベテラン。初期の代表曲はヴォーカルにリサ・ニューベリーを起用した「I Believe」(トランスマットよりリリース) デトロイト・テクノのロマンティックな部分を最大限に引き出したこの名曲は、傑作コンピ「Techno 2: The Future Sound Of Detroit」に収録され、ヨーロッパでデトロイト・テクノ・リヴァイヴァルを引き起こすひとつの要因になりました。この「The Collective」はヒット曲を収録したベスト盤的アルバム。CDでは入手し難い彼らの作品を堪能できます。
▼彼らの作品の特徴は「タイトなリズム」と「硬質なエフェクト」です。「Daystar Rising」、「Eniac」、「The Symbiont」、「Nicolette 」など、シンプルかつミニマルながらもデトロイトらしいグルーヴ感が素晴らしい。決して派手ではありませんが不思議と印象に残るフレーズが耳につきます。そのなかでも「I Believe」はかなり異質。美しいストリングスにセクシーなヴォーカルがのる構成はとにかくエモーショナル。2002年には彼ら最大のヒット曲「Blackwater」がリリースされましたが、初めて聞いたときに「2002年版『I Believe』みたいだな」と感じたことを覚えています。マイペースで活動を続けてきた彼らですが、2004年、ついに待望のニューアルバムをリリース予定だそうですので楽しみですね(別名義のランダム・ノイズ・ジェネレーションも、パーカッシブな硬派テクノでオススメですよ)


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Octave One - The Theory Of Everything (Concept Music:CEPTCD10)

★★★★☆

▼ついに出た! デトロイトの超ベテラン・ユニット、オクターヴ・ワンのフル・オリジナル・アルバム。マネジメントは、懐かしのニール・ラシュトンで、往年からのデトロイト・テクノ・マニアは感涙ですね。デジパック仕様のジャケットもかっこよく決まっていて気合が感じられます。ここ最近は、DJでの頻繁な来日やジェフ・ミルズ「Exhibitionist(DVD)」でのライブ演奏(RNG名義)など、精力的な活動が続いていただけに、否が応でも期待が高まっていました。これまでにも、「The Collective」「The Living Key」といったアルバムをリリースしていましたが、どちらもシングルを集めたベスト盤的な内容だったので、実質的には本作がファースト・アルバムとなります。彼ら独特の硬質でパーカッシブなビートに流麗なストリングスとシンセが載る曲構成は、このアルバムでもしっかり披露されていますが、厳粛な雰囲気のイントロで幕を開けると、流れるのはテクノではなく、スラム・ヴィレッジやヒプノテックで活躍するラッパー、P・グラヴをフィーチャーしたヒップホップ・トラック! 決して片手間ではなくかなりの本格派で聞かせてくれます。3曲目「Wish I Was」では、ヴォニカ・ジョーンズ、4曲目「All 2 U」では、デラノ・テイラーという女性をヴォーカルに起用して、憂いを帯びながらもソウルフルでロマンチックなテクノ・トラックを披露。このアルバム全体に言えることですが、ディープでアンダーグラウンドなランダム・ノイズ・ジェネレーションとは、はっきり方向性を変えてかなりポップな内容に仕上げています。7曲目「Somedays」では、「Black Water」のアン・サンダーソン(ケヴィン・サンダーソンの奥さん)とデラノ・テイラーが美しい喉を披露。ストリングとフィーメイル・ヴォーカルが絡み合う展開は、「Black Water」の続編とでも言えそうな雰囲気です。13曲目には、彼らの大ヒット曲「Black Water (Vocal Strings Mix)」を収録。12人で編成されたオーケストラ、パーカッショニストを迎えてロンドンで収録されたバージョンは、原曲の持つエモーショナルな展開をさらに盛り上げる完成度です。ちなみに、14曲目「All 2 U (Reprise : Piano Strings Mix)」、15曲目「Horizonz」は、シークレット・トラックとして収録(ノン・クレジット) 特に「Horizonz」は、スペーシーで幻想的な素晴らしいテクノ・トラックです。お聞き逃しなく!

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Optic Nerve - Optical (DELSIN:30 dsr/otn-cd1)

★★★★☆

▼元オックス88のメンバーでDJ K-1やフリーケンシー名義でもリリースを続けるデトロイトのベテラン。キース・タッカーのプロジェクト「オプティック・ナーヴ(視神経)」
▼過去のヒット曲と新作を収録したベスト盤的なアルバム。なぜデトロイトのレーベルではなくオランダのデルシンから?という疑問はありますが、とりあえず聴けて踊れる素晴らしい内容です。
▼その経歴からエレクトロよりな音が予想されますが、以外にもストレートなデトロイト・テクノ作品がほとんど。繊細な音使いが好印象です。
▼「PREMONITION(1993)」は、タイトル通り93年にヒットしたデトロイト・テクノ・クラシック。ホアンのインフィニティ名義にも通じる音使い。隠し味のエレクトロ風味がそう感じさせる?
▼女性ヴォーカルをフィーチャーした「QUANTUM LEAP」は名曲。アンニュイな雰囲気がよいです。

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 P 

Paul Johnson - The Other Side Of Me And Mores (avex trax:AVCD-11445)

★★★☆☆

▼シカゴ・ゲットー・ハウスの雄、ポール・ジョンソンのアルバムがなんと日本のエイベックスからリリース。しかも2枚組の豪華版(解説は佐久間英夫氏) カジミア(a.k.a.グリーンベルベット)主催のリリーフから出た「The Other Side Of Me」にDJシュガー・ケイン(誰?)がミックスした「PREMIUM MIX CD」がセットになっています。J-POPで儲かってたころのエイベックスがカジミアにだまされた…といったら言い過ぎ?
▼内容は予想通りなシリアスの欠片も無い天然アッパーサウンド。ヘタクソな口笛にデモテープみたいなビートを乗せた「Just Whistle」、延々と放送禁止用語をループさせる「Mothafucka」など伝統的なアホアホ・ファンキー・ハウスがてんこ盛り。生真面目なデトロイト・テクノとは正反対の音なので聴いているうちに脳みそが溶けてしまいそうです…。それでもダンスマニアやダストトラックスあたりのチープ&ファンキーな作品に比べると、おとなしめでテクノ寄りなセレクトといえるかもしれませんけどね。DISC-2の「PREMIUM MIX CD」もシカゴ直送のグルーヴを感じさせてくれます。なぜDJにも定評があるポール・ジョンソン本人にミックスさせなかったのかは謎ですが…。デリック・メイがDJでよく使うトラックも収録されています。

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Percy X - Spyx (SOMA:SOMA CD 04)

★★★☆☆

▼パーシーXは、グラスゴーを拠点に活動するDJ兼プロデューサ、トニー・スコットのソロプロジェクト。最近の作風は、パーカッシブなハード・テクノやエレクトロだったりするようですが、このファーストアルバムはデトロイト・テクノ(とくにUR一派)を強く意識した内容になっています。
▼…とかいいつつも、1曲目がいきなりアブストラクトなヒップホップでびっくり(しかも長い…) おいおい、だいじょうぶかよ…と思わされますが、2曲目「LONER」は、ちゃんと4つ打ちだったので安心しました。デトロイト風のふわふわしたパッドが微妙に変化するミニマルな曲です。ウワモノが奇妙でシカゴっぽい感じ。キックがず太いのはヒップホップっぽいですね。3曲目「AQUIUS」は、イルカが水中を泳いでいるような浮遊感のあるトランシーな曲。本家よりも展開は抑え目でBPMはかなり速めです。こういう曲ってありそうで意外と無いんですよね。DJツールとしても使いやすそうです。
▼…と思ったら、4曲目もアブストラクトなヒップホップ。リバーブがかかったキックがテクノっぽい?(…これも長い…) 6曲目「AEROBIX」は、キックにリバーブをかけまくったアシッドっぽいハード・テクノ。デトロイト的な音色を使っているにも関わらずエモーショナル部分は控えめでとにかくストイックです。トニー・スコットは、アダム・ベイヤーやカリ・レケブッシュといった北欧ミニマル勢と親交が深いそうですが、この曲を聴くと確かに近い作風ですね。8曲目「STAR SYSTEM」は、アシッドベースにミニマルなビート、憂いを含んだストリングスがいかにもデトロイト・テクノ的で、レッドプラネットあたりに近い雰囲気の曲です。イントロが、ドレクシヤがワープからリリースした「THE JOURNEY HOME」収録の「BLACK SEA」(傑作!)に似ています。かなりかっこいいですよ。10曲目「X-TRAK」は、往年のデイヴ・エンジェルをストイックにした感じ。曲の中ごろで聞こえてくるアンニュイなシンセフレーズが良い感じです。タイトルはURのXシリーズを意識? 11曲目は力強いキックがURっぽい。ダークなストリングスも余計にそう感じさせる原因でしょう。URの新作といわれれば信じてしまいそうです。URフォロワーの中でも相当レベルが高いと思います。

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Placid Angles - The Cry (Peacefrog:PF069CD)

★★★★★

▼近年はラテンへのアプローチが目立つジョン・ベルトランのプラシドアングルス名義唯一のアルバム。デリック・メイ、カール・クレイグ直系のせつない旋律はこのアルバムで頂点をきわめています。(日本では)ミニマル全盛の時代に発売されたため、ワゴンセールで叩き売られていた(!)のが印象的でした(97〜2000ごろまでは、デトロイト・テクノにとって冬の時代…でしたね。リリースも極端に少なく、ストリングスが入っているだけで「古臭い」と敬遠されていたのを覚えています)
▼1曲目「Scarlett Season」のイントロから既に哀愁のストリングスが炸裂。アシッド系の重いビートと相まって素晴らしくエモーショナル。2曲目「Ocean (London Mix)」は、彼の作品中1、2を争う超名曲。この曲を聴くためにアルバムを買っても惜しくないと思います。子供がささやくようなボイスサンプルとブレイクビーツに重厚なパッドが幾重にも重なりながらこれでもかと感情に訴えかけてきます。3曲目「Fate」もフィーメイル・ヴォーカルを起用した繊細な曲。4曲目「Casting Shadows (On Warm Sundays)」は、タイトル通り穏やかな日曜日の午後をイメージ。5曲目「Now And Always」は、デリック・メイの影響を感じさせるハイハットが印象的。ジョン・ベルトラン独特の変則的なビートも堪能できます。6曲目「Lavinia」、7曲目「Everything Under The Sun」からは宗教音楽の荘厳さを、8曲目「Her Elements」からは優しく美しい女性をイメージさせられます。ラストの9曲目「Decembers Tragedy (Revisited)」は、セカンドアルバム「Ten Days Of Blue 」に収録されていた「Gutaris Breeze (6000 KM To Amsterdam)」、「Decembers Tragedy」、「Soft Summer」の3曲が組み合わせされた感動的な曲(出典:テクノ・バイヤーズ・ガイド)。短い曲ですが何ともいえない余韻を残します。

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Psyche/Bfc - Elements 1989-1990 (PLANET E:PE BFC 96-CD)

★★★★★

▼カール・クレイグを聴くならこれが一番おすすめ。89〜90年当時、若き才能を爆発させていたカール・クレイグの楽曲を集めた初期ベスト盤。デリック・メイの影響を強く受けながらも、よりロマンチックで壮大な宇宙を感じさせる作風は、近年の作品とは全く質感が異なるので最近ファンになった方は驚くかもしれません。1曲目「Elements」は彼のデビュー作品ですが、タメのある打ち込みと16ビートのシーケンス、瑞々しいシンセサウンドは、既に素晴らしい才能を発揮しています。その他、「Neurotic Behavior」、「Crackdown」、「Andromeda」、「Galaxy」、「Please Stand By」、「Chicken Noodle Soup」など美しく切ない作品は全曲お薦め。何回聴いても飽きない永遠のエヴァーグリーン(常緑樹)です。昼メシ抜いてでも買ってください。

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Purveyors Of Fine Funk - Purveyors of Fine Funk (Nepenta:NPT CD 01)

★★★☆☆

▼初期はダン・カーティンと日系人タツロウ・ハヤシのシカゴ・ハウス・ユニットとして活動していたパーヴヤーズ・オブ・ファイン・ファンク(タツロウ・ハヤシが持っていたアングラ・ポルノからつけた名前らしいです)のファーストアルバム。ピースフロッグからリリースされていたシングルは、いかにもシカゴらしいノリと勢いを大切にしたチープながらもファンキーな作風でしたが、後にダンとタツロウ・ハヤシが決別(何があったのかは不明ですが、タツロウ氏は音楽から離れてしまったのだとか…) ダン・カーティンの別名義として現在に至っています。このアルバムは生っぽい音とラテン風味が効いたディープ・ハウス路線で以前のパーヴヤーズ・オブ・ファイン・ファンクとは全く別物です。以前から本人名義でもサンバ風のリミックスを発表したりとラテンへの造詣の深さを垣間見せていたダン・カーティンですが、ここに来て本格的に始動といった感じです。個人的には収録曲中唯一のヴォーカル・ハウス「Romantic Fever」がコズミックな初期作品を連想させて気に入りました。転調の仕方がいかにも彼っぽい。

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 R 

Random Noise Generation - Links In The Chain (430 West:4WCD-45012)

★★★★★

▼430ウエスト・レーベルを運営し、デトロイト・テクノを代表するユニット「オクターヴ・ワン」でも有名なバーデン兄弟。6人兄弟のうち、ローレンス、レニー、ローンが参加している「裏オクターヴ・ワン」的なユニットが、この「ランダム・ノイズ・ジェネレーション」です。硬い独特の音質とパーカッシブでミニマルな楽曲が、コアなデトロイト・テクノ・ファンの間で人気ですが、最近の活動で最も印象的だったのは、ジェフ・ミルズのDVD「EXHIBITIONIST」で披露したライブではないでしょうか。MPCを使ってストイックに演奏する彼らの姿は、いかにもアンダーグラウンドなデトロイト・テクノを体現しており、とてもクールでした。この「Links In The Chain」は、彼らのファースト・アルバムで、ジャケットやライナーノーツにも気合が入った傑作です。冒頭の「The Beginning」から「Random Funk」「Last Campaign」「My Soul (Is Free)」「We Can Survive」まで、サバーバン・ナイトにも通ずるダークなエネルギーを感じさせる素晴らしい曲が揃っており、はっきり言ってポップになったオクターヴ・ワンよりも相当良いと思います。ちなみに香港映画「英雄本色(邦題:男たちの挽歌)」からとった(?)最新作「A Better Tommorow」は、ファンキーなカッティング・ギターとハンドクラップが印象的なハウシーな曲で、これも彼らの個性が十分に発揮されています。

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Recloose - Cardiology (Studio !K7:!K7124CD)

★★★★☆

▼リクルースことマット・チコインはデトロイトでは珍しい白人アーティスト。バイト先にサンドイッチを買いに来たカール・クレイグに、デモテープを挟んだサンドイッチを渡してデビューしたという逸話を持つ彼のサウンドは、本家デトロイト・テクノ勢も驚く驚異のファンキー・ハウス! 元々ヒップホップDJだったそうで、スクラッチの腕も相当だそうです。ちなみにここで紹介しているのはプラネットEからドイツのスタジオ!K7にライセンスされたバージョン(中身は同じです)
▼待望のファーストアルバムである本作には、アイロ、ドゥウェレ、ジョン・アーノルド…といった注目のアーティストが多数参加していますが、ゲストに負けない圧倒的な個性を発揮しているのがリクルースのサウンド・プロダクト。なんといっても冒頭の「Ain't Changin'」が最高! ケメティック・ジャスト名義でディープ・ハウスに挑戦しているジャスティン・チャップマンのファンキーなボーカルとウネリまくるビートがとにかく素晴らしいです。近年のデトロイト作品には余り見られなかったポジティブな雰囲気にも好感。ドゥウェレをフィーチャーした「Can't Take It」には自身のルーツでもあるジャズ色が濃厚に漂っていてこれまた素晴らしい。ちなみに活動拠点をデトロイトからニュージーランドに移したというのは、都会の喧騒から距離を置きたい…ということなのでしょうか? 若いはずなのに枯れている…これもまたリクルースっぽいですね。

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Rhythm & Sound - Rhythm & Sound (RHYTHM&SOUND:RSD-1)

★★★★☆

▼ベーシック・チャンネルのサブ・レーベル、リズム&サウンドのレーベル・コンピレーション。アブストラクト・テクノにダブ、レゲエのエッセンスを注入した特異なサウンドは、ジャーマン・ニューウェーブと並んでレゲエをルーツに持つモーリッツの歴史を感じさせます。スローテンポにダブ直系の超ヘビーなドラム&ベースは、分かりやすい4つ打ちテクノとは一線を画していますが、ベーチャン直系の巧妙なイコライジングとエフェクトは唯一無比のモーリッツ・サウンドです。霧の中をゆらゆらと漂っているような感覚はチルアウトにも最適でしょう。

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Robert Hood - Caught In The Act 2 (LOGISTIC RECORDS:LOG023 CD)

★★★☆☆

▼元URメンバーの中で個人的にお気に入りなロバート・フッドのDJミックス。ベテランらしい落ち着いたジャジーなハウス…ではなくて、クイックなつなぎで連発されるハード・ミニマル・トラックの嵐!嵐!嵐! とにかく高いテンションのまま最初から最後まで飛ばしまくりです。選曲のほとんどが自分とレーベルオーナーのジョン・トーマスなのはご愛嬌。

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Robert Hood - Nighttime World Volume 1 (Cheap:CD CHEAP 02)

★★★★☆

▼ロバート・フッドが、パトリック・パルシンガー主催の変態レーベル「チープ」よりリリースした名作。ジャズ・テイストなジャケットが渋い。内容も普段のハード・ミニマルとは全く異なる“ロブ・フッド流ジャズ”(アナログ盤のジャケットには古のジャズ・ミュージシャンのポートレート使われています)。マッド・マイクやジェフ・ミルズとは一味違う彼独特の“乾いた感触”と“奥に潜む人間的な温かみ”が何ともハードボイルド。後にデュエット(Mプラントのサブレーベル)からリリースする「Red Passion」シリーズにも通じる感触です。
▼「The Color Of Skin(皮膚の色)」、「Electric Nigger Pt. 1 」、「Stark Reality(硬直した現実)」など、タイトルにも元URらしいアフリカン・アメリカンの現状に対する問題定義がなされています。1曲目「Behind This Door」、3曲目「Episode No. 19」、4曲目「The Color Of Skin」は、まるで70年代アクション映画のサウンドトラックのようなジャジーで情緒溢れる楽曲。2曲目「Nighttime World」、6曲目「Nighttime」では、疾走感のあるメロディアスなシンセをフィーチャー。5曲目「Electric Nigger Pt. 1」、7曲目「Untitled」(無題!)では、これまでの路線を踏襲する硬派なミニマル・テクノ。ラストの「Stark Reality」は、UR時代を連想させるエモーショナル・トラック。深い悲しみの中に僅かな希望が垣間見られる名曲です。

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Russ Gabriel - Voltage Control (Input Neuron Musique:inmcd004)

★★★★☆

▼UKで最も早い時期からデトロイト・テクノに接近し、近年はソロ・アーティストとしても活躍しているラス・ガブリエル。自らがプロデューサーとして運営していたフェロックス・レーベルでは、ジャズやデトロイト・テクノを独自に解釈した素晴らしい作品をリリースしていました(イアン・オブライエンのファースト・アルバムで有名。現在は活動休止) 最近はハウス寄りの作風になっているようですが、この「電圧制御」というタイトルのアルバムでは、シンセサイザー黎明期のかっこいいジャケットが表している通り、ワープのAIシリーズにも通じるデトロイト・アンビエントな作風を披露しています。リリース元がマニアックなファンを持つGPRのサブ・レーベル、インプット・ニューロンというのも注目すべきポイント。音数は少なく展開もミニマル。ビートは儚く控えめですが、「Tokyo Sun」「Agoraphobia」などを聞けば分るとおり、細部まで配慮された構成は紛れも無くデトロイト系のピュア・エレクトロニカ。ニール・オリヴィエラ(デトロイト・エスカレーター・カンパニー)にも通じる…と思ったら、デトロイト…のファースト・アルバム「Soundtrack (313)」はフェロックスからのリリースでしたね。

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 S 

Scion - Arrange And Process Basic Channel Tracks (TRESOR:Tresor 200)

★★★★☆

▼トレゾーの記念すべき200枚目。サイオン(サブスタンス+ヴェインクールのユニット)が、ベーシック・チャンネルの音源を“LIVE”(音楽ソフト)を使ってリコンストラクションしたMIXCD。ベーチャンの素晴らしさは今更語る必要も無いでしょう。延々と同じ音が鳴り続けているようでありながら実は微妙に変化している繊細な音…。巧妙なエフェクトが幾重にも施されたアブストラクト・サウンドは、「歌」や「メロディ」といったディティールで音を聴くひとには分かりにくいかもしれませんが、曲全体の「グルーヴ感」で音を聴けるならば一旦はまったら抜け出せないほど素晴らしい魅力を持っています。機会があればぜひクラブで聴いてみたいCDのひとつです。

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Silent Phase - The Rewired Mixes (R&S:MS-20 CD)

★★★★☆

▼ステイシー・パレンがサイレント・フェイズ名義でリリースしたアルバム「THE THEORY OF SILENT PHASE」 その収録曲「FIRE」「MEDITIVE FUSION」のリミックス・バージョンを3曲収録したマキシシングル(海外でもこう呼ぶのでしょうか?) これが新品で買えるのは喜ぶべきか悲しむべきか…。
▼ステイシー・パレン自身の「FIRE (REWIRED MIX)」は、いかにもデリック・メイの弟子らしい力強いビートが強い印象を残します(BPMもかなり速い) 2曲目の「FIRE (SWAHILI MEETS MOZART MIX)」は、タイトルどおりアフロ・トライバルなビートをフィーチャー。モーツァルトの由来は途中で挿入されるストリングスから??
▼ケニー・ラーキンによる「MEDITIVE FUSION (KENNY LARKIN MIX)」は、「MIX-UP VOL.5(デリック・メイ)」のラストでも使われた名曲。原曲のオルガンのようなメロディを印象を変えずに巧みに変換。微妙にズレたようなビートや音の抜き差しなどにケニー・ラーキンの個性が炸裂しています。

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Silent Phase - The Theory Of Silent Phase (R&S:TMT-1 CD)

★★★★★

▼サイレント・フェイズ(ステイシー・パレン)の傑作アルバム。今は亡き(?)R&Sがデトロイトに熱心だった頃にトランスマットよりライセンスされた作品。デリック・メイ直系のパーカッシブで高域を強調した独特な音質は彼ならでは。同じくデリック・メイを師匠とするカール・クレイグの影に隠れがちですが、ステイシー・パレンも素晴らしい才能の持ち主だと思います。
▼湧き上がるようなイントロがぞくぞくする「Waterdance」、縦笛のような音色が印象的な「Meditive Fusion」、ストレンジなビートがうねりまくる「Psychotic Funk」など、アフリカン・ルーツな激しいビートと透明感のある「これぞデトロイト」なシンセがとにかく心地よいです。

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Slam - Alien Radio (SOMA:SOMA CD25 )

★★★☆☆

▼スラムは、スチュアート・マクミランとオーデ・メイクルのユニット。スコットランドのグラスゴーを活動拠点とし、DJ・プロデューサ業やソーマ・レーベルの運営、レコード店(RUB A DUB)まで経営している多才な人達です。「ALIEN RADIO」は、スラムがリリースした待望のアルバム2作目(長いキャリアのわりには、2枚しかアルバム出してないんですね…) マスタリング担当は、有名な「NILZ - THE EXCHANGE」です(ドラムコードやサブヴォイスといったミニマル・テクノ・レーベルのマスタリングで有名)
▼彼らの作風は、デトロイト・テクノの影響を受けながらスコットランド流に解釈したテック・ハウスといった印象。美しいシンセフレーズが耳に残ります。2曲目「LIFETIMES」はゴシック調の?重々しいベースとヴォーカルのブリティッシュ・テクノ。うまく表現できませんが、とてもイギリス的な雰囲気が漂っています。アルバム表題曲「ALIEN RADIO」は、タイトル通りラジオノイズのようなウワモノとダークで不穏な雰囲気のベースが特徴のあるエレクトロっぽいテクノ。4曲目「NARCO TOURISTS」は、変則的なビートがジャジーなブレイクビーツもの。5曲目「VISIONS」も女声ヴォーカルがのったブレイクビーツ。重々しさは持続されています。7曲目「POSITIVE EDUCATION」は、93年に大ヒットした彼らの代表曲をリメイク。オリジナルの印象的なボイスサンプルと湧き上がるようにグルーヴィなベースラインはそのままに、よりドラマチックに仕上がっています。フロアで聴いたら大爆発まちがいナシ…でしょう。
▼9曲目「VIRTUOSO」は 後にリミックス集までリリースされた大ヒット曲。デトロイティッシュなウワモノとエモーショナルなストリングスに、彼らお得意の重厚なベースラインが重なってとにかくドラマティック。後半に行けば行くほどビルドアップしていく展開は、DJロランド「JAGUAR」に似ているような気がします(実際、DJロランドがこの曲をリミックスしています)

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Slam - Alien Radio Remixed (SOMA:SOMA CD29)

★★☆☆☆

▼大ヒットしたスラム「Alien Radio」のリミックス集。ファンク・ドヴォイド、ジョッシュ・ウィンク、トゥー・ローン・スウォーズメン、アンクル、ダレン・エマーソン、カール・コックスといったUK勢を総動員。さすがベテランといった貫禄です。デトロイト・テクノ・ファンが注目するのは、DJロランドの「Virtuoso (Rolando Remix)」だと思いますが、ロランド節炸裂…と思いきや意外に地味で印象に残らない…。むしろ、ジョッシュ・ウィンクあたりの方がパーカッシブなミニマルでかっこいいです。

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Soul Designer - Walking On A Little Cloud (F COMMUNICATIONS:F 152 CD)

★★★☆☆

▼ソウル・デザイナーは、ベルギーの白人青年ファブリス・リグのソロプロジェクト。デトロイト直系の綺麗で浮遊感のあるテクノ路線で一躍注目のアーティストになりました。Fコミ以外にも、ケヴィン・サンダーソンのKMSやドイツのプレイハウス、カンツェラムトからリリースしていたり、バグ・オーケストラ名義でエレクトロに挑戦していたりと、なかなか活発に活動しているようです。真ん中分けヘアとメガネをかけた外見が、いかにもデトロイトおたくっぽくて人がよさそうな感じです。
▼アルバム全体の雰囲気は、例えていうと「DESERT SCORES」当時のイアン・オブライエンっぽい感じ。イアンに比べるとジャズ色は薄くビートが乾いていて軽めな気もしますが、よりアッパーでテンポが速くフロア映えしそうな曲が多いです。かといって激しすぎるわけでもなく耳に痛い音色も使われていないので、リスニング用にも向いていると思います。
▼2曲目「EMOTIONAL」は、イアン・オブライエンの「MAD MIKE DISEASE」にソックリの曲。おそらく確信犯でしょう。4曲目「SLEEP WITH A FAT GIRL」は、タイトルが気になります。「デブ女と眠る」って…。唯一、ダークで緊迫感のある曲なのですが、寝苦しい(暑苦しい)夜を再現しているような気もします(またはデブ専?) 5曲目「SOFT CAUSE」は、タイトル通りの優しいパッドが心地よいアンビエント・テイストな曲(イントロが金持ちなんちゃら…とかいうTV番組で使われていたような…?)
▼7曲目「DETROIT SOUND」は、デトロイト・テクノへのリスペクトを素直に表明したソウル・デザイナーの代表曲。ブレイクビーツっぽいビートに美しいパッド。うねるようなアシッドベース。「STYLE OF DETROIT SOUND」というボイスサンプル。とにかくかっこいいです。来日したサバーバン・ナイトもDJで使っていましたよ。
8曲目「TECH DO BRASIL」は、BPM速めのテクネイジアっぽいストレートなダンストラック。9曲目「SHARE MY SOUL」は、ジャジーなベースとエレピが絡むディープハウス。10曲目「UN AIR DE PROVENCE」は、昔のカール・クレイグっぽい浮遊感のあるシンセサウンドが美しい曲です。

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St. Germain - Boulevard (New Version) (PIAS:PIASA6)

★★★★☆

▼ジャズ+ディープ・ハウスな作風で大ヒットしたサンジェルマンことルドヴィック・ナヴァールのデビュー・アルバム(一説によると全世界で30万枚以上も売れたとか…)のニュー・バージョン。収録曲に変更があり、「From Detroit To St Germain」に収録されていた「Soul Salsa Soul」、「Alabama Blues (Todd Edwards Vocal Mix)」の2曲が追加されています。初期はアシッドハウスやデトロイト・テクノの影響を受けたチョイス名義(ロラン・ガルニエとのユニット)で「Acid Eifel」という名曲も残していますが、このアルバムでは、ジャズを中心としたブラック・ミュージックに傾倒。ピアノやサックスが美しい大人のディープ・ハウスを披露しています(あのセオ・パリッシュやデリック・メイも絶賛していました) この後、ジャズの名門ブルーノート(フランスですが)に拠点を移して、よりジャズのルーツに迫る活動を進めていますが、デトロイト・テクノ・ファンとしてはこのアルバムがベストだと思います。

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Stacey Pullen - Fabric 14 Stacey Pullen (Fabric:Fabric)

★★★★☆

▼デリック・メイのエンジニアとして辣腕を奮ったことでも知られるステイシー・パレン(インナーシティ「Praise」のリミックスは秀逸!) バンゴ、コズミック・メッセンジャー、サイレント・フェイズ等々の名義でも活動していますが、2001年の「Today Is the Tomorrow You Were Promised Yesterday」以降は目立った活動がなく、自らのブラック・フラッグ・レコーディングスもリリースがストップしている状態。一体どうなっているのやら?とファンをやきもきさせていましたが、ようやくミックスCDのリリースが決定。なんと前作「DJ-Kicks」から7年ぶりとなる本作は、ステイシーの音楽志向の変化をうかがわせる素晴らしい内容になっています。ブラック・フラッグからのリリースはもちろん、ムーディマン「Music People」、デイヴ・エンジェル「Catch 2」といったファンキーかつグルーヴィーなハウス・トラックを一気に聞かせる展開は、ヒップホップ、ジャズにも傾倒している彼らしさを感じます。うねるような黒いグルーヴがとにかく気持ちいいです。

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Stacey Pullen - Today Is The Tomorrow You Were Promised Yesterday (Science:QEDCD 5)

★★★★☆

▼2001年にリリースされたステイシー・パレンの本人名義では初のアルバム。「今日は昨日に約束された明日」(うまく訳せているか自信がありませんが…)というタイトルと色水に満たされた水槽が意味深。デリック・メイのエンジニアとして辣腕を奮った彼は、師匠に比べるとよりブラック・ルーツ指向で力強いパーカッシブなビートが特徴的。今回の作品ではジャズ色が強まりブレイクビーツや変拍子を使った曲も収録されています。
▼なんといっても印象的なのは4曲目の「Vertigo」で、これぞ王道デトロイトといった感のあるスペーシーでスケール感のある壮大な曲です。オペラのアリア風なアルト・ボイスに徐々にビルドアップするシンセが乗ってとにかくエモーショナル! これを聞くためにこのアルバムを買っても良いと思います。2曲目の「Tsunami」、シングルカットされた3曲目「Juke」もエレクトロニック・ジャズといった感じで素晴らしい。全ての曲がダンス・オリエンテッドという訳ではありませんが、どの曲もビートに工夫が凝らしてあって聞き飽きません。

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Stasis - Inspiration (Peacefrog:PF028CD)

★★★★☆

▼実力派カール・クレイグ・フォロワー三人衆(ダン・カーティン、カーク・ディジョージョ、スティーブ・ピックトン)の中でも、最も謎めいた活動を行っているスティーブ・ピックトン。そんな彼の最も有名な名義がステイシスです。このアルバムがリリースされた1994年といえば、デトロイト・テクノ・リヴァイヴァルの真っ只中で、ベルギーのバズからリリースされた一連のコンピレーション(「Panic In Detroit」「Relics - A Transmat Compilation」「The Beginning / Nite & Da」「Virtual Sex」など)や、ワープからもAIシリーズ(アーティフィシャル・インテリジェンス)がらみで、リチャード・D・ジェームス、B12、ザ・ブラック・ドッグ、オウテカ、グローバル・コミュニケーションといった、デトロイト・テクノ(特にデリック・メイとカール・クレイグ)の影響を強く受けたアーティストが一斉に登場してきた素晴らしい時期でした。この頃のアーティストは、最近のフォロワーには無い一種独特の繊細な感覚を持っていて、一部のマニアは未だにこの時代の作品をこよなく愛しています(よね?) というわけで、このアルバムの1曲目「Natural People」のイントロを聞いただけで、往年からのデトロイト・テクノ・ファンは涙モノでしょう。繊細なハイハット、アナログシンセの温かいパッド。凝りまくったビートは、最近のデトロイト・テクノ・フォロワーには見られない独特な感触があります。決してデトロイトのオリジネイターのように、うねるような黒いグルーヴがある訳ではありませんが、白人クリエイター独特のドリーミーでメランコリックな感性は、日本人好みでもあるのではないでしょうか。

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Stasis - Past Movements (Peacefrog:PFG046CD)

★★★★★

▼B12やピースフロッグで活躍していたスティーブ・ピックトンことステイシスのベスト盤が2003年12月にまさかのリリース!! ステイシス名義の名作は元より、カーク・ディジョージョのART、Op-ARTからPhenomyna、Paul W. Tebrooke名義でリリースした希少な作品や未発表曲も収録した豪華2枚組。ここ数年は全く動きを見せていなかったステイシスですが、「過去の動き」という意味深なタイトルは、今後の新たな展開を示唆するものなのでしょうか? とりあえずディープなデトロイト・テクノ・ファンは買っておいた方が良いと思います。

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Suburban Knight - My Sol Dark Direction (PEACEFROG:PFG025CD)

★★★★☆

▼デトロイト・テクノ・オリジネイター最後の大物。サバーバン・ナイト(郊外の騎士?偏狭な騎士?)ことジェームズ・ペニントンのファーストアルバム。UR、トランスマットからリリースされた過去の作品と新作を収録した待望の1枚。
▼それにしてもサバーバン・ナイトの国内盤が出るとは夢にも思いませんでした。時代が変わったな…(第5次デトロイト・テクノ・リバイバル???)
▼代表作「THE ART OF STALKING」(89年)は、直訳すると「ストーキングの芸術」というとんでもないタイトル。じわじわとターゲットを追い詰めるストーカーの心理を巧みに表現したダーク・テクノの傑作です(と自分勝手に解釈) R&Sやフナック(Fコミュニケーションズの前身レーベル)にもライセンスされています。フナックからリリースされた12"のリミキサーは、サンジェルマンことルドヴィック・ナヴァール! 現在ではまず考えられない組み合わせですね(サンジェルマンは仏ブルーノートからアルバム出してるし…)
▼その他の収録曲もクラシックなデトロイト・テクノの文法に則ったダーク・ハード路線なのですが、「MIDNIGHT SUNSHINE」のみ「E2-E4」を連想させるポジティブでソウルフルなデトロイト・ハウスです。同曲はサブマージのコンピ「SUBMERGE DEPTH CHARGE 3」にも収録されましたが、CDのマスタリングがヘタクソだったのか音圧が無く低域がスカスカでした…(お持ちの方は「DEPTH CHARGE 3」と「COSMIC SOUL」収録のインフィニティ「GAME ONE」を聴き比べてみてください) なので今回のアルバム収録は個人的にもたいへんうれしいです(もちろん音圧も完璧!)
▼実はレッドプラネットの「WINDWALKER」も彼の作品だって知ってましたか? ダーク・ハード・テクノとは正反対のロマンチックでエモーショナルな楽曲。いろんな才能を備えたひとですね。
▼筆者はDETOXのURナイト(1回目)でサバーバン・ナイトのDJを体験。デトロイト・テクノとエレクトロ中心の選曲でBPM速め。タバコを吸いながら緩急自在のグルーヴでフロアを沸かせていました。モデル500「NIGHT DRIVE」や3フェイズ・フィーチャリング・ドクターモッテ「DER KLANG DER FAMILIE」等のクラシック・アンセムを連発していたのが印象的。彼のDJMIX-CD希望です。

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Susumu Yokota - Sound Of Sky (EXCEPTIONAL:EXLPCD0202)

★★★★☆

▼日本のテクノ・シーン黎明期より活動を続けるベテラン・アーティスト、ヨコタ・ススム。ジャーマン・トランス、アシッド、ディスコ、ハウス…と様々なテイストの作品をリリースしながらも不思議と散漫な印象は無く、一貫したものを感じさせる「ヨコタ節」には根強いファンが多いです。この「Sound Of Sky」は、「1998」〜「1999」〜「Zero」と続く一連の作品の集大成ともいえる内容で、近年のラリー・ハードにも通じる優しく優雅なディープ・ハウスを展開してます。「これのどこがデトロイト…?」と聞かれると答えに詰まってしまいそうですが(ヨコタ・ススム本人もデトロイトは全く意識していないと思います)「Sky Blue」あたりの心地よさには頷いてもらえる…はず。

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System 7 / Derrick May - Mysterious Traveller (BEAT RECORDS:BRC-58)

★★★★★

▼システム7は、伝説的なプログレ・バンド「ゴング」にギタリストとして参加していたスティーヴ・ヒレッジとミケット・ジローディ(彼の奥様)によって結成されたユニット。スティーヴ・ヒレッジは1951年生まれなので…今年52歳!! 作風は年齢をまったく感じさせない最新型テクノ。夫婦仲も良さそうでたいへん微笑ましいです。そんな彼らは結成当初からデトロイト・テクノとの交流を深め、デリック・メイ、カール・クレイグ等も作品に参加しています。このアルバムは、デリック・メイとのコラボレーション作品を集めたベスト盤。未発表曲も収録! ジャケもセンス良いです。
▼システム7の過去のアルバムに収録されていた楽曲を中心に収録されています。注目は、5曲目「Prototype 1 (Electron Mix)」(未発表曲)と9曲目「E-Merge」(新曲!) ヒレッジ自身が演奏するサイケなギターサウンドが効果音的に挿入されますが、それ以外は完全にクラブ仕様のデトロイティッシュなテクノです。スペーシーで広がりを感じさせる音響処理はいかにも彼らっぽいですね。
▼デトロイト・テクノ・ファン注目のポイントは、4曲目に(なぜか)リズム・イズ・リズム「Icon (Montage Mix)」が収録されていることでしょう。ご存知の通り、この曲は今や幻のデリック・メイのファーストアルバムに収録される予定だった名曲で、名盤デトロイト・コンピ「VirtualSex」にも収録されたバージョンです(「Innovator」に収録されているバージョンはアレンジが加えられていて、しかもタイトルが「The Beginning Of The End Of The Beginning (Montage Sensitive Mix)」と称するやたら長いものに変更されています) はっきり言ってシステム7とは何の関係も無い曲なのですが、(現時点で)CDで聞けるのはこれだけなので余計なことは言わずに素直に喜んでおきましょう(よっぽどスティーヴ・ヒレッジ自身が気に入っていたんでしょうね) 
▼デビュー当時の曲から比較的最近の曲まで収録曲には10年以上の幅がありますが、全く古さを感じさせない統一感があります。聞き方によってはデリックの新作という捉え方さえできそうな素晴らしい内容。もちろん純粋な新作の方がもっとうれしいんですけどね(待つだけ無駄だと思いますが…)

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 T 

Technasia - Future Mix (TECHNASIA RECORDS:TA101CD)

★★★★☆

▼日本でも非常に人気のある中仏2人組ユニットのファーストアルバム。彼らが中国で放送しているラジオ番組を模した構成がおもしろい(曲間にラジオDJのMCやコマーシャルが入る)
▼彼らの作風は「デトロイト+ミニマル+トランス少々」といった感じ。明らかに影響を受けているが、良くも悪くもデトロイト特有のメランコリックな部分がない。とにかく明るくさわやか。
▼とはいえ今どきのテクノなのでキックやベースは図太い。完全にクラブ仕様です。
▼収録曲中、唯一のリミックス曲が「SOUND OF K / SILVERY SOUNDS(TECHNASIA HARD MIX)」 これを冒頭に持ってきたということは相当気に入っているのか?
▼元曲は、Fコミュニケーションからリリースされたストレートなフュージョンハウス。一時期、デリック・メイも好んでかけていたとか。…ところで「サウンド・オブ・ケイ」ってだれ???
▼アンダーワールドばりの歌物トラック「FORCE」はクラブでも大ヒット。デトロイトDJ(ロランド、サバーバン・ナイト)も使いまくり。ヴォーカルなしバージョンだったけど。
▼構成に工夫を凝らしているため、何度聴いても聞き飽きない。夜のドライブにも最適。

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Technasia - Recreations (TECHNASIA RECORDS:TA102CD)

★★★☆☆

▼テクネイジア「Future Mix」収録曲を中心に、テクネイジア自身と親交の深いアーティストたちがリミキサーとして参加したリコンストラクション・アルバム。ファンク・ド・ヴォイド、ジョン・ティジャーダ、レナート・コーヘン、クロード・ヤングといった個性的なメンツがヒット曲を料理しています。全編を通して元曲の良さを生かしたストレートなリミックスが多い印象。ジョン・ティジャーダあたりはもっと奇抜な解釈で来るかと思いましたが…。個人的にはイントロのエレピが印象的なクロード・ヤングの「Force (A Claude Young Reconstruction)」が気に入りました。全11曲中、4曲が「Force」のリミックスという点が少し引っかかりましたが意外と気にならなかったので一安心。ボーナス特典として「Force」のミュージック・ビデオも収録。彼らが活動をスタートした香港の街並みをスピーディなカット割で映像化しています。

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Teknotika - The Seductive Sounds Of Teknotika (EYE Q:EYE UK CD 014)

★★★☆☆

▼トライバルかつパーカッシブな妖しい作風でデトロイト・テクノ・アーティストの中でもひときわ異彩を放つゲイリー・マーティンのテクノティカ名義セカンド・アルバム。なぜかドイツのアイQレーベルからのリリース(一時期、スヴェン・ヴァスが「Tiger Trance」を好んでかけていたようなので、その辺りの交流からリリースされたのかもしれません) レス・バクスター「Tamboo/Skins」に代表される60年代に流行した「エキゾチカ」(ジャズをベースとしながらも中南米やアジアの民俗楽器を用いた実験的な音楽)に影響されたという彼の作風は、無国籍なトライバル・ダンスミュージック。ジジ・ギャラクシー名義でヒットした「Universal Love」の元曲(?)「Universal Love' 87」など、このアルバムでも持ち味は存分に発揮されていますが音色や展開が若干古臭い印象も…。それにしてもこのジャケットは…??(古めかしいヌード写真の乳首が隠れるようにタイトル・シールが貼られています) ある意味、彼らしいといえば彼らしいかもしれませんが。

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Terrence Parker - Tragedies Of A Plastic Soul Junkie (!K7:!K7R007CD)

★★★★☆

受話器型ヘッドホンでお馴染みの(?)“TP”ことテレンス・パーカー。デトロイト・ハウスのベテランDJとして活躍する彼の作品は、以前に購入した「Detroit After Dark」が、シンセを多様した実験的なダウンテンポ(?)だったので、なんとなく敬遠していたんですが、このアルバムは大当たり。70年代テイストに溢れるアッパーでディスコ・テイストなディープ・ハウスです。極太の音圧とグルーヴィなベース、エモーショナルなピアノのループ・サンプルが効果的。「Emancipation Of My Soul」「Piano Circus」「Tatina Speaks」あたりは、美しいストリングスとピアノが絡み合って上げてくれます。「Why ? (After All This) (The Grand Ballroom Mix)」もギターとヴォーカルがファンキーで良い感じ。「A Track For O.J. Simpson (The Acquittal)」も正統派デトロイト・ハウスなんですが、タイトルが意味深ですね。最近は、新作を出さずDJに専念しているのかな…?と思っていたら、何気にミックスCD-R(ディスクユニオン限定らしい)をリリースしていたりと、アンダーグラウンドに徹して活動を続けているようです。

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The Black Dog - Bytes (WARP:WARP 008 CD)

★★★★★

▼ブラック・ドッグの初期作品(プラッド、バリルなど他の名義も含む)を集めたファーストアルバム。デトロイトの影響を受けまくったブレイクビーツ・テクノで、初期衝動に満ち溢れていてとにかくみずみずしい。本人たちは余り納得していない作品だそうですが、個人的にはブラック・ドッグのベストだと思います。

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The Reese Project - Faith Hope & Clarity (Toshiba EMI:TOCP-7655)

★★★★☆

▼リーズ・プロジェクトは、ケビン・サンダーソン、アン・サンダーソン(ケビンの奥さん)、ラケル・カップのユニット。この「Faith Hope & Clarity」は、大ヒットした同アルバムの1993年に発売された国内盤で、ライナーノーツは野田努氏が担当しています。ヒット曲「I Believe」「So Deep」「Colour Of love」「Direct Me」が収録されており、オールド・スクールなデトロイト・ハウスの魅力を堪能できます。特筆すべき点は、URのリミックスが3曲も収録されていることで、ヨリス・ヴォールンが「Lost Memories Pt.2」でサンプリングしたことでも有名になった「The Colour Of love(Underground Resistance Radio Mix)」は、マッド・マイク節が炸裂したエモーショナルなピアノが素晴らしいガラージ・ハウス。「Direct Me (Underground Resistance Mix)」は、ストレートすぎて余り印象に残りませんが、「The Colour Of Love (Underground Resistance Jazzy Mix)」は、アン・サンダーソンのスキャットにシロフォンとピアノを載せたグルーヴィな展開で現在の耳で聞いても遜色のない素晴らしい作品です。

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The Vision - Waveform Transmission Vol. 2 (TRESOR:Tresor 017)

★★★☆☆

▼ウェイブフォーム・トランスミッションシリーズの第2弾は、ロバート・フッドのビジョン名義。ジェフ・ミルズに比べると、よりタイトでソリッドなミニマル・ビート。ハードコア・テクノのなごりも若干感じられます。ちなみにこのシリーズの第4弾は、ベーシック・チャンネルが手がける予定だったそうですが未だに陽の目を見ていません。残念…!

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The Youngsters - Lemonorange (F-Communications:F 144 CD)

★★★☆☆

▼Fコミュニケーションズからリリースするヤングスターズは、オリバー・マシューとジャイルス・エスカファーのユニット。この「Lemonorange」は彼らのデビューアルバムで、どうやら熱烈なURファンらしく作品のそこかしこから影響が伺えます。それにしてもこのユニット名はなんとかならんのでしょうか? 「若者」って…ねぇ?
▼2曲目「Illogique」は、ボコーダーボイスとシンセ・ベースがクラフトワークを連想させるオールド・スクールなダンストラック。3曲目「Spanish Harlem」は、テクネイジア(アミル・カーン)の「Plus」にも収録されたジェフ・ミルズテイストな疾走ミニマル。4曲目「Flightcase Pour Criquets」と6曲目「Choose」は、URの「〜2〜」シリーズを連想させるエモーショナルな音作り。ビートは軽めですがピアノのフレーズが心地よいです。9曲目「Friperie Connection」は軽快なエレクトロ。フランス産なので上品です。12曲目「Smile」はデトロイト調のメロディにヴォーカルが載るせつないダンス・トラックです。ユニット名とジャケットはパッとしませんが、デトロイト・テクノ・フォロワーのなかでは上出来な方だと思います。

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Theo Parrish - First Floor (Nippon Crown:CRCL-2001/2)

★★★★☆

▼新世代デトロイト・ハウスの中心的なアーティストとしてムーディマンと共に絶大な人気を誇るセオ・パリッシュのファースト・アルバム。ここで紹介するCDは日本クラウンからリリースされた国内盤で、ピースフロッグ盤とはジャケットが異なり、未収録の「Only The Beginning」と「Sky Walking (Unreleased)」を追加した2枚組(個人的にはジャケットはピースフロッグ盤の方が好みです) ジャズ、ファンク、アシッド・ハウス、シカゴ・ハウスを通過して重くどす黒くうねるデトロイト・ソウル!
▼しばしばムーディマンと比較されるセオ・パリッシュですが、その音楽性は似て非なる物です。1曲ごとに作りこんで音楽性を追求するムーディマン(彼のアルバムは曲間がつながっていて、アルバム全体で1曲として聴けるように構成されています)に比べると、セオ・パリッシュの作品は、サンプル・ループを主体としたDJユースなダンス・トラックが中心です(だからといって大ネタをループしただけのような安直さは微塵もありませんが) 中にはBPM100前後と異様に遅い曲もありますが、じわじわと変化するアブストラクトな質感は、ミニマル・テクノやクリック・ハウスに近いものがあり、ムーディマンに比べるとテクノ・ファンに評価が高いのも頷ける気がします。
▼どの曲もムーディマンと共通する「黒さ」(抽象的で申し訳ありませんが、こう表現することしか思いつかないのです…)と「暗さ」に満ちていますが、中でも圧巻なのはジェームズ・ブラウン「BODYHEAT」を延々とループする「JB's Edit」で、ネタ一発の本当に荒っぽいトラックなのですが、なぜか異様にファンキーで見事にハメられます。ふわふわと夜空(曇り空だと勝手に想像してます)を漂うような「Sky Walking」も心地よい傑作です。
▼それにしても、昨今のセオ・パリッシュ人気は凄いものがありますね。このファースト・アルバムがリリースされた当時は(日本では)まだまだミニマル・テクノが全盛で、ピースフロッグ自体もシカゴやミニマル系のレーベルというイメージが強かったため、(余りに遅いBPMに)試聴して驚いた覚えがあります。それが現在ではジェフ・ミルズやデリック・メイ並みのデトロイトを代表するヒット・メーカーに! まさに隔世の感がありますね。

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Theo Parrish - Parallel Dimensions (Ubiquity Records:URCD 151)

★★★★☆

▼セオ・パリッシュが、2000年にサウンド・シブネイチャーから1,000枚限定でリリースした「Parallel Dimensions」が、ユビキティーより再発。モノトーンで薄くこもったパーカッシブなビートと、生音中心の音色、ヴォーカルもの中心の構成は、後の「Natural Aspirations」に続く流れを感じさせます。ベースとピアノが印象的な「Violet Green」が特に素晴らしいと思いました。

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Tony Drake - Texture (New Electronica:ELECTM30CD)

★★★★☆

ダンス・オリエンテッドな音が多いデトロイトでは珍しいアンビエント系のクリエイター、トニー・ドレイク。祖母はゴスペルのピアニスト、叔父はR&Bの作曲家といった音楽に囲まれた環境で育ち、本人も幼少のころからウッドベースやピアノを演奏していたそうで、トランスマットのコンピ「Time:Space 2」にも参加しているのは記憶に新しいところです。この作品はマイペースで活動を続ける彼がニュー・エレクトロニカよりリリースしたファースト・アルバム(トランスマットからのライセンス) アーティスティックな写真が印象的なデジパック仕様のジャケットは中央から三方向に開く凝った作り。イメージを喚起する陰鬱ながらも美しいアンビエント・サウンドはビートレスでゆったりと展開しますが、ところどころにデトロイトらしさを感じさせる「マシン・ソウル」的なフレーズが現れるところがいかにもデリック・メイが発掘した人材ですね。ジェフ・ミルズの実験的なレーベル、トゥモローにも通じる感覚が感じられます。

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 U 

Underground Resistance - Revolution For Change (UNDERGROUND RESISTANCE:UR001CD)

★★★★☆

▼マイク・バンクス(マッド・マイク)、ジェフ・ミルズ、ロバート・フッドの伝説的ユニット「Underground Resistance」の(現時点では)唯一のアルバム。(当時、デトロイト・テクノに熱心だった)英ネットワーク・レコーズよりリリースされ、UR10番あたりまでのヒット曲をコンパイルした初期ベスト盤的な内容。「Riot」「Punisher」「Adrenalin」「Sonic Destroyer」等のユーロ・テクノ・シーンを席巻したハードコア・テクノと「Eye Of The Storm」「Sometimes I Feel Like」「The Theory」といった「Nation 2 Nation」から始まるジャズ、フュージョンテイストの作品を収録。既に10年以上前の作品なのでさすがに音色や構成の古臭さは否めませんが、その圧倒的なパワーは未だに色褪せません。MCのロブ・フッドが観客を煽り、マイクとジェフのシンセがうなりをあげるオランダ・ユトレヒトでのライブを収録した「UR Live In Utrech, Holland」は圧巻!

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 V 

V.A. - 10.100 (Peacefrog:PF100CD)

★★★★☆

▼テクノ黎明期から活動を続けるUKの老舗レーベル「ピースフロッグ」の10周年記念コンピレーション(2枚組) 初期のアシッド・ハウスからデトロイト・テクノ〜ハード・ミニマル〜ディープ・ハウスと同レーベルの指向の変化を如実に反映したセレクションとなっています。それにしても豪華なメンツ! パーヴヤーズ・オブ・ファインファンク(ダン・カーティンと日系人タツロウ・ハヤシのユニット)、ポール・ジョンソン、ロン・トレント、セオ・パリッシュ、ダン・カーティン、ノーマ・ジーン・ベル、プラネタリー・アサルト・システム(ルーク・スレイターとアラン・セイジのユニット)、インフィニティ(ホアン・アトキンス)、ジョン・ベルトラン、グレン・アンダーグラウンド、DBX(ダニエル・ベル)、ニューロポリティーク、プラシド・エンジェル(ジョン・ベルトラン)、イアン・オブライエン、ムーディマン、デトロイト・エスカレーター・カンパニー、ルーク・スレイター、ステイシス…と大雑把に書き出しただけでも目がくらむような素晴らしさです。デトロイト・テクノやディープ・ハウス、ビートダウン好きなら必ず持っていたい1枚です。

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V.A. - 10.100.02 (Peacefrog:PF100.02CD)

★★★★☆

▼ピースフロッグ10周年記念コンピレーションの第2弾(2枚組) 前作同様に超豪華なメンツのヒット曲を収録。参加メンバーは、セオ・パリッシュ、DBX(ダニエル・ベル)、ルーク・スレイター、セイント・ヴィータス・ダンス(ホープ・グラント)、マックスウェル・ハウス(マックス・ブレナン)、ムーディマン、ステイシス、アポジー(ダン・カーティン)、ロン・トレント、グレン・アンダーグラウンド、イアン・オブライエン、ダン・カーティン、プラネタリー・アサルト・システム、シェイク(アンソニー・シェイカー)、ジョン・ベルトラン、ロイ・デイビス・ジュニアなど。デトロイト・テクノ〜ディープ・ハウスの名曲がずらりと並んでいます。デトロイト初心者にもおすすめ。

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V.A. - 313 Detroit (Infonet:INF 001CD)

★★★★☆

▼デトロイト・テクノ・リヴァイヴァル真っ盛りのころ、イギリスのインフォネット(バンドゥールのレーベル)よりリリースされたデトロイト・テクノものコンピ。タイトルの“313”とはデトロイトの市外局番のことで、インナーシティに拠点を構えるレーベルの電話番号は全て“313”から始まっています(ちなみにニューヨークは“212”) なぜか日本コロンビアから国内版もリリースされていました(92年当時の日本の状況を考えると相当思い切ったリリースですね) コアなデトロイト・マニアの評判は余りよろしくないようですが、CDではなかなか聞けない楽曲が満載されている点は評価できるのではないでしょうか?
▼参加メンバーは比較的マイナーというか渋め(悪く言えば地味…。でも実力派ばかりです) ダーク・コメディ(ケニー・ラーキンの変名。昔、コメディアンを目指していた経歴からつけたと思われます)、リール・バイ・リアル(ホアン・アトキンス)、マーク・キンシン(初期デトロイトで活躍したひと。現在はニューヨークに拠点を移してハウスをやっています)、ピース(カール・クレイグ)、サブターフュージ(トーマス・バーネット)、サントニオ(KMSのリース&サントニオの人)、エディー・フォークス、シックスナイン(カール・クレイグの変名。由来は自分の生まれた年から) 中でも群を抜いて素晴らしいのはカール・クレイグがらみの2曲。「Free Your Mind (future)」は、ボイスサンプルが印象的なファンキー・ハウス。けだるく内省的な「Desire」は、当時、野田努氏も絶賛していた名曲です。

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V.A. - All Access to Detroit's Music Festivals (PLANET E:PE 65264)

★★★☆☆

▼2001年のDEMF(デトロイト・エレクトロニック・ミュージック・フェスティバル)を記念してリリースされたコンピレーション。カール・クレイグ監修です。インナー・シティ、リッチー・ホウティン、ブラック・オデッセイ(ステイシー・パレン)、ランダム・ノイズ・ジェネレーション(バーデン兄弟)、シェイク(アンソニー・シェイカー)といったデトロイト・テクノ・シーンになくてはならないベテラン勢から、アリル・ブリカ、アイベックス、リクルーズ、コモン・ファクター、セオレムといった新世代デトロイトまで幅広く収録。なぜかヒップホップも1曲収録されています(?) 注目は、ランダム・ノイズ・ジェネレーションの未発表曲「The Playground」 重くて硬質な音がいかにも彼ららしいです。

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V.A. - Beneath The Surface (Moods & Grooves:MGCD-2)

★★★★★

▼トラック・モードと並んでリリースが全てハズレなしのディープ・ハウス・レーベル「ムーズ・アンド・グルーヴス」から待望のレーベル・コンピレーションが登場! アンダーグラウンドな活動にこだわり、ほとんどの作品が12"でリリースされていましたが、レーベルスタートから4年以上の歳月を経て、ついにCD化されました。レーベル・オーナーのマイク・グランドを筆頭に、アルトン・ミラー、ブライアン・ハーデン、リック・ウェイド、ムーディ・マン、ジー・フレーム・アンド・ミスター・ジー(アドベントの変名)、ジョン・テジャダ、セオ・パリッシュ、アンドレス、ブー・ウィリアムズ、ダ・サンプラー(アンソニー・シェイカー)など、これ以上ないくらい豪華なメンツ。まさにデトロイト・ハウス・オールスターといった感じです。全編、温かみのある太く黒いビートとファンキーなディープ・ハウス、テック・ハウスで貫かれており、何回聞いても飽きさせません。デトロイトの街並みを切り取ったジャケット・デザインも素晴らしい!

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V.A. - Carl Craig Abstract Funk Theory (OBSESSIVE:EVSCD20)

★★★★☆

▼人気の「アブストラクト・ファンク・セオリー」シリーズにカール・クレイグが登場。いかにも彼らしい選曲に思わずニヤリとしてしまいます。ホアン・アトキンスがらみが3曲、デリック・メイが2曲とデトロイト・テクノの先人たちの名曲が占めていますが、ジョージ・クリントンの「アトミック・ドッグ」やB-52's「メソポタミア」、ア・ナンバー・オム・ネームズ「シャリ・ヴァリ」(デトロイト・エレクトロの古典!)を選んでいるところなどルーツを感じさせますね(当初はYMOも収録する予定だったとか。ライセンスが取れなかったのが残念です) ちなみに自身の曲はデトロイト・テクノ史上屈指の名曲「Galaxy」です。本人もお気に入りなんですね。

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V.A. - Colin Dale Presents Mutant Disco (HARMLESS:HURTCD009)

★★★☆☆

▼UKのベテランDJコリン・デイルがコンパイルしたコンピレーション。デトロイト・テクノ・リヴァイヴァル以前から積極的にデトロイト・テクノをかけていたことでも有名です。当然のことながら収録曲もデトロイト色が濃厚。
▼目玉は、なんといってもオーランド・ヴォーンのフィックス名義「FLASH」を収録していること。来日するデトロイトDJが100%使うといっても過言ではないテクノ・クラシック!! 力強いシカゴ系のビートとファミコンちっくで印象的なウワモノは誰もが一度はクラブで耳にしたことがあるはず。 現在入手できるCDで聴けるのはこれしかないのでは??(ナイトビジョンのコンピは見つからないし…) 音圧もいい感じです。
▼その他のデトロイトものは、カール・クレイグのペーパークリップ・ピープル名義「PAPERCLIP MAN」 ジェフ・ミルズとロバート・フッドのユニットH&M「88」 パーパスメイカー「AUTOMATIC」 ルーク・スレイター「TIME DANCER」など。
▼前半の収録曲は、ヨーロッパ産のディープハウス、フィルターハウス、テックハウス。アイ・キューブ、ケヴィン・ヨスト他。悪くは無いんですが重量級のデトロイト勢に比べると物足りないかも。

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V.A. - Colin Dale Presents: Abstract Funk Theory (LOGIC RECORDS:74321 71403 2)

★★★☆☆

▼UKのテクノ・ハウス系DJコリン・デイルがコンパイルしたアブストラクト・ファンク・セオリー・シリーズ第2弾。このシリーズは、コリン・デイルの他にもカール・クレイグやイアン・オブライエンなどが登場しており、なかなかセンスの良い人選ですね。「抽象的なファンクの定義」というタイトルだけあって、テクノ、ハウスを中心にジャズ、ファンク、エレクトロといった様々なジャンルの有名曲がそれぞれのアーティストの視点で収録されています。
▼当然、このCDはコリン自身のデトロイト・テクノ、ディープハウス、テックハウスといったDJでの選曲をストレートに反映させた内容になっています(イアン・オブライエン「MAD MIKE DISEASE」収録。分かってますねー) 正直、全く知らなかったアーティストの曲も収録されているのですが、一貫した流れでコンパイルされているので興味深く聴けます。デトロイト以外にもいろいろ聴いてみたい時には大きな指標となるでしょう。
▼注目したいのは「PANIC IN DETROIT」に収録されていたイェネック(ケニー・ラーキン)「SERENA X」のインナーゾーン・ミックス! 泣く子も黙る?カール・クレイグの別名義です。原曲のふわふわと印象的なウワモノをイントロに使い「原曲に忠実なリミックス?」と思わせておきながら、突然なだれこむようにエモーショナルなシンセが鳴り響く初期カール・クレイグ節炸裂!! 一聴をお薦めします。

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V.A. - Day by Day (Delsin:32 dsr/var-cd2)

★★★☆☆

▼新世代デトロイト・テクノ・フォロワーとして注目のデルシン・レーベル(オランダ) どうしても懐かしのイーヴォルート(ステファン・ロバーツのレーベル)を彷彿とさせられますが、決定的な違いは「踊れる音」になっていること(イーヴォルートは「雰囲気もの」が多かった…)
▼この「DAY BY DAY」は、これまでに同レーベルからリリースされた12インチの代表曲を収録したレーベルコンピレーション。トイレのマークのような安っぽいジャケットが微妙ですが内容はかなりいい感じです。ちゃんとデトロイトしてますよ。
▼フューチャー・ビート・アライアンス、ディメンション・ファイヴ、オプティック・ナーヴ、ニューワールド・アクアリウムあたりが評価の高いアーティストのようですが、オプティック・ナーヴ(デトロイトのアーティスト。元オックス88のキース・タッカー)以外は全く詳細を知らないひとばかりです。
▼16ビートのシーケンスに感動。タメのある打ちこみもお約束をしっかりと守ってます。個人的にはフューチャー・ビート・アライアンス「SWEET」、ディメンション・ファイヴ「COMPUTER GROOVE」あたりがお気に入り。
▼妙な実験精神に走ったりせずに正統派な「ピュア・テクノ」といった感じ。おすすめです。

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V.A. - Deep Detroit Techno Soul Volume 1 (POW WOW TRANCE:PWD 7439)

★★★☆☆

▼独トレゾーより「Detroit Techno Soul Compilation」のタイトルでリリースされていたエディー“フラッシン”フォークス監修のコンピレーションを、ニューヨークのパウワウトランスがライセンス(このレーベルはジェフ・ミルズのファースト・アルバムもライセンスしています) 自身の曲を中心にシェイク(アンソニー・シェイカー)、オプティック・ナーヴ、サントニオ…といった親交の深いアーティスト(?)の作品を収録。メロディアスでソウルフルな“テクノ・ソウル”を堪能できます。

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V.A. - Depth Charge 1 (SUBMERGE:SCD-1)

★★★★☆

▼マッド・マイクが運営するデトロイトのディストリビューター「サブマージ」からリリースされたコンピレーション。マッド・マイク自身の作品を中心に「Final Frontier」、「Amazon」、「Jupiter Jazz」、「Meet The Red Planet」、「Lost Transmission From Earth」、ハッピーレコードからリリースされたファンキーハウス「Heartbeat Of A Groove」などデトロイト産の名作を多数収録。音圧の無さ(スカスカです…)以外は素晴らしい内容です(デトロイト・テクノ入門用としても最適!) 謎のレーベル、ゲットーテック(正体は誰?)とトラック・マスター・ルーのザ・シャドウといったマイナーな作品も収録されているのは、友人想いのマッド・マイクらしい配慮?

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V.A. - Depth Charge 2 : Escape Into The Void (SUBMERGE:SCD-2)

★★★★☆

▼サブマージ傘下のレーベル作品をコンパイルするシリーズ第2弾。今回もマッド・マイクを筆頭に、サバーバン・ナイト、マーティアン、シェイク、エディー・フォークス、スキャン7、DJ T-1000、ドレクシヤといった素晴らしいメンツ。永遠の名曲「Stardancer」を筆頭に、「Nocturbolus」、「Sex In Zero Gravity」、「Acid Fog」、「Death Star」、「Ultra Violet Images」といった作品を収録。前作(Vol.1)に比べるとよりハードな印象。音圧は…いまいちかな?

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V.A. - Depth Charge 3 (Submerge:SCD-3)

★★★☆☆

▼好評シリーズ第3弾。編集はマトリクス・レコーズのシーン・ディーソン。収録アーティストは、アンドレ・ホーランド、ダーク・エナジー(サバーバン・ナイト)、マーティアン、インフィニティ(ホワン・アトキンス)、オクターヴ・ワン、UR、オックス88、アラン・オールダムのジェネレイターからリリース経験があるDJ ESP、フリーク(シーン・ディーソン)、テクノティカ(ゲイリー・マーティン)、W-313、レムリア、S.I.N.(シーン・ディーソン)といった有名無名を問わない濃いメンツ。詳細不明のアーティストは、シーン・ディーソン人脈なのでしょうか?
▼収録曲の中でも注目なのは以下の曲で、ダーク・エナジーを表現するサバーバン・ナイトの異色作「Midnight Sunshine」、エンジニアとして今は亡きドレクシアのメンバーが参加した「Sky Painter」、ホワン・アトキンスとオランダのオーランド・ヴォールンが共作した「Game One」、「Astra Apache」は、ネイティブ・アメリカンの血を引くマッド・マイクが自らのアイデンティティを表現した名作。冒頭のトラの咆哮と力強いとライバル・ビートが強烈な「Tiger Trance」は、ゲイリー・マーティン初期の大ヒット曲です。
▼相変わらずCDマスタリングがヘタクソで音圧が無くスカスカ。「Game One」も「Cosmic Soul」と聞き比べてみると全く別物になっています。それでもこのシリーズでしか聞けない曲も多いので買う価値はあると思いますが。

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V.A. - Depth Charge 4 (Submerge:SCD-4)

★★★☆☆

▼前3作から少し間をおいてリリースされたシリーズ第4弾。マッド・マイクによる未発表曲「Alpha UR-040」によって感動的に幕を開ける本作には、オクターヴ・ワン、モデル500&3MB、トーマス・バーネット、マーティアン、ジジ・ギャラクシー(ゲイリー・マーティン)、ポザトロニクス(オックス88)、アンドレ・ホーランド、プロジェクトX、DJ T-1000(アラン・オールダム)、バイス(ジェイ・デナム)、ミッシング・チャンネル(ロバード・フッド&クロード・ヤング)の強力なデトロイトテクノ・トラックを収録。
▼オクターヴ・ワン初期のヒット曲「Eniac」、名作「Jazz Is The Teacher」(アナログ)に収録されていた「Cosmic Courier」、ベスト盤「LBH-6251876」には未収録の「Ghostdancer」、トランシーな感触が懐かしい「The Edge Of Infinity」など聞き所もありますが、全体としてはやや地味な印象…。「Jaguar」の大ヒットで再びデトロイト(UR)に注目が集まる直前のリリースだっただけに、「復活への序奏」といったところでしょうか。

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V.A. - Detroit : Beyond The Third Wave (ASTRALWERKS:ASW 06170-2)

★★★☆☆

▼“デトロイト第三世代”と呼ばれるデトロイト出身のアーティスト作品を収録したコンピレーション(ジャケットはアラン・オールダムによるアメコミSF調)クロード・ヤング、シーン・ディーソン、コズミック・メッセンジャー(ステイシー・パレン)、ケリー・ハンド、アンソニー・シェイカー、エクトモーフ、ウィル・ウェッブ、DJ T-1000(アラン・オールダム)、テレンス・ディクソン、モード・セレクター…といった実力派から日本では無名(?)なアーティストまで参加しています(エクトモーフはDJゴッドファーザー参加のユニット。モード・セレクターはジェイ・デナムがらみのアーティストらしいです) エレクトロ系が多く参加しているのは時代の流れ?(…といっても1995年リリースのCDなんですけどね…) 個人的にはクロード・ヤング「Impolite To Refuse」とコズミック・メッセンジャーの「8th Wonder (Wanderer's Mix)」が「Icon」っぽくて好みです(「Icon」よりもアッパーですが)

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V.A. - Detroit Beatdown Vol.1 (Third Ear Recordings:IDCT-1002)

★★★★★

▼セオ・パリッシュ、エディ・フォークス、アルトン・ミラー、マイク・クラークといったデトロイト・ハウス界の大物が参加。ジャケット・デザインはデザイナーズ・リパブリックという豪華なコンピレーション。“ビートダウン”という新たなジャンル(?)を提唱しているが、要するにミドルテンポのソウルフルなハウスのことらしい。気合の入った豪華2枚組。
▼1枚目は、ジャズ、ファンク、ソウル色が強いディープな選曲。セオ・パリッシュ、アルトン・ミラー、マイク・クラークはそれぞれの持ち味を発揮。個人的に耳に残ったのは新人ダレン・エイブラムスの「Loose Piano」 タイトル通り、せつないピアノにデトロイト王道のストリングスがからむ素晴らしい作品。いつまでも余韻が残ります。
▼2枚目は、打って変わりさわやかでアッパーな曲が中心。デラーノ・スミス「Metropolis」は正統派ディープ・ハウス。ベースラインが心地よいです。L.A.ウィリアムス「Velvet Musac」は掟破りの2ステップ! これも意外にいい。最後は、ドウェイン・ジェンセンの超アッパーなディスコ・トラック「My People」 ド派手なブレイクが凄い。元ネタなんなのでしょうか? なぜか2枚目は収録時間が異様に短くて(収録曲は5曲)すぐに聞き終えてしまうのが玉にキズ。

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V.A. - Elements of Jazz (KICKIN:KICK CD041)

★★★★☆

▼ジャズ・テイストのテクノ・ハウスをコンパイルしたアルバム…のはずが、なぜかほとんどデトロイト・テクノ系の作品ばかりを収録。3MB・フィーチャリング・ホアン・アトキンス、パトリック・パルシンガー、Kアレクシ・シェルビー、ダン・カーティン、セイント・ヴィータス・ダンス(ホープ・グラント)、デイヴ・エンジェル、バンゴ(ステイシー・パレン)、グレン・アンダーグラウンドと錚々たるメンツ。「Jazz is The Teacher」、「Out of Sight & Mind」、「Mystic Vibrations」、「Lagoon」といった名曲が目白押しです。中でもダン・カーティンの「Out of Sight & Mind」はこのCDでしか聞けない超名曲。延々と展開し続ける独特の展開は何度聞いても震えが来るほど素晴らしいです。また、デイヴ・エンジェルの最高傑作「Seas Of Tranquilty EP」に収録されていた「Lagoon」も疾走感溢れる大傑作。この曲もCDではこれでしか聞けません。

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V.A. - Eleven Phases - Detroit Compilation (SUBLIME RECORDS:SBLCD5023UK)

★★★★☆

▼デトロイト・テクノのアーティストに、ブレイクビーツをテーマとした曲を提供してもらうという野心的な内容のコンピレーション。日本国内のレーベルとしては、唯一デトロイトに関心を持っている(?)サブライム・レコーズからリリースされた異色の名盤。全曲ローテンポなアブストラクト・ヒップホップとエレクトロなので4つ打ちしか聞かないひとはご注意を。アメコミちっくなジャケットや架空の映画をテーマにした内容が凝っていてクールな印象。CDの盤面デザインも渋くて良いです。
▼参加アーティストがとにかく豪華。ケリー・ハンド、ケニー・ラーキン、エディー・フォークス、ロバート・フッド、クロード・ヤング、トーマス・バーネット、ダニエル・ベル、ステイシー・パレン、アンソニー・シェイカー、シーン・ディーソン…。よくもこれだけ集めたと感心してしまう実力派&個性派ぞろいです(でも、「実力のパ・リーグ」な印象…。渋くてツウ好みなメンツですね)
▼ケリー・ハンド「ROOTS」は、女性をテーマとした詩(?)を自らトラックに合わせて朗読。ラーク・ダディ「FLIP FLOP」は、ケニー・ラーキンの変名でおそらく父親に捧げた曲なのでしょう。ドープなブレイクビーツとストレンジなギター、穏やかなパッドが美しい素晴らしい作品。ノウレッジ&シュープリーム「GUSTO」ではエディー・フォークスが自慢のノドを披露。チャックD(PEのラッパー)ばりの抜けの良い声です。ウィル・ウェブ「COSMIC KUNG-FU FUNK」は、黒人独特のアジア観を素直に表現していて面白い。タイトルどおり、カンフー映画(バーチャファイター?)のサンプルを使いまくったファンキー・エレクトロ。えせ中華風のメロディも楽しいです。
▼元URのベテラン、ロバート・フッドは、フッド・サイエンティフィック名義で参加。「NIGHTTIME WORLD」に近いジャジーでハードボイルドな曲です。ダ・ヤング・クルー(クロード・ヤング)「BAD LUCK KID」もロブ・フッドと同路線。よりディープかつスローなのが彼らしいかも。トーマス・バーネットは、参加メンバーのなかでいちばん知名度が低いアーティストですが、自称「NUDE PHOTO」の真の作者としてデリック・メイと犬猿の仲で有名(?) ピアノをフィーチャーしたエレクトロ「RAVISH」は、確かにトランスマットっぽいかも。ダニエル・ベル「IN THE PARK」は、彼らしい徹底したミニマル・ブレイクビーツ。素材が変わってもアーティストの持ち味は変化しないという好例です。
▼ステイシー・パレンのグラフィティ名義「GRAFFITI'S THEME」は、イントロのサンプル・フレーズがジャジーでかっこいい。タイトなリズムもクール。自分は収録曲の中でこれがいちばんお気に入りです。シェイク(アンソニー・シェイカー)は、数多くの名作でエンジニアを担当しているデトロイト・テクノ界の実力者。「CAN'T TURN BACK」は、エレクトロ・ビートに哀愁のメロディとスクラッチ・ノイズをのせた曲で、収録曲中もっともデトロイトっぽいです。ラストのシーン・ディーソン「HIP HOP JAZZ」は、ストレートなタイトルに相応しいジャジーなアブストラクト・ヒップホップ。デトロイトらしい哀愁を帯びたメロディが美しい…。映画のラスト・クレジットが目に浮かぶ気がします。

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V.A. - Equinox / The Beginning / Nite & Da (Buzz:BZZCD 106102)

★★★★★

▼最近、アナログが再発されて話題になった幻のデトロイト・テクノ・コンピレーション。カール・クレイグがプラネットEの前に、デイモン・ブッカーと運営していたレトロアクティブ・レーベルの貴重な音源を集めたベスト盤的な内容で、当時、デトロイト・テクノのコンピレーションを連発してマニアの支持を集めていたバズからリリースされました。内容は、これぞデトロイト・テクノといった王道路線の作品が中心で、初期のダン・カーティンを連想させるブレイクビーツ使いが印象的なアーバン・トライブ「Covert Action 」、ロマンチックな名作「Wrap Me In His Arms」「No More Words」、カール・クレイグの(当時の)彼女、サラ・グレゴリーがヴォーカルを担当した「As Time Goes By」、オクターヴ・ワンのバーデン兄弟が変名で参加したネバー・オン・サンデイ「The Journey」、ジョン・ベルトランとマーク・ウィルソンの変名、オープン・ハウス&プラシド・アングルス「Aquatic」など、駄曲無しの繊細で知的な作品に仕上がっています。

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V.A. - Intergalactic Beats (PLANET E:PE VARI 010 CD)

★★★★☆

▼プラネットEの名盤コンピが奇跡の再発。メシ抜いてでも買うべし。内容は、レーベル・オーナーのカール・クレイグとバリル(ブラック・ドッグ)、フューチャー・パスト(カーク・ディジョージョ)、イーヴォ・ルート(ステファン・ロバーツ)といったデトロイト・テクノ・フォロワーと呼ばれるアーティストのコラボレーション(あ、ケニー・ラーキンもいました) アブドゥール・ハックによる50年代B級SFっぽい(ある意味チープな)ジャケットもいい味だしてますね。
▼やはり本物とコピーの実力差なのか、通して聴くと印象に残るのはやはりカール・クレイグの作品だったりします。ファンキーでサイケな音色が強烈なシックスナイン名義「LADIES AND GENTLEMEN」「MY MACHINES」 ショップ名義「NITWIT」もサイケなベースにカール・クレイグらしいブレイクビーツっぽいビートが交わった個性的な曲です。
▼力不足のフォロワー勢の中で、バリル(ブラック・ドッグ)の「NORT ROUTE」だけは重厚なブレイクビーツ・テクノで気を吐いてます。エフェクトをかけまくったキック。陰鬱なパッド。オリエンタルっぽくも感じられるメロディ。その後のやたら手数が多い作風に比べると相当シンプルですがそれがまた良かったり。単なる模倣じゃなく自分らしさを発揮しているのがいいですね。ちなみに「あの」野田努氏お気に入りの曲(だった?)なんだそうです。

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V.A. - Interstellar Fugitives (UNDERGROUND RESISTANCE:UR045CD)

★★★★★

▼デトロイトの異能集団URが久しぶりにリリースしたコンピレーションは、衝撃のダーク・ハード・エレクトロ! 「恒星間の逃亡者」をテーマとしたSF的なコンセプチュアルな内容で、アメコミテイストのジャケットもとにかくかっこいい。参加メンバーは、マッド・マイクを筆頭に、サバーバン・ナイト、アズテック・ミスティック(DJロランド)、アンドレ・ホーランド、カオス(エージェント・カオス、アンドレ・ホーランド、マーク・フロイド)、ドレクシヤといった個性的な面々。どの曲もダークな世界観で貫かれています。中でもドレクシヤの「Interstellar Crime Report」と「Aquatacizem」は圧倒的な存在感を発揮しています。

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V.A. - Jeff Mills : Choice A Collection Of Classics (Azuli:AZCD29)

★★★★★

▼有名DJ・アーティストが自らのルーツを明かす人気シリーズの最新作にジェフ・ミルズが登場! 2枚組ですが、DJミックスされていないコンピレーションなのでじっくり聴きこめます。1枚目は70〜80年代のディスコ・クラシック。やはりジェフ・ミルズもデトロイト出身のアーティストだということを再認識させられるダンス・アンセムが勢ぞろい。2枚目は、エレクトロ〜デトロイトと幅広い選曲。テレックス「Moskow Diskow」から正統派デトロイトのサイレント・フェイズ(ステイシー・パレン)「Meditative Fusion」、果てはデトロイト・フォロワーのインシンク VS ミステロン「Audiable Illusion」、フローレンス(ステファン・ロバーツ)「Analogue Expressions」、バンドゥール「Serial Operations」まで登場。ジェフ・ミルズ自身の解説が掲載されたライナーノーツも読み応えがあります。

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V.A. - Kanzleramt 4 (Kanzleramt:KA97CD)

★★★★☆

▼(デトロイト+トランス)÷ミニマルな作風で活発な活動を続けているベルリンのカンツェラムト。レーベル・オーナーのヘイコ・ラウを筆頭にアレクサンダー・コワルスキ、ディエゴ、ヨハネス・ヘイルといった素晴らしいドイツ人アーティストを要してドイツ・テクノ・シーンを代表するレーベルになっています。この作品は恒例となっているレーベル・コンピレーションの第4弾。今回は、デイモン・ワイルド、ファブリス・リグといった人気アーティストの曲も収録して、少しずつ新しい方向性を模索しているレーベルの状況を反映しているようです。やはり中心アーティストのアレクサンダー・コワルスキとディエゴの作品は一際クオリティが高く、デトロイト・テクノの影響を受けながらも広がりのある音響処理がトランシーでミニマルなダンストラックを展開。このレーベルの良いところは徹底してダンス・フロア・フレンドリーなところだと思います。それと大トリのエモーショナルかつドラマチックな「Universal Tech」が素晴らしい。ソウル・デザイナー名義でヒットを飛ばしたファブリス・リグのマッド・マイク病っぷり全開です。

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V.A. - LBH - 6251876 : A Red Planet Compilation (RED PLANET:RP10)

★★★★★

▼URのサブ・レーベル「レッド・プラネット」の名曲を収録した待望のレーベル・コンピレーション。レーベルオーナーのマッド・マイクを中心にサバーバン・ナイト(「Windwalker」)、エディー・フォークス(「Sex In Zero Gravity」)、オクターヴ・ワン(「Skypainter」)などデトロイトの実力派アーティストが参加。“火星”をテーマとしたコンセプチュアルな内容は、メロディアスながらもハードなダンストラックとして見事に成立しています。古今東西のDJがかけまくっている「Stardancer」、哀愁のメロディが印象的な「Windwalker」、ストリングスが情熱的な「Firekeeper」など、ブラック・ミュージックの伝統を受け継ぎながらエモーショナルかつテンションの高いダンス・トラックは数あるデトロイト・テクノの中でも一際輝いています。ラストに収録された「Soulshine」(未発表曲)がゴスペル調でとにかく素晴らしいです!

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V.A. - Mahogani Music Compilation (Mahogani Music:M-17 CD) New!!

★★★★☆

▼ムーディマンことケニー・ディクソン・ジュニア主催のレーベル「マホガニ・ミュージック」待望のレーベルコンピレーション。CD2枚組。ムーディマン自身の作品に見られるダークでバッドな感覚よりも、伝統的なファンク・ソウルやNY系の古典的なハウスの心地よさを追求したスウィートな作風がこのレーベルの特徴になっている。
▼ディスク1(曲間がつながっている)は、ドウェイン・モーガン、ピラーナヘッド、チャールズ・ウェブスター、ピッチ・ブラック・シティ、アンドレス、ディベンティ、ポール・ランドルフ、アーロン・カールなど、同レーベルまたはムーディマンと親交のあるアーティストの代表曲を収録。ディスク2は、売り出し中の女性アーティスト「ニッキーO」のアルバムという不思議な構成。
▼ファンク、ソウル、R&B、ハウス、ヒップホップの要素を全て含んだジャンルレスなサウンドは、ストレートなディープ・ハウスを期待すると面食らうかもしれない。しかしここには間違いなくブラック・ミュージックの最新形がある。アンドレスは、DJデズ名義でデトロイトの最重要ヒップ・ホップ・グループ、スラム・ヴィレッジに参加。ピラーナヘッドは、ジョージ・クリントン率いるザ・Pファンク・オールスターズに参加した経験を持ち、ポール・ランドルフは、カール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラやアンプ・フィドラーのツアーメンバーとして同行するなど、次世代のデトロイト・サウンドを担う実力派が揃っている。
▼付録?のニッキーOのアルバムもなかなか良い。マホガニ・ミュージックからリリースされた「Nikki-O EP」をフルで収録した内容だが、ケニー・ディクソン・ジュニアがプロデュースしているので当然ながら完全なるムーディマンサウンド。ニッキーO自身の女性らしさもうまく表現している。

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V.A. - Movement Detroit's Electronic Music Festival 04 (Transmat:MOVE001-003)

★★★☆☆

▼デトロイトで開催されるデリック・メイ主催のフリーミュージックフェスティバル“MOVEMENT 04”の公式コンピレーションが登場。デトロイト・テクノ、ハウスの重要アーティストが勢ぞろい。全3枚組で、24曲中11曲が未発表(ニューバージョン)または新曲という物凄さ!
▼ジョン・ベルトラン、ステイシー・パレン、アイロ、アンドレス、デトロイト・エクスペリメント…といったハウス系が中心のディスク1と、ゲイリー・マーティン、ジェフ・ミルズ、アクフェン、ケニー・ラーキン、ロス・エルマノス、アリル・ブリカといったテクノ系が中心のディスク2、そして、デリック・メイのボーナス・エディットが収録されたディスク3の超豪華版。注目は、URがらみのロス・エルマノス(DJロランド、ジェラルド・ミッチェル、DJデックスのユニット)「Quetzal(Altos Cielos Mix)」ですが、ビートレスで2分ほどの短いバージョンだったので少し拍子抜け。個人的に印象に残ったのは、アリル・ブリカ「DissOrganised」で相変わらずの正統派デトロイト・テクノ。素晴らしいです。
▼誰もが気になるデリック・メイのボーナス・エディットは、収録曲を順番につないだだけ(!)の手抜き?な内容…。Mix-Upの再来ではないかと期待していただけに非常に残念です…。それにしても、これだけのメンツがタダで見られるなんて“MOVEMENT”凄すぎですね。

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V.A. - NEO FUSION best of TRANSFUSION RECORDS (Ki/oon Records)

★★★☆☆

▼名前の通り、フュージョン+ハウスな音をリリースする英国のトランス・フュージョン・レコーズ。レーベルを代表するアーティストのフレイルを筆頭に全10曲を収録。「Hi Tech Jazz」や「Jupiter Jazz」等のフュージョンテイストの曲が好きなひとにお薦めです。本家デトロイトよりビートは軽めですが、エレピソロなどそれっぽい音づかいが心地よいです。

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V.A. - Panic In Detroit (Buzz:BZZCD 106107)

★★★☆☆

▼1992〜94年ごろのデトロイト・テクノ・リバイバル当時に異例の高評価を得たデトロイト・テクノ・コンピレーション。「Virtual Sex」や「The Beginning / Nite & Da」等で有名なベルギーのバズ・レーベルからリリースされました。美しいジャケットがいかにもデトロイトっぽいです。
▼参加メンバーは、オープン・ハウス&プラシド・アングルス(ジョン・ベルトランとマーク・ウィルソン)、プロトタイプ(ダン・カーティン)、イェネック(ケニー・ラーキン)、モデル500(ホアン・アトキンス)、エディー“フラッシン”フォークス、ラッキー・チャーム(ダン・カーティン)、イネーティア(ア・ガイ・コールド・ジェラルド)と豪華ですが、評判とは裏腹に内容は意外と地味で「Virtural Sex」のようなエモーショナルなトラックを期待すると裏切られます。個人的には、ジョン・ベルトランの「Rainforest」とイェネック「Serena X」(当時付き合っていた彼女をテーマにしたそうです)が気に入っていますが、全体の完成度は「未発表のデモテープを集めてみました」といった感があり、数万円のプレミアを払ってまで買うほどのCDでは無い気がしています。

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V.A. - Relics A Transmat Compilation (Buzz:BZZCD 106106)

★★★★★

▼デトロイト・テクノ・リバイバル当時(92〜94)にベルギーのバズから発表されたトランスマットのコンピレーション。触発されたヨーロッパのレーベルから様々なデトロイトものコンピが発表されましたが、やはり本家本元が実力の差を見せつけたといった感じです。デリック・メイ、カール・クレイグ、モデル500(ホアン・アトキンス)、サバーバン・ナイトの楽曲を収録。サラ・グレゴリー(カール・クレイグの元彼女)による美しいジャケットアート。ライナーノーツの紙質にまでこだわった素晴らしい内容。デトロイト・テクノ・ファンは必携の大傑作です!
▼アナログが最近再発されましたがCDの方が収録曲が多いためCDで聴くことをオススメします。特にデリック&カールによるインターバル(間奏)は出色の完成度。それぞれ収録時間は短いですが、儚くせつないメロディは完成した1曲として聴いてみたくなります。またビートレスでアンビエント色が強調された「Strings of life(unreleased mix)」や「Wiggan remix」(リミキサーはステイシー・パレン)、「Drama」、サバーバン・ナイト「The groove」などアナログには未収録の曲が4曲も!
▼一部では高額なプレミア価格で販売されているようですが、中古CD店を丹念に探すと驚くほど安価で売られていたりするので要注意。○万円のプレミアを払う前に足を使ってみましょう。中古レコード店ではなく一般的な古書チェーン等を探すのがポイントです。

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V.A. - Remix Trax Vol.7 - Cosmic Soul (MELDAC:MECP-30021)

★★★★★

▼クラブ・ミュージック雑誌「Remix」が監修する「Remix Trax」シリーズの第7弾。デトロイト・テクノやフォロワーの作品を「コズミック・ソウル」と称して野田努氏と小泉雅史氏がコンパイル。UR「Hi-Tech Jazz」がCDで聞けるのは今のところこのCDだけだと思います。収録曲は超豪華! 前述の「Hi-Tech Jazz」を筆頭に、独自の個性を発揮していたケン・イシイの書き下ろし曲「Morceau」、カール・クレイグがプロデュースしたナオミ・ダニエル「Stars (Formula)」、ストレートなデトロイト・テクノをやっていたころのアズ・ワン「Amalia」、せつない旋律が印象的なリロード「Peschi」、ロバート・A・ハインライン「夏への扉」をモチーフにしたC.T.スキャン(元電気グルーヴのメンバーCMJKの変名)「Cold Sleep (The Door Into Summer)」、アシッド・ジャンキーズ(ステファン・ロバーツのアシッド・テクノ・ユニット)の「Acid Love Making」、デリック・メイの作品でも1、2を争う名曲のリズム・イズ・リズム「Icon」、未だにフロアでかかりまくる“火星人”リリースの、レッド・プラネット「Star Dancer」、そしてかの名曲「E2-E4」をリメイクしたペーパークリップ・ピープル(カール・クレイグ)「Remake (Duo)」などデトロイト・テクノ・ファンは悶絶物です(ただしアナログからのダビング) 素晴らしいデザインと凝った装丁、気合の入ったライナーノーツ(やや暴走気味ですが…)とCD派なら「買わずに死ねるか」といった内容なのですが残念ながら現在絶版…。

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V.A. - Remix Trax Vol.9 - Cosmic Soul 2 (MELDAC:MECP-30026)

★★★★☆

▼大好評だった「Cosmic Soul」の第2弾。前作同様の凝った装丁とデザイン、野田努氏と小泉雅史氏による素晴らしい選曲は健在です。冒頭はスペーシーかつジャジーなURの超名曲「Jupiter Jazz」、独自の才能を爆発させていたダン・カーティンの隠れた名曲「Subconscious Awareness」、カール・クレイグのシックスナイン(彼の生まれた年)名義「Ladies & Gentlemen」、オランダのオーランド・ヴォールンと御大ホアン・アトキンスの共作「Game On」(本当は“One”ですが、本文にこう表記されているのです)、モーリッツ・フォン・オズワルドの名曲をカール・クレイグがリミックスした「Domina (C.Craig Mind Mix)」、同じくロン・トレントが若干16歳(!)で作曲した名作をカール・クレイグがリミックス「Altered States (East Side Mix)」、そしてデトロイト・テクノの代表曲といえば「これ」なリズム・イズ・リズム「Strings Of Life (Original Version)」と圧倒的な内容。日本からも、ケン・イシイ、田中フミヤ、マッシュルーム・ナウ!(サワサキ・ヨシヒロ)が参加(あまり印象に残りませんが…) 収録曲中、田中フミヤ「Billy」だけが群を抜いて低レベルなのは…。大人のしがらみって嫌ですね〜。

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V.A. - Round One To Round Five; 1993 - 1999 Main Street Records (MAIN STREET RECORDS:MSD-01)

★★★★☆

▼メインストリート・レコーズはベーシック・チャンネルのサブレーベル。“ベーチャン流ハウス”がテーマのようです。このCDには95〜99年にリリースされた5枚の12"が収録されています。
▼目玉は「I'M YOUR BROTHER(QUADLANT DUB II)」 94年にベーシック・チャンネルからリリースされた「QUADLANT DUB」のBサイドを素晴らしくクリアな音質で収録。濃密なフィルター処理とザラついた音質。微妙に変化するキラキラしたウワモノ。深い霧の中にうっすらと光が差込んでいるようなイメージが浮かびます。ぜひ大きな音で聴いてみてください。飛ばされます!
▼「I'M YOUR BROHTER (CHICAGO'S TWISTED MIX)」は、シカゴ・ハウスのシェ・ダミエとロン・トレントを起用した直球ど真ん中ハウスです。アンディ・ケインのソウルフルなヴォーカルが印象的。モーリッツのブラック・ミュージック好きがうかがえますね。
▼後半は、ドミニカ人でベルリン在住のレゲエシンガー、ティキマンをフィーチャーした楽曲を収録。ディープなダブ、ラガ・ハウスです。ビートはレゲエなのですが音質はベーチャン。貫いてます。

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V.A. - Soma 10 Anthology(Ltd) (SOMA:SOMA CD 27)

★★★★☆

▼英国・グラスゴーを拠点に活動するソーマ・レコードの10周年記念コンピレーション。スラム、ファンク・ド・ヴォイド、マース、パーシーX、シリコン・ソウル、エンヴォイといったレーベルの代表アーティストから、ダフトパンク、スコット・グルーヴスといった有名アーティストまでを収録。ピースフロッグ、トレゾーと並んでテクノシーンを代表するレーベルなだけに「Diabla」「Positive Education」「Juan Is The Teacher」「Mothership Reconnection」とクラブでヒットした曲が満載です。ちなみに限定盤と通常盤がありますが、ほとんど値段が変わらないので限定盤(3枚組!)の購入をお薦めします。

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V.A. - Soul From The City (Submerge:SCD-4)

★★★★☆

▼サブマージからリリースされたマッド・マイク絡みのデトロイト・ハウス・コンピレーション。“The Definitive Detroit House Collection”というキャッチコピーどおり、UR、シンプリー・ソウル、430ウエスト、ショックウェイブ・レコーズ、ソウルシティ、ハッピー・ソウル等のディープな名作が満載です。憂鬱な登校・出勤前の朝にオススメ(ちなみに、ほぼ全曲ヴォーカル入りのガラージ・ハウスなのでご注意を) 
▼(デモ・テープみたいなランダム・ノイズ・ジェネレーションの曲以外は)どの曲も素晴らしいです。ドニー・マーク「Stand Up For The Soul」は、ゴスペル調のポジティブでソウルフルな傑作。メンバーズ・オブ・ザ・ハウス「Reach Out For The Love」は、一時期、ジェフ・ミルズも在籍していたという4人組ハウス・ユニット。“UR 018RE”という型番でURからリリースされた作品です。ダヴィーナ「Don't You Want It」は、DJロランドやロラン・ガルニエのMIX-CDでも使われた傑作。「〜2〜」シリーズ直系のサウンドに流麗なピアノとコブシの入ったダヴィーナのヴォーカルがのるデトロイト・ハウスの代表曲。ヨランダ・レイノルズ「Livin For The Nite」は、アンダーグラウンド・レジスタンス・フィーチャリング・ヨランダ名義で“UR 007”としてリリースられた作品。ジェフ・ミルズも参加してます。ユニット2「Keep Your Head Up」は、ニコ・マークス、R・メリウェザーズ・ジュニア、そしてマッド・マイク自身もメンバーの伝説的ユニット。収録曲中、最もお気に入りはロビン・リン「Love So Good」でとにかくポジティブ。ハイテック・ジャズと同じ高揚感を感じさせます。収録曲全体に言えることですが、マッド・マイクがURで見せるダーク&ハードな世界観とは異なり、地元や仲間を愛しリラックスした雰囲気が微笑ましい。さり気なくモータウンへのリスペクトも表明しています(ジャケット参照)

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V.A. - Sound of Life #18 feat. Mike Clark (Sound of Life:SOL-018)

★★★★☆

▼人気ミックスCDシリーズ「サウンド・オブ・ライフ」に、エージェントXことマイク・クラークが登場。1枚目はイタロ・ディスコ(!)、2枚目はレア・グルーヴといったディープな2枚組。1枚目は、正直言ってリエゾン・ダンジュルーズ以外は知らない曲ばかりですが、スッカスカなビートがいかにも80年代初期な雰囲気。ビートダウン関係のアーティストは何気に長い活動経歴があるひとばかりなので、こういった初期ハウスを聴きまくっていたんでしょうね。2枚目は、パーラメントやスティーヴィー・ワンダー、ナタリー・コールにハービー・ハンコックと渋い内容でまとめた、まさにレア・グルーヴな展開。とにかく「濃い」1枚です。

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V.A. - Techno Bass: The Mission (Direct Beat:DBCD-4035)

★★★☆☆

▼ダイレクト・ビートは、430ウェストのサブ・レーベルで“テクノ・ベース”と称する高速デトロイト・エレクトロをリリースするレーベル…だったんですが、公式サイトが消滅しリリースも止まっているところを見ると既に活動休止?なのかもしれません(残念…) このコンピレーションは同レーベルに所属していた個性的なアーティストの楽曲を収録したレーベル・サンプラーです。
▼ラフでチープな作りが目立つエレクトロですが、このレーベルは元が元なだけにシリアスなデトロイト・テクノ・ファンでも満足できる筈です。参考までに参加メンバーを挙げると、AUX88は、“TomTom”ことトミー・ハミルトンとオプティック・ナーヴ名義でも有名なキース・タッカーのユニット。エレクトリック・ソウルは、なんと!URの首領マッド・マイクの変名です。これだけでも聞いてみたくなりませんか? クロニック・トロニックは、URから「Vintage Future」をリリースしたマーク・テイラーの変名。DJ K-1は前述のキース・タッカーの変名。ジェフ・ミルズ並みの凄腕DJディジタル。「Detroit : Beyond The Third Wave」や「Eleven Phases」にも参加したウィル・ウェブ…等など実力派が勢ぞろいです。
▼ちなみにX-イルという黒人女性二人組みのユニットも参加していますが、彼女達はAUX88のバックダンサーなんだそうです。当時のヒット番組「X-ファイル」をネタにしたユニット名と、白いヅラを被ったルックスが気持ち悪くも個性的!(こちらをご覧ください)

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V.A. - The Deepest Shade Of Techno 1+2 (SSR:SSR 174 CD)

★★★★★

▼デトロイト・テクノ・ファンなら必ず持っていたい名作コンピレーション。個人的には「Remix Trax Vol.7 - Cosmic Soul」、「Virtual Sex」と並ぶ名盤だと思います。このSSR盤は、リフレクティブから「The Deepest Shade Of Techno Volume 1」、「The Deepest Shade Of Techno Volume 2」としてリリースされた2枚をセットにしたお買い得盤。4ヒーローのディーゴとマークがコンパイルを担当しているので内容は折り紙つき!
▼UR「Jupiter Jazz」、ジョン・ベルトラン「Earth & Nightfall」、プロジェクト625(クロード・ヤング)「Come Closer」、ダン・カーティン「3rd From The Sun」、ヌー・エラ「Cost Of Living 」、ウィンク「Feel The Warmth 」などスペーシーでダンサンブルな1枚目。ティトントン「Chronologic」、モーガン・ゲイスト「Funk Therapy (Mix 2)」、ア・ガイ・コールド・ジェラルド「Anxiety」、UR「The Theory (Melanic Mix)」、ネバー・オン・サンデー(オクターブ・ワン)「Journey」などストレンジでリスニング寄りな2枚目という構成も見事。
▼なかでもクロード・ヤングの変名プロジェクト625「Come Closer」が素晴らしい! クロード・ヤングとウォルター・ジョーンズのDOWレコーズからリリースされた「Solar Flair EP」に収録された名曲です。「Oh…Come Closer…」と繰り返すフィーメイルボイスと穏やかなストリングス、滑らかなピアノと力強いビートがとにかく印象に残ります。

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V.A. - Time : Space (Transmat:TMT CD 5)

★★★★☆

▼今思えばトランスマット復活の序章だった傑作コンピレーション。このCDが発表された当時はデトロイト・テクノが沈滞しており、当のトランスマットもしばらくリリースが止まっていた時期だっただけに、濃紺のクールなジャケットに浮かぶロゴマークを見たとき何ともいえない感慨を覚えた思い出があります。
▼もちろん内容は太鼓判を捺せます。デリック自身の曲は元より、アリル・ブリカ、クワイエット・デイズ(イアン・プーリー)、トニー・ドレイク、マイクロワールド、デトロイト・エスカレーター・カンパニーなど、実力のあるベテランから注目の若手までバランスよく収録。既発曲と未発表曲を引っ張り出してきたデリックはともかく、素晴らしいのはやはりアリル・ブリカ「Groove La Chord」とマイクロ・ワールド「Signals」でしょう。両曲とも伝統的なデトロイト・テイストを持ちながら、新しい感覚も持ち合わせた素晴らしい作品でヨーロッパでも大ヒットしました。昨今活発な活動を見せている新生トランスマットの原点ですので一度は聞いてみることをお勧めします。

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V.A. - Time : Space 2 (Transmat:TMTJ-002)

★★★★☆

▼デリック・メイ主催のトランスマット・レーベルより待望のコンピレーション第2弾が登場! アリル・ブリカ、インディオ(ジョン・ベルトラン)、ステファン・ブラウン、ジョン・アーノルド、トニー・ドレイク、マイクロワールド以外は、ほぼ無名のアーティストを起用(デリック本人は参加せず) 世界中からデリック宛に送られてくるデモ・テープから採用したとのことでジャケット・内容ともに気合の入った2枚組です。
▼スコットランド出身のステファン・ブラウン「I am Someone」がとにかくかっこいい。エネルギッシュなゴスペルのサンプリングを正統派デトロイト・テクノに乗せたテンションの高いダンス・トラックです。この他のトラックもテクノ・ハウスの域にとどまらずジャズ、2ステップ、ラウンジ(?)などデトロイト・テクノの枠を超えたバラエティ豊かな内容になっています。
▼今後は2年に1枚のペースでコンピレーションを発表するそうなので、次回作は2004年に登場?でしょうか(まぁ、気まぐれなデリックの言うことなので…)とりあえず気長に待ちましょう。

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V.A. - Tresor 3 (NOVAMUTE:NoMu 043 CD)

★★★★☆

▼トレゾーのコンピ第3弾。参加メンバーは、モーリッツ、ジェフ・ミルズ、ジョーイ・ベルトラム、ロバート・フッド、ダニエル・ベル、DJヘル、3フェイズ、ブレイク・バクスター、サン・エレクトリック、トム・ミドルトンと超豪華。 白眉はモーリッツ「Domina」 カール・クレイグのリミックスが有名ですが、こちらもディープなベーチャン節が炸裂していて素晴らしいです。ロバート・フッド「The Rhythm Of Vision」は、YMOの「テクノポリス」をサンプリングしたネタモノミニマル(?) これもなかなか面白いです。

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V.A. - True People : The Detroit Techno Album (REACT:REACT CD 071)

★★★★☆

▼デトロイト・テクノ・リヴァイヴァルも終わりを告げようとしていたころにリリースされた豪華なデトロイト・テクノ・コンピレーション。エディー・フォークス監修。ジャケットはデザイナーズ・リパブリック。参加アーティストは、ドレクシヤ、アンソニー・シェイカー、ホアン・アトキンス、デリック・メイ、エディー・フォークス、ステイシー・パレン、クロード・ヤング、ケニー・ラーキン、ブレイク・バクスター、トーマス・バーネット、ケビン・サンダーソン、アラン・オールダム、サバーバン・ナイト他。まさにデトロイト・テクノ・オールスターズといった感じですが、なぜかUR関連は収録されていません(なぜ?) ケック&Bボンズという謎のアーティストの「Zephyr」がなかなかよいです。

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V.A. - True Spirit (Tresor:Tresor 185 CD)

★★★★☆

▼1988年のスタートからヨーロッパ・テクノ・シーンの中心的存在として、コンスタントにリリースを続けているトレゾーの15周年記念コンピ。凝った装丁に48ページのブックレット。しかもディスク3枚組!
▼初期のデトロイト・テクノからハード・ミニマル、ハウスといったレーベルの方向性の変化を、代表的なトラックを時系列的に収録。懐かしい名曲が満載。
▼デトロイト・ファンとしては、「INGATOR II / SKYSCRATCH(MANO MANO)(UR MIX)」や「BLAKE BAXTER / ONE MORE TIME(RED PLANET MIX)」(モーリッツとトーマス・フェルマン参加)、「3MB FEAT. JUAN ATKINS / DIE KOSMISCHEN KURIERE」あたりが聴きどころか。もちろんこれ以外にもデトロイト関連の曲が多数収録されています。
▼ブックレットも素晴らしい。アーティスト写真も多く収録されていて(英語さえ解読できれば)かなり興味深く読める(はず)でしょう。

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V.A. - Underground Classics Vol.1: New York Soulful Vocals & Detroit Deep House Classics (Funky Chocolate Records:6119922)

★★★★★

▼フランスのディープ・ハウス・レーベル「ファンキー・チョコレート」からリリースされた素晴らしいコンピレーション。ハウス版「コズミック・ソウル」とでも呼びたくなるデトロイト・ニューヨーク産の名曲がそろった豪華な内容。リック・ウェイド、ノーマ・ジーン・ベル、ムーディマン、ケリー・チャンドラー、ニック・ホルダー、マスターズ・アット・ワーク、キング・ブリットなど、参加アーティストも折り紙つきの実力者ばかりです。

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V.A. - Virtual Sex (Buzz:BZZCD 2100008)

★★★★★

▼デトロイト・テクノ・リバイバル当時(92〜94年ごろ)にベルギーのバズ・レーベルからリリースされたデトロイトものコンピレーションの決定版。同時期に「Panic In Detroit」、「Relics A Transmat Compilation」、「The Beginning / Nite & Da」といった素晴らしいデトロイトものコンピがリリースされていましたが、中でもこの「Virtual Sex」は参加メンバーの豪華さで一際話題になっていたのをよく覚えています。バンゴ(ステイシー・パレン)、ニューロポリティーク、ステファン・ロバーツ、アズ・ワン(カーク・ディジョージョ)、リズム・イズ・リズム(デリック・メイ)、レッドセル(B12)、カール・クレイグ、ラーク(ケニー・ラーキン)といった錚々たるアーティスト陣の書き下ろし曲。特にデリック・メイ幻のファーストアルバムに収録予定だった「Icon (Montage Mix)」が収録されていたことが評価を決定的にしました。
▼個人的にはカール・クレイグ「At Les」が印象的。友人レス氏の自宅から見える風景をイメージして作られたこの曲は、せつなく幻想的でイマジネーションをかきたてられる名作です。ニューロポリティークことマット・コガーの「Bananagate」もオリジナリティ溢れる作品。徹底して16ビートに収められた構成は独自の才能を感じます。忘れてはいけないのがオマケの3Dメガネ!(全く立体には見えませんが…) 中古で購入する際は必ず確認することを忘れずに。

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V.A. - 攻殻機動隊 - Ghost In The Shell - PlayStation Soundtrack Limited Edition (SMEJ:SRCS 8382-3)

★★★☆☆

▼1997年に発売されたゲーム「攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL」のサントラとして企画された異例の超豪華盤。石野卓球、マイク・ヴァン・ダイク、ウェストバムなど「それっぽい」メンツですが(卓球がプロデューサだから当然か)、実はデリック・メイ、クロード・ヤング、デイヴ・エンジェルも参加しておりデトロイト濃度も濃いって知ってましたか?
▼いちばん気に入っているのはクロード・ヤングのブラザー・フロム・アナザープラネット名義「SECTION 9 THEME」 ストリングスが美しい正統派デトロイト・トラックです。タイトルがストレートすぎておもしろい(“9課”は攻殻機動隊の主人公が所属する部署) 「ISHIKAWA SURFS THE SYSTEM」もクロヤンらしいトラック(“石川”は主人公の同僚の名前) ちなみに「SECTION 9 THEME」は限定版でしか聴けませんのでご注意を。
▼デイヴ・エンジェルも本領発揮。「CAN U DIG IT」「SO HIGH」の二曲ともボイスサンプルが印象的なデトロイト・テクノ・テイストのダンストラック。このCDでしか聴けない隠れた名曲です。このサントラ以降のデイヴ・エンジェルは高速テック・ディスコ路線に突っ走ってしまい、二度とこういった曲は作らなくなりましたが…。
▼デリック・メイはお得意の?未発表曲を提供。良い意味でも悪い意味でも昔と変わってないデリックらしいアナログな曲です(未発表だから当たり前か) ちなみに「TO BE OR NOT TO BE」はゲームのラストクレジットでもかかります(クリアするのに物凄く苦労した覚えが…。面白いんだけどムチャクチャ難易度高いんですよ。このゲーム)
▼「TO BE OR NOT TO BE(OFF THE CUFF MIX)」はホアン・アトキンスがリミキサーだったんですね。知らなかった…。

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 X 

X-101 - X-101 (Tresor:Tresor 001 CD)

★★★★☆

▼ベルリンの老舗レーベル「トレゾー」の記念すべき1枚目。X-101は、マッド・マイク、ジェフ・ミルズ、ロバート・フッドによる現在では考えられない豪華なプロジェクト。政治的でメッセージ性の強いコンセプチュアルな内容は、ヨーロッパでハードコア・テクノ・ブームを巻き起こし、後のガバ(ハードコア)シーンやアレック・エンパイアのDHR等に強い影響を与えました。日本では、当時バブルでジュリアナ・ブームの真っ只中だったため、チープなハードコア・テクノと一緒くたにされてしまいましたが、内容は全く似て非なるものです。UR唯一のアルバム「Revolution For Change」にも収録された名曲「Sonic Destroyer」をはじめ「The Final Hour」「Mindpower」など、聞いた者に畏怖の念すら与えそうな徹底したミニマル・ハードコア。攻撃的で異様なエネルギーに満ち溢れています。特に「G-force」は、まるで重力が変化するように展開が上下するドラマチックな曲で印象に残ります。それにしても、初期のトレゾーは、ブレイク・バクスター、エディー・フォークス、ジェフ・ミルズ、ロバート・フッド、ホアン・アトキンスと、デトロイト・テクノのリリースを連発しており、ベルリンとデトロイトの密接な関係を物語っていますね(当時、デリック・メイが「デトロイトはベルリンの衛星都市だ」とコメントしたとかしないとか)

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X-102 - Discovers The Rings Of Saturn (Tresor:Tresor 004 CD)

★★★★★

▼UR(マッド・マイク、ジェフ・ミルズ)とビジョン(ロバート・フッド)の伝説的なプロジェクト「X-102」唯一のアルバム。おそらくジェフ・ミルズ主導で制作されたであろうコンセプチュアルな内容は、その後、「Metropolis」「Time Machine」「Three Ages」に受け継がれています。「土星の環の発見」というタイトルは、パイオニア11号やボイジャー1号からインスパイアされたのでしょうか? 当時は、なぜか「デス・テクノ」として他のポップなサウンドと一緒に紹介されていましたが、内容は全く正反対にシリアスでメッセージ性の強いもの。「Intro」から始まって、衛星や幾つもの環を抜けて、最後は着陸…というストーリー仕立ての構成になっており、音は徹底的にミニマルかつハード。宇宙空間の無機質で激しい環境を見事に表現しています。特にラストの「Groundzero (The Planet)」は、1〜13曲目までの淡々とした展開を最後に大爆発して覆す圧倒的なハードコア・テクノ。必聴です。

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X-103 - Atlantis (Tresor:Tresor 012 CD)

★★★★☆

▼コンセプチュアルな音作りをテーマにURの実験プロジェクトとしてリリースされた“Xシリーズ” 「X-103」は「X-101」「X-102」に続いてUR脱退後のジェフ・ミルズが単独で完成させた3作目。ギリシアの哲学者プラトンがその存在について言及したという伝説の「アトランティス大陸」をモチーフに、ハードながらも幻想的で映画の一場面のようにイメージを喚起させる素晴らしい内容。しかもまだ廃盤になってません!
▼パーパスメイカーの「Alarms」を連想させる6「Hagia Triada」、ジェフ・ミルズ屈指の名曲「Spider Formation」と同じテイストを感じさせる9「Minnia(The Queen's Theme)」など、後にアクシスからリリースされた一連の作品に通じるジェフ・ミルズの原点がここにあるような気がします。ガバ並みにキックにディストーションをかけたハードコアな曲やストリングを使った曲など、ハードミニマル以外にもバリエーションに富んだ収録内容は何度聞いても飽きません。ジェフ本人も気に入っている…というのも頷ける話。

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 あ 

アイデア v.s. ザ・デザイナーズ・リパブリック(コンプリート) / アイデア編集部 (誠文堂新光社:ISBN:4416602030)

★★★★☆

▼イギリスのデザイン集団「ザ・デザイナーズ・リパブリック」の作品を数百点以上も収録した限定3,000部の豪華作品集。日本国内のみの特別編集版だそうで、税込12,600円と値段も破格ですが彼らのファンには堪えられない内容のはず。テクノ好きなら一度は彼らの手によるジャケット・デザインを見たことがあるはずです。
▼デトロイト・テクノ関連のアーティストも多く手がけており、3MB Feat. Magic Juan Atkins、モデル500「Deep Space」「Mind&Body」、ケニー・ラーキン「Azimuth」「Metaphor」、B12「Time Tourist」など、いずれも印象的な作品ばかり。その他に、WARPの一連の作品や、サン・エレクトリック、サトシ・トミイエ、テイ・トウワといったアーティスト、ジャンルは違いますが、PSのゲーム「ワイプアウト」やソニーのAIBO、SWATCHなども収録されています。ちなみに彼らの公式サイトはこちらです。

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インテレクト:テクノ・ハウス・プログレッシブ Vol.1 & Vol.2 (DVD) (Nowondvd:NODD00009)

★★★★☆

▼テクノ・ハウス・トランスといったエレクトロニック・ダンス・ミュージックに焦点を当てたドキュメンタリー(?) 総勢40組以上のDJ/ミュージシャンが登場して自らの音楽活動について熱く語っています。監督自身がDJなので的外れな評論等がなく安心。ディスク1は豪華メンバーが登場するインタビューによって構成されています。DJに遅刻して焦るホアン・アトキンスや相変わらず饒舌なデリック・メイ、意外と朴訥に語るセオ・パリッシュ、まるでロック・スターのようなステイシー・パレンなどデトロイト・テクノ・ファンにも見所満載です。
▼ディスク2は、フィラデルフィアで611レコーズを運営するナイジェル・リチャーズが、テレビショッピングのように(ときどきユーモアを交えながら)機材のセッティングからDJテクニック、プロモーション、ブッキングまで丁寧に教えてくれるDJ教習DVD。この手のDVDとしては最も分かりやすく実践的だと思います(手元のアップも多数収録)。各アーティストからの貴重なコメントも聴けます。

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 さ 

ジャンク・ファンク・パンク / 野田努 (河出書房新社:ISBN:4309266967)

★★★☆☆

▼デトロイト・テクノにこだわり続ける孤高のテクノライター(?)野田努氏の初評論集。…とは言いつつも要するに過去に「eleking」、「remix」、「スタジオボイス」といった雑誌に寄稿した記事やCDのライナーノート等を(多少加筆して)まとめたもの。マメに野田氏の記事をチェックしている方には必要ない本かもしれませんが、「eleking」22号に掲載された感動のデトロイト訪問記(マッド・マイクが案内するインナーシティ!)やDEMF(デトロイト・エレクトロニック・ミュージック・フェスティバル)レポート、デリック・メイへのインタビューなど、興味深い内容も多いので読んだことが無い方にはオススメです(ラストにUR「Transition」の邦訳も載ってます)
▼私はどっちかといえば「保守反動」寄りなので、野田氏が参加している反戦本「NO!!WAR」なんかには興味が持てない(…というか40にもなって甘っちょろいこと言うな!と思ってしまう…)のですが、良くも悪くも彼の「青いところ」が記事の魅力になっているのかな…と改めて思いました(「1993年のサマー・オブ・ラヴ」はちょうど世代的に被っているので非常に懐かしかった…。ケン・イシイ「Extra」でシーンが変わった…というのは頷ける話です)

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 た 

テクノ: バイヤーズ・ガイド selected techno discs 1983‐2003 / 監修:三田格 編集:木村重樹+金田謙太郎 (河出書房新社:ISBN:4309265928)

★★★★☆

▼約4000枚分のディスクレビューを収録した「まさに"テクノ"カタログの決定版!」(帯のキャッチコピーより)
▼おおざっぱに「テクノ」と呼ばれる音をさらに細かくジャンル分けして、主要アーティスト/ユニットごとのレビューを収録(ジャケ写なし)
▼そのため、「レイヴ/ハードコア」も「ハードミニマル」も「ディープハウス」も「サイケデリック・トランス」も「ビッグビート」も「エレクトロニカ」も「クリック・ハウス」も一緒くたに「テクノ」としてまとめられています。こりゃ大変だー。
▼デイヴ・エンジェルは「レイヴ/ハードコア」、イアン・オブライエンは「ブレイクビーツ・リヴァイヴァル」、ロラン・ガルニエは「ジャーマン・トランス」(!) …ってぜんぜん見つけられないんですけど? 素直にアルファベット順にアーティスト/ユニット名を並べたほうが便利だったような気が。
▼レビューの執筆者は、三田格、野田努、渡辺健吾(KEN=GO→)、水越真紀、芝原龍弥、富樫信也、磯部涼…他多数。
▼「リミックス」「ラウド」「エレ・キング」(休刊)あたりのディスクレビューで見かける執筆者を総動員してますね。
▼「デトロイト・テクノ」には約40ページが割かれています。紹介されているのはおなじみの有名どころと…。
▼…サン・エレクトリック?? ケン・イシイ??? テクネイジア???? えええ?????
▼たしかに影響ばりばりな作風のアーティストだけど、「デトロイト・テクノ」かといわれると微妙な感じ。強引なジャンル分けの弊害がそこここに…。
▼諸事情により原稿の7割は97年中に書かれたものらしい。後で追加されたとおぼしき最近の原稿との「温度差」を感じます。
▼同じレビュアーの文章でも、異様に熱く語っているものと、淡々と概略だけ書かれたものがあったりするのはそのせいか? まとまりねーなー。
▼オーランド・ヴォーンやスティーヴ・ラックマッド、ステファン・ロバーツ、HMCといった日陰者(失礼)について触れているのは◎。
▼定価は破格(?)の4000円(!) 1レビュー約1円…と考えればお買い得???
▼まー、この手の本は(そこそこの)マニアにしか需要が無いので、このぐらいの値段をつけないと元がとれんわな。

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テクノのススメ / 佐久間 英夫 (ブルースインターアクションズ:ISBN: 4938339501)

★★★★☆

▼音楽ライターの佐久間英夫氏は、渋谷のレコード店「テクニーク」を経営。DJシャッフルマスターとサブヴォイス・レーベルを運営し、自らDJザンク名義でハードなミニマルトラックもリリースする多才なひと。古くは「テクノ・ディスク・ガイド」、近年は「CDで聴くクラブミュージック」などテクノ・リスナーにとって非常に参考になるガイド本を著しています。彼の文章は野田努氏に比べると「客観的」で「素直」な印象があり好感が持てます。
▼この本で特筆すべき点は、クラフトワークやYMOといったテクノポップからニュー・ロマンティックス、ニュー・ウェイブ、ディスコ、エレクトロ、ボディ・ミュージック、ニュービート…といった現在のテクノに連なる音楽を切り離さず一貫した系譜として取り扱っていることです(「テクノボン」等はこの辺をバッサリと切り捨てています。なんせ野田氏はYMOを「一切聞かなかった」らしいので…) それぞれのジャンルが影響を与えながら徐々に進化していく様は、まさに「テクノの歴史」そのものです(そんなタイトルのコンピもあったよなぁ)
▼デトロイト・テクノについてもページ数は少ないのですが、「テクノの語源は日本発」、「デトロイト・テクノが脚光を浴びたのはURのヨーロッパ進出」、「真にオリジネイターが評価されたのは92年のデトロイト・テクノ・リヴァイバルから」等々、なかなか興味深い内容が書かれています。
▼この手の本は(特定のジャンルを扱っている性格上)一度刷ったら二度と増刷しないので、買い逃すと手に入れるのが困難になります。「音楽聞くのにガイドブックなんかいらねーよ」という方以外は多少高くても躊躇せずに購入することをオススメします。

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テクノボン / 石野卓球、野田努 (JICC出版局:ISBN:4796608044)

★★★☆☆

▼日本のテクノ・シーン黎明期に出版された(おそらく)日本初のテクノ解説本。地味な表紙デザイン、上製本(ハードカバー)形式の装丁、卓球と野田氏の対談形式の内容…などガイドブックとしては不親切な内容ですが、当時はテクノ関連の情報が少なかったため貪るように読んだ記憶があります(これとミニコミ誌「DELIC」が必須でしたね) ページ数はそれほど多くないですがデトロイト・テクノについてもしっかり触れていて、「ベンダーで転調…」等の記述は打ちこみを少しでもかじった経験があれば笑えると思います。巻末の資料集も意外に充実しています(1993年当時の情報ですが…) ジャンルが細かく分散してしまう前の古きよき時代を感じさせる一冊です。

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 は 

ハウスレジェンド / remix編集部 (アウトバーン:ISBN:483553994X)

★★★☆☆

▼デリック・メイがTR909をフランキー・ナックルズに譲ったという逸話があるほどデトロイト・テクノとハウスは切っても切れない存在。この「HOUSE LEGEND」は、ハウス・ミュージックの歴史を分かりやすく解説したガイドブックです。ラリー・レヴァン、フランソワ・ケヴォーキアン、フランキー・ナックルズ、ジョー・クラウゼル、マスターズ・アット・ワーク、ブレイズといったオリジネイターはもちろん、リル・ルイス、ラリー・ハード、ロン・トレントといったデトロイト・テクノとの縁も深いアーティストも登場しています。巻末には主要アーティストの紹介やレコード・CDレビューも掲載。基本的に「Remix」誌でのインタビュー記事を再構成しているので、資料的価値はそれほど高くはありませんが、デトロイト・テクノからさらにジャンルを広げようとしている方には参考になると思います。

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ブラック・マシン・ミュージック / 野田努 (河出書房新社:ISBN:4309264948)

★★★★★

▼デトロイト・テクノ関連の著述で業界では有名な(?)野田努氏入魂の一冊。約480ページ。2800円。
▼デトロイト・テクノ創成期から現在までの大まかな流れを時系列的に紹介。末尾には簡単なアーティスト紹介も。
▼アーティストとしては、ホワン・アトキンス、デリック・メイ、URに多くのページが割かれている
▼思い入ればりばりな文章は少し鼻につくときもありますが、日本語で書かれたデトロイト・テクノの資料としては一級品(というかまともに手に入るのはこれしかない) ウンチクが嫌いでなければぜひご一読を。
▼…それにしても「あとがき」のトラッカー話は笑える。実際には非常に危険な状況だったと思いますが、読むたびに細身で温厚そうな野田さんがブルブル震えている画面が目に浮かんで…。

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 ま 

モジュレーション(DVD) (アップリンク)

★★★★☆

▼エレクトロニック・ミュージックの重要人物(主にテクノ・ハウス)が多数登場する75分のドキュメンタリー映画。貴重なアーティスト・インタビューの他にもプライベートスタジオやライヴパフォーマンスなども登場。
▼もちろん、デトロイト・テクノのアーティストも多数出演。エディ・フォークス、カール・クレイグ、ケヴィン・サンダーソン、ステイシー・パレン、デリック・メイ、ホアン・アトキンス…他。
▼ホアン・アトキンスの「現実を忘れたい願望がデトロイト・テクノには含まれてる」というコメントには考えさせられる。それにしてもホアンっていい声ですね。
▼語り草なのは、DJファンクのコメント。「俺は金を稼ぐためにハウスを作る!」 こういうひとは信用できると思います。

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Wordsworth - Version2.6.0 (C)1999-2002 濱地 弘樹(HAMACHI Hiroki) inserted by FC2 system